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リーリンシア~The World Of LEARYNSIA~  作者:
神の意思とは
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ラファエルは、メニクに軽々と運ばれて長の家の部屋の一室に寝かされていた。

美夕は、あの真っ白なイバラのツルに背筋が寒くなるような気がした…どうして、こんな気持ちになるのだろう。

すると、ラファエルについていた、バルナバスが言った。

「…目を覚まされた。」

美夕は、ホッとしながらも、胸がざわざわするのを押さえることが出来なくて、不安な気持ちのままその部屋へと入って行った。

すると、ラファエルがそこに座ってぼうっと自分の手を見ていた。美夕は、どう声を掛けていいのか分からなかったが、控えめに、言った。

「あの…痛みは?大丈夫でしょうか。」

ラファエルは、美夕を見た。そうして、茫然とした顔のまま、言った。

「…痛みはない。直後は痛んだが、今は何も。」と、また手を見つめた。「…力が、全く出ぬ。ここには命の気があるのに。全く術が放てぬのだ。」

美夕は、目を丸くした。術が放てない…?

ここは、地下水脈からもかなり離れているので、術は簡単に出るはずだった。現に、ここの村の民達も、軽い魔法から大きな魔法まで、結構簡単に使っては農作業や家事などをこなしているのを見ている。

それなのに、あの大きな力の持ち主である、ラファエルにそれが出来ないと。

「…その、ツルのようなもののせいでしょうか。私が、取れないかやってみましょうか。」

ラファエルは、首を振った。

「取れぬ。これは、まるで宙から何の気配もなく湧き出て来たように見えた。何やら怒りのような…悲しみのような感情が過ぎったかと思うと、これが腕に巻き付いて食い込んで来て。激痛に抗うことも出来ず、気が付けばこのように。」

キダレスが、戸口の方がから声を掛けて来た。

「…念のためメニクと村の男達に辺りを調べさせたが、誰も侵入した形跡はない。我ら、回りの土を綺麗にならして足跡なども詳しく探るのだが、誰も侵入した様子はないのだ。何より、ここにはオレの結界があるからの。誰かが侵入して来て術だけ放って出て行くなど無理ぞ。そもそも、そんな余裕があれば殺すだろう。なので、原因が分からぬままぞ。」

美夕は、一回り小さくなったような感じで、下を向いて項垂れているラファエルに、心底同情して、言った。

「もうすぐ、仲間も来ます。そうしたら、ショーンさんに聞いてみますから。何か知っているかもしれませんし、解いてくれるかもしれません。それまで、ゆっくりなさってください。分からないのに考えていても始まりませんわ。」

ラファエルは、聞いているのか居ないのか、頷くだけ頷いて、またぼうっと手を見つめていた。

美夕は、いったい何があったのか分からずに、慰める言葉も見つからず、その部屋を出たのだった。


一方、翔太達はラディアス達と共に、地下を歩いて進んでいた。

地下の道は、曲がりくねっていて良く分からなかったが、シャルクス達は海でなくとも自分達が発する超音波で、どこか空洞なのかを知っていて、こちらの道は知っているようだった。

なので、普段から歩く事など一切ないシャルクス達は、面倒な人型で一緒に歩いて来てくれていた。

「万が一のために、海から回り込んでココ・サカ近くの海岸まで来ておくように言うておいたから。」ラディアスは、歩きながら言った。「あれらはライデーン側へと下り、そこからぐるりと回り込んで来ておるはずよ。はっきり言って、そっちの方が速い。」

翔太は、隣りを歩きながら言った。

「でも、運んでもらおうにもなあ。キースはライデーンから丸見えだしよ。無駄足になるかもしれないから、心苦しいんだが。」

ラディアスは、顔をしかめた。

「無駄足というのは今歩いているこれぞ。我らが歩くなど、考えられぬのだからの。一歩がこんなに小さいなど、この速度でよう主らは我慢できるの。我ら全身が筋肉であるし、その気になればかなりのスピードが出るゆえなあ。ちまちまと進むのは性に合わぬわ。」

後ろから来るキークとマディの二人も、むっつりとそれに頷く。とはいえ、自分達はこれでしか進めないし。

翔太が困っていると、慎一郎が言った。

「だから別に良いと言ったのに。海から行って、海岸線で待っていてくれても良かったのだぞ。初めて歩いたばかりで長距離など、疲れて途中で歩けなくなるのでは。」

しかし、そんな様子は無かった。確かに最初はフラフラしているようだったが、筋肉はしっかりしているので、すぐに安定した。それから、ここまで特に問題なく歩いている。

問題があるとしたら、聡香やソフィ、メイヤやジーナの方だった。

アガーテは、若い体になればすいすい歩いて体力はあるようだ。ブレンダも、しっかりした体つきなのでやはり体力は他の女子より数段あった。

「我らが来ぬと、道が分からぬくせに。」

ラディアスに言われて、慎一郎は渋い顔をした。

出発して数時間、結構な距離を来たようだったので、そこで休憩することにした。

「よし、じゃあ休憩しよう!もう地上は朝もだいぶ過ぎてるだろうしな。」

皆は、そこで立ち止る。

この、地下水脈のこちら側の空間は、大きな空洞になっていて、ところどころに柱のような鍾乳石のようなものがあるだけで、高さもあるし歩きやすい場所だった。その分、見通しが利くのだが方向が分かりづらく、迷ったらどう戻って良いのか分かりづらそうだ。ラディアス達が来てくれると言ってくれないと、真っ直ぐに行き着くのは難しかったかもしれなかった。

ショーンが、全く疲れていない風で言った。

「ここから後どれぐらいだ?」

ラディアスは、水をもらって飲みながら、答えた。

「そうよな…このペースで行くと後四時間ほど。」

結構来た。

翔太もそう思ったようで、言った。

「夜通し歩いたもんなあ。休みながらとはいえ。ここらでちょっと寝るか?それとも、このまま頑張ってあっちへ付いてから寝るか。」

ラディアスは、迷いなく言った。

「あちらへ着いてからぞ。」言われて、女性陣が少し、困ったような顔をしたが、ラディアスはお構いなしに言った。「こんな場所で寝ておってメールキンが来たらなんとする。この辺りは、たまに魔物が紛れ込む場所ぞ。我らだって陸ではあまり戦えぬ。この体なのだからの。一刻も早う村へ入った方が良いのだ。」

言われて、ハッとした。確かに、所々地上へと開いている小さな穴があった。そこから魔物が紛れ込んで来ても、おかしくはない。

こんな所で寝ているなんて、襲ってくれと言っているようなものなのだ。

「…分かった。じゃあ、とにかく歩こう。もう少しだ。」

翔太達は、疲れて足取りが重くなる女子達を助けながら、寝ずにココ・サカを目指して歩いた。


その夕方、翔太から連絡が来るかもと、美夕は一応、外で通信を確認したのだが、着信は無かった。

それどころか、美夕が送った返信が既読にもなっていない。

つまりは、翔太達はあちらを出てから、着信していないという事になり、もしかしたら地下を進んで来ているのかもしれない、と思わせた。

トボトボとメニクと共に村の中へと戻って来ると、キダレスが慌てて歩いて来て、言った。

「おおミユ。来たぞ、主らの仲間。オレの結界に掛かったゆえ、迎えに行かせた。どうやら女連れらしくて、疲弊しておるな。」

やっぱり地下から来たんだ!

美夕が喜んで顔を輝かせていると、メニクが言った。

「思ったより早かったようですな、兄上。昨夜出たと聞いておったから、道を知らぬし明日の朝になるかと思うておった。」

キダレスは、頷く。

「確かにの。だが最短距離を来たとしたら頷ける。道を知っておったのかの。」

美夕は、翔太達が歩いて来るのを、遠く村の境の所に見て、居ても立ってもいられなくなり、一目散に駆け寄って行った。

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