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リーリンシア~The World Of LEARYNSIA~  作者:
神の意思とは
109/230

解読

「…で?」翔太は、少し早い夕飯を、皆と共に食べながら言った。「連絡出来たのか、真樹。」

真樹は、トボトボと出入り口から歩いて来て疲れたように頷いた。

「うん、あっちと会話したよ。向こうもデルタ・サンのオタクっぽくてさー。めっちゃコアなキャラ名とか使って会話して来るから、難しかったけど分かった。あのね、結論から言うと、今は海を泳いで行くのは無理そうだ。」

慎一郎が、脇の真樹用に取って置いたパンとスープを渡しながら、顔をしかめた。

「なんだって?じゃあ、キースには行けないのか。」

真樹は、それを受け取って、カップのスープをすすりながら、頷く。

「うん…軍が、シャルクスを恐れてあの辺りには絶対船を出さなかったんだけど、最近はシャルクス達が出て来るギリギリの所へ出て、船が通ろうもんなら片っ端から検問してるらしいよ。と言っても、元々あの辺りって漁船も弁えてて、シャルクス達に会わない場所で漁をしてるから、キース周辺の海上は静かなもんらしいけど、夜も魔法で煌々と灯りを灯して遠くまで見てるみたいで、今渡って来るのは無謀だって言ってた。」

すると、プカッと浮いて来た、ラディアスとは目の横の柄が違う、シャルクスが言った。

『…王は狩りに出ておられるから我が答えるが、先ほど我ら先発組が狩りをしておると、確かにあの辺りには軍の船が増えておった。我らの背びれが見えたらすぐに大袈裟なほど遠くへ逃れて行ったが、我らが狩りをする場所のギリギリの辺りに珍しく居たのは確かぞ。普段は船影など全く見えぬのにな。』

翔太は、柄をじーっと見て、自信なさげに言った。

「ええっと…お前は、キーク?」

キークらしいシャルクスは、頷いた。

『そうだ。ちなみに我らは、あやつらがどこへ逃げようとも関係ないのだがの。基本海全体を泳ぎ回って狩りをしておるから。地下水脈から出る場所に常に居られたら面倒だから、あの辺りに居る船は沈めさせてもろうておるが。なので、別に離れておる軍船を沈めて回っても良いと言うたら良いのだがな。』

翔太は、水際に顔を乗り出した。

「え、沈めてくれるのかっ?その間に、オレ達が向こうから行くとか?」

それには、ショーンが首を振った。

「おい、どんな小さな船で行くつもりだ。いくら小さな船でも、浮いてりゃ見えるぞ。オレ達がキースへ行くのが見えちまったら、そこに潜んでる全員を危険に晒すことになる。慎重にいかにゃな。」

言われて、翔太はバツが悪そうな顔をした。いい考えだと思ったが、よく考えたら軍隊は数が多い。シャルクス達が沈めている間にも、その船に乗っていない者達からは海面が丸見えだ。誰かに見咎められずに、船で渡るのは至難の業だろう。

慎一郎が、息をついた。

「だったら、どうする。潜水艦でもあればいいが、泳ぐか船かどっちかしかないだろうが。キースへ行けないとなると、こっちかココ・サカの民の村かどっちかに仲間を預けて行くしかないってことか。」

翔太は、うーんと腕を組んだ。

「オレはココ・サカの民がどんな奴らなのか知らねぇし、預けるならシャルクス達の方が安心なんだがな。」

キークが、驚いたように顔を上げた。

『別に王がお決めになる事だし、我らは構わぬがここだと食料は己で取って来ねばならぬぞ。ココ・サカの民の村なら狩りもしておるし作物も育てておるだろうから食料には困らぬだろうがな。残る者達は、食料の調達は出来るのか?』

言われて、慎一郎と翔太は顔を見合わせた。そして、残して行くだろう者達、アガーテ、巫女三人、聡香、それにもしかしたらブレンダも置いて行くかもなので、そちらも見た。

誰を見ても、食料を狩って来れるようには思えない。

となると、キースへ行けないとなったらココ・サカの村へと連れて行かなければならないか。

しかし、アガーテは言った。

「もし、主らが我らを置いて参ろうと思うのなら、それでも良い。その間、己の面倒ぐらい己で見るゆえ。我は、術を知っておるし老体ではあるが、あの姿なら魔物を狩るぐらい雑作ないのだ。ただ、移動が面倒なだけで。」

ブレンダは、言った。

「あたしを置いて行くつもりなら、別に狩りぐらい出来るから安心していいわよ。でも、多分ココ・サカの村へ行った方がみんな安心なんじゃない?シャルクス達は確かに頼りになるけど、食料となると困るでしょ?魔物だけ食べてたら栄養不足になりそうだしね。」

亮介が、使った食器を片付けながら、言った。

「じゃあ、一回みんなであっちへ行くべきって事だな。まだココ・サカの民が面倒見てくれるかどうか分からないし、夜の通信で決めたらどうだ。」

そこまで話した時、ザバアといきなりその空間の海水の水位が上がり、白波が立った。

びっくりしてそちらを見ると、プカッとシャルクスの頭が次々に上がって来た。

…こうしてみると、かわいい。

真樹も、他の皆も水族館のシャチショーを思い出し、そんなことを思ったのだが、それは口にしなかった。

『戻った。念のためキース辺りも見て来たが、島は静まり返っていたし、軍船も近付いてはおらなんだ。ただ、常なら居らぬのにアディアナ辺りには複数船が出ておったな。どうやら主らが海に逃れるのを警戒しておるようよ。地下水脈で見失っておるから、あちらへ流れて来るとか思うておるようだ。実際、複数の女たちと兵士たちが、水脈から流れて出て来ておったらしく、そのような事を話しておるのが聴こえて来ておった。それから、ここにはもう生息しておる魔物は居らぬのに、魔物も流れて来たらしい。それは兵士たちを見て驚いたのか、水の中をタクルのように泳いで行ったと申しておった。』

ラディアスが言うのに、翔太は、だから海か、と思った。もしかしてキースの仲間が気取られて海を警戒しているのかと思ったが、どうやらそうでは無かったらしい。

しかし、その女達とは、恐らく巫女だろう。

アガーテが、同じように思ったのか、表情を曇らせた。

翔太は、それに気付かぬふりをして、話題を変えようと言った。

「タクルとはなんだ?オレ達はあまりここの魔物に詳しくなくてな。」

シャルクスは答えた。

『大きさは主らぐらいでそう大きくないのだが、うねうねとした見た目での。足が八本あって、頭がつるんと丸い。」

…タコか。だとしたらデカい。

翔太も、慎一郎も亮介も、あちらから来た者達は軒並み頭の中でそう思った。タコで人と同じぐらいの大きさだなんて。

「覚えておこう。」慎一郎が言った。「それで、そろそろ外は夕方だな?通信は出来るか。オレも一緒に行って話が聞きたいんだが。」

翔太は、頷いた。

「ああ。出入り口の辺りは夜だし回りは森で何も居ねぇ。数人ぐらい来ても大丈夫だろう。」

ラディアスが、言った。

『では、我も。』驚いて振り返った翔太達に、ラディアスは続けた。『我は居らぬと答えられぬこともあろうが。人型になれるのが分かったのだから、ついて参る。』

するとキークが、心配そうに言った。

『王、しかしお一人では案じられます。我も参ります。』

すると、目の下の白い線が太いシャルクスも脇へ浮き上がった。

『ならば我も。地上へなど、上がった事はありませぬのに。』

ラディアスは、背中の排気口からプシューッと息を吐いた。

『何ぞマディもか。好きにせよ。まったく。』

あれはマディか。

皆は、覚えておかねばと心にその名を刻んだ。ショーンが、水際へと歩み寄って、手を上げた。

「じゃあ、お前ら人型になるんだな?じゃあさっきみたいに溺れたら大変だし、ちょっとこっちへ乗り上げてくれ。」

シャルクス達は、どう見てもシャチに見えるその大きな体をぐいと振って地上へと乗り上げて来た。

…また素っ裸か!

そう思った皆が、一斉に後ろを向いた。ショーンは、その様子を振り返って苦笑して言った。

「いや、さっき白玉が言ってただろうが。水を服代わりにするから大丈夫だっての。」と、シャルクス達へと術を放った。「お前ら、覚えろよ!感覚を掴むんだ。」

途端に、スーッと三体のシャルクスは、人型へと変化して行った。

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