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リーリンシア~The World Of LEARYNSIA~  作者:
神の意思とは
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行き先

翔太は、美夕との通信を切って急いで道を引き返した。

美夕が無事に逃れている事実は、翔太をホッとさせた…何しろ、美夕が帰還の鍵を握っているのだ。

海斗達のように、これから十何年もここに閉じ込められて現実世界へ帰れない事だけは、絶対に避けたかったのだ。出来たら早く合流して、しっかり自分が守って進んで行きたかった。

焚き火の場所へと戻ると、アガーテと腕に稲妻のような深い緑色の、変な刺青のようなものが入った、どす黒い緑の髪の女が二人、そして刺青はないが髪が真っ黒の見慣れない女が、仲間に混じってそこに居た。

翔太が怪訝な視線をそれらに向けて慎一郎達に合流すると、慎一郎が言った。

「一応、姿は人らしくなったらしい。あれはソフィとメイヤ、こっちの黒髪がジーナだ。」

翔太は、驚いて言った。

「え、術が効いたってのか?」

ショーンが、渋い顔で頷く。

「そうらしい。どうもここは、あっちの大陸とルーツが同じ命ばかりのようだな。つまり、オレ達の住んでる場所から流れて来た人達や魔物がこの土地に住んでたってことだろう。新しい発見だが、喜んでもいられねぇ。結局こいつらは魔物だから、見た目は変えられても人として普通に生きるのは、さすがに難しいだろうな。」

それを聞いた三人は、下を向いて居心地悪げに縮こまっている。

亮介が、言った。

「で、ミユとは連絡がついたのか。」

翔太は、魔物だと思うと同席するのは落ち着かなかったが、頷いた。

「ああ、ちょうどあっちも通信しようと地上に出てたとこで。チャットで書き込んで来たから、すぐに通信した。なんでも、ココ・サカの民とかに保護されてるようだ。」

水面から顔を出している、ラディアスが言った。

『ああ、あの大柄の民族か。あやつらは悪い気を発しておらぬし、殺したことは無い。あちらも、我らの事を攻撃して来たりはせぬし、どうやら軍から隠れておるようだったからの。あれらなら信用出来るのではないか。』

慎一郎が、ラディアスを見た。

「知っているのか?」

ラディアスは、頷いた。

『知っておる。あれらも地下に居るようで、何度か見掛けたがあちらはこちらを気取るとすぐに逃げる。攻撃しようともせぬ。我らとて、あれだけ大柄で力のある奴らに狙われたら厄介であるが、向こうが敵対して来ぬからの。メールキンと主らが呼ぶ魔物は狩るようだが、我らの事は狩ろうとはせぬのだ。なので、我らもあれらには干渉せぬのよ。』

翔太は、頷いて慎一郎を見た。

「そのうちの一人の、メリクという男と話したが厄介な感じじゃなかったぞ。それで、だが、ラファエルは禁足地に向かいたいとあっちの長に言ったようだが、まず無理なんだそうだ。なんでも断崖を降りようとしたらディーラとかいう翼竜が襲って来るし、海からは波が荒くて行き着けないとか。なので、仲間を預ける先に困るって話になってな。」

亮介が、言った。

「だったらあっちのその、ココ・サカの民に預けて、こっちはシャルクス達に預けて合流してからシーラーンへ行ったらどうなんだ?」

翔太は、それには顔をしかめた。

「まあ、オレもそう思ったんだが、美夕はそれじゃあ帰る時にみんなを集めるのが大変だって言うんだよ。ライデーン組はメジャル組と合流出来て、無事にまとまってくれてるみてぇだし、だったらそこへまとめて預けておいたら手間がねぇって。」

それには、海斗が割り込んだ。

「ライデーンって、どれだけ掛かると思ってる。結構北へ来てしまってるんだぞ?」

ラディアスが、言った。

『我らが主らを乗せて地下水脈を降りたらすぐに海だが、軍に見つからぬためには海中深くに潜って出なければならぬ。我らは平気だが、主らは息が続かぬのではないのか。無謀よな。そやつらだって、海から行くのが妥当だが、船で移動していて見咎められぬではおけぬだろう。』

皆が、顔を見合わせる。

ショーンが言った。

「空気の玉がありゃちょっとはもつが、長くは無理だろうな。それより、ライデーンは軍隊が居るだろう。無事に着いても上陸出来ねぇんじゃねえのか。」

言われて、翔太は渋々頷いた。

「そうなんでぇ。だが、あいつらの潜伏先が掲示板に出てた。」と、腕輪をパチンと開いた。「…あいつら、別のオンラインゲームの地名を使ってうまく合流してるんでぇ。ほら、デルタ・サンってやつ。覚えてるか?」

亮介は顔をしかめたが、真樹がハイハイと手を上げた。

「知ってる!オレ、一回クリアしたよ!更新ないから面白くなくなってリーリンシアに変えたから!」

翔太は頷いて、言った。

「オレもだ。で、あいつらはライデーン近くのミミックのデルタに居るってさ。」

皆、ポカンとして翔太を見たが、真樹は、慌ててポケットから島の地図を出して広げると、じっと見て、言った。

「…キースに神殿があるのか。」

翔太は、やはり分かるか、と頷いた。

「そうなんでぇ。オレもそう思った。恐らくそこにみんな居る。美夕は、無事にあいつらが合流出来たんだから、何かやり方があるだろうって。でも、あいつはデルタ・サンを知らねぇから隠語だらけで分からねぇし、こっちで解読してくれって。」

真樹は、頷いて自信満々で言った。

「任せて!オレ、そういうのめっちゃ得意だから!」

嬉々として翔太の腕輪を奪わんばかりに近寄って来る。翔太は、慌てて腕輪を外して真樹に放って寄越した。

「分かったから、近いって!」

真樹は、いきなり腕輪が飛んで来たのでアワアワしていたが、何とか落とさずに掴むと、翔太を睨んだ。

「乱暴だなあ。分かった、待ってね。」

真樹は、すごい勢いで液晶画面をスクロールし始める。

慎一郎がそれを横目に言った。

「みんな連れてくのか。アガーテと巫女達はどうする?帰るとか関係ないだろう。オレ達の仲間と一緒でいいのか?」

アガーテは、じっと聞いていたが、頷く。

「我らはもう、主らと一緒に行動するよりないのだ。ラファエル様もミユと共に居るし、ラファエル様にまずお会いして、指示を仰ごうと思うておる。」と、ソフィ達を見た。「これらの事はもう、巫女として扱っては頂けないだろうが、それでも隠れ住む場所ぐらいは与えてやってくださるだろうし。ラファエル様は大変に慈悲深いかたでいらっしゃるから。」

ソフィとメイヤ、ジーナは暗い顔でただ下を向いていた。こうして、アガーテに人型にしてもらっているが、それがいつ解けてしまうか分からないのだ。町中で何も無かったように、過ごせるほど体が一般人と同じになったとも思えない。何しろ、腕や頬に驚くほど大きな入れ墨のような柄が出てしまっているのだ。

このままでは、目立つし普通に暮らすのは無理だろう。

海斗が、脇から言った。

「オレ達は、みんな戦える。だが、確かに数が多過ぎてこの人数で行動したら目立って見つかる可能性が高い。隠れ家は見つかって、オレ達に潜む場所が無い。お前たちがどこかに潜む場所を作るって言うなら、そこにオレ達の仲間も待機させたいと思ってる。」

それには、カーティスが腕を組んで考え込みながら、言った。

「…オレ達の仲間はカールも入れて今四人しか残ってない。ブレンダとスティーブはオレ達と一緒に居たが元々翔太達と同じ時に来た奴らだ。だったら、ブレンダとスティーブはこいつらに任せて、オレ達は例のオレ達の刻印持ちについて調べに行った方がいいんじゃないのか。お前も心配してたが、オレ達だってもしかして美夕じゃ帰れないかもしれないとずっと考えてたんだ。町は兵士ばかりで入れないし、どうやって情報を集めるか考えなきゃならないが。」

言われてみたら、今ここに残っている、15年前のメンバーは他の者達の裏切りにより、海斗、クリフ、カーティス、カールの四人しか居ない。

皆戦える者達で、誰かを置いて行くという判断は出来なさそうだった。

「確かに、オレ達は四人だが…しばらくは、翔太達と一緒に行動して連携した方がいいかと思っていたんだ。拠点を同じにして、いつでも情報をやり取りできるようにな。」と、海斗は、カールを見た。「長い事戦っていなかったんじゃないか?もし、オレ達が翔太達と別に行動するとしても、翔太達の仲間と一緒に待っていてもらった方がいいんじゃないかと思っていたんだ。」

カールは、渋い顔をした。確かに、あの頃からすると体も自由に動かないし、長く潜んでいて運動不足でもある。術も知っているし戦えるが、それでも海斗達ほど動けるかと言われたら、疑問だった。

「…確かに、お前たちほど動けないが、一応戦えるぞ。情報収集に行くなら、二人ずつで分かれた方がいいんじゃないか?オレでも一応、頭数にはなると思うんだ。」

翔太は、眉を寄せて手を振った。

「ああ、そっちが別行動するってんなら止めはしない。そこら辺りを話し合っておいてくれ。」と、さっさと慎一郎を見た。「で、オレ達はどうする?美夕もラファエルと話し合って来ると言ってたんでぇ。禁足地に行けねぇってことは、恐らくキースの方へ行く事になるんじゃねぇか。」

慎一郎は、腕を組んで翔太を呆れたように見た。

「だからって敵の真っただ中だったら行けないぞ。メジャル組と合流した時とは状況が変わってる可能性がある。もしかしたら、同じやり方じゃあ行きつけない可能性があるんだ。」

それを聞きながら、腕輪を操作していた真樹が、顔を上げた。

「…そうかも。」皆が真樹を見る。真樹は続けた。「ちょっとライデーン組に掲示板で連絡して来るよ。今の様子はどうか、知らせてもらう。」

亮介が、真樹をチラと見た。

「なんだ、なんかまずい方法か?」

真樹は、腕輪を翔太に返して、自分の腕輪を開きながら立ち上がって答えた。

「うん。というか、夜の闇に紛れて個別に泳いで渡ったみたいだ。みんな泳ぎが得意だったんじゃないぞ?波乗りのスキル持ちが居たから、それに引っ張ってもらってゆっくり静かに渡って行ったみたいなんだ。結構距離があるから、泳いで渡るなんて誰も思わないじゃないか。それを逆手に取って、そうやって行ったらしい。こっちに波乗りのスキル持ちなんか居るかい?」

全員が顔を見合わせた。

「…いや、オレは鍛冶屋のスキルだけだな。」

亮介が言う。ショーンが言った。

「オレはそんなスキルとか言うのは無いが、飛べるからな。同じ要領で水中でも進めるが…スピード出過ぎたら白波が立つし見つかる可能性あるしなあ。それに、この人数を引きずって水中って結構無理があるなあ。」

ショーン一人にこの負担は大きいだろう。

真樹は、それを聞きながらも出口へと足を向けた。

「とにかく、オレちょっと行って来るから。そもそも泳いででも渡れる状況か分からないし。」

こちらの皆は頷き、真樹はいそいそと出入口へと駆けて行った。

どこへ行くにも、軍が邪魔になって移動を制限されるのに翔太は段々、イライラして来ていた。

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