第三話 「邂逅」
第三話 「邂逅」
閃光に包まれて十数秒が経過しただろうか。突然光は消え、書店全体が大きく震えた。なんというか落下したような感じがする。俺は思わずしりもちをつく。
一体何が起きたんだ。俺は心の中で激しく動揺する。天井からは粉のようなものが降ってくる。店内は、その粉やほこりが舞い、もやの中にいるような気分になる。
本当に今日は何という日だろう!
俺は半ば放心状態になりながら、座り込む。
どれだけの時間が経っただろうか……。多分、十分とか十五分なんだと思う。でもすごく長い時間に感じる。どこかの哲学者が時間は主観と言っていたような……。ええい、今はそんなことどうでもいい!!早く態勢を整えなければいけない。
外は雨が降っているようだ。雨の音が静けさのなかに染み込む。
外に出よう。そう思って立ち上がった時、三人の男女が自動ドアでない、手動のドアを開けて店内に入って来た。
「アナスタシア様、こ、これは?」
最初に言葉を発したのは、体つきのよい若い男だ。十五、六才だろうか。茶色い髪の毛、目の色は茶か黒、肌は日本人に近い。身長は百七十センチ以上はあるだろう。雨が染み込んだこげ茶色のフード付きマントを羽織り、マントのなかには革製の鎧を着込み、西洋の幅広の剣を帯刀している。
「アナスタシア様の期待されていたものとは、違うような気がしますね。」
隣にいた女が後ろの人物に話しかける。こちらの女も十五、六才ほどだろう。銀髪に碧眼、白い肌、身長は百五十センチくらいか。服装は、先ほどの男と同じマントをだが、マントの下は小花が刺繍された緑色のワンピースを着ている。美少女であるが無表情。現実ばなれしている雰囲気がある。
「ふっ、私が召喚したものはこれか……。」
後ろにいたアナスタシア様と言われている女は、疲れた声で言った。その女はオフホワイトのフード付きのマントを身にまとい、首に三頭の龍が絡み合う紋様を型どった銀色のネックレスをしていた。
そしてフードの奥から鋭い眼光を俺に向け一瞥すると、フードを脱いだ。フードの下からは、黒髪、黒目、白い肌の十二、三才と思われる、すごい美少女が現れた。身長は百四十センチくらいだろう。しかし、とても子供とは思えない威厳があった。
俺とその三人は、互いにしばらく見つめあうこととなった。