第二話 「揺れの後」
第二話 「揺れの後」
大きな揺れが書店を襲った。すごく大きな揺れだ。震度六はあるんじゃないかと思う。とても立ってはいられない。俺はとりあえずしゃがみ込む。台車に積んだ雑誌がくずれ、店内の書棚の本が一斉に落下している。お店が倒壊しないか不安になる。
しばらくすると、お店の外でバチバチという音がし始めた。何かが焦げるにおいもする。光の明滅がある。外の電線とかやられたのかな、と推測する。揺れがなかなか収まらない。本当に不安だ。死ぬのかもしれないという思いが頭をよぎる。
その時だった。突然揺れが収まる。
静寂がおとずれる。
「………………収まったのか。」
俺は、誰もいないのに言葉を発する。何か話していないと自分を保てない心境なのだ。
三分後…………。
どうやら揺れは収まったらしい、と俺は納得して立ち上がる。やれやれ、お店は、ひどい状態だ。床に散乱した雑誌、書棚から落ちた本は小さな山を作っている。本のカバーや帯が破れたり、はずれたりしている。ちょっと書店員としては不快な光景だ。
でも感傷にひたっている場合ではない。すぐに家族の安否を確認しよう。その次は店長に電話して、本社にも状況説明しなければならない。そう考えていた矢先、閃光が俺や店全体を包み込んだ…………。