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魔王の勇者チズム  作者: エドラ
3/6

第二善 勇者への不純な動機

前回のあらすじ


 草原で魔物に襲われていた少女レイスを救った少年フィロスィア。しかし、その少年は魔王の息子であり、少女に着いていくと言い出した-

「さっさと村に向かうぞ、貴様!」

「せめて、名前で呼んでよ~‥はぁ‥」

 時折、緩やかな風がなびいてゆく草原を二人の人影が歩いていく。前を歩くフィロスィアと名乗った少年はのんびりと歩く少女レイスを叱咤する。

「何でフィロ君は私についていくなんて言い出したの?」

 溜め息交じりにレイスは呟くように質問した。会って間もない、むしろ突然降って湧いたようなアクシデントを半ば受け入れつつ、半ば諦めつつ、少年がいきなり同行をすると言ってきた理由だけでも聞こうとした。

「おい‥フィロ君とはなんだ‥おれ様はフィロスィアと言っただろう。フィロスィア様と呼べ、貴様」

「フィロ君だって、私の名前呼ばないし。おあいこでしょ」

「むぅ‥」

 呼び方が気に入らないのか、フィロ(フィロスィア)は呼び方を訂正させようとするが、レイスはそっぽを向いたまま反論する。もっとも、レイスも貴様と呼ばれるのが気に食わないようだ。

「呼び名は置いておくとして‥貴様にはまだ言っていなかったが、おれ様は勇者を目指している!そして、往く当てもない所に丁度、貴様が居ったということだ」

 フィロは自信満々に答えたが、一方レイスは彼の話が全く理解出来ない様子で問い返す。

「え‥フィロ君、魔王の息子だよね?何で、勇者を目指しているの‥?」

「ふ‥愚問だな‥兄上、姉上達は魔王の跡取り争いでおれ様を城から放り出したのだ。そのお礼として、追い出した弟が勇者となって仕返しに来る方が屈辱的で面白いではないか」

(この子‥バカだ‥)

 得意気に語る少年を呆れた様子で見つつ、少女は心に思った事をそっと心に閉まった。

「質問には答えてやったぞ。代わりにこちらも聞きたい事がある」

「聞きたい事?別にいいけど」

「貴様‥何故、そんな髪を青く染めているのだ?服装は地味なくせに」

 まだ少女と出会って一時間程しか経っていなかった為、フィロはそこまで気にしてなかったが少女の姿に疑問を感じていた。髪色は薄い水色がかった青い目立つ頭髪なのだが、服装は白地を基調とした地味な格好であり、腰には剣を佩いている。確かに、どこか違和感を感じる姿だった。

「これは地毛なんだけど‥魔界では髪を染めるとかあったりするの?」

「魔界ではそういった事ないが、人間界の知識で学んだぞ」

 レイスは若干コンプレックスに感じていた事を指摘され、少し憂鬱になったが彼が“髪を染める”という人間らしい事を口走ったのに軽い驚きを交えつつ、聞き返すと彼はなんて事のないように答えた。

「魔王たる者、人間界の事も知らねばならぬのでな。人間界の知識も多少なりとも学んでいたのだ」

 魔王ってそんな庶民的な事まで学ぶわけ‥?

 彼と話す度に新たな疑問が湧き続ける為、彼女はそれ以上聞かない事にした。これ以上聞いても、さらに疑問が生まれ、疲れそうだということ悟った。

「向こうにちょっとした丘が見えるでしょ。あの丘を越えたら、村が見えるよ」

「おお、それは楽しみだな」

 もうすぐ村に着くと聞いて、わくわくと目が輝き出す少年を見ながら、魔王の息子かと思ってしまう。丘へと走り出す少年を眺めながら、ふと少女はそう思った。

 

 


 

 

 

 急な腹痛により、更新時間が過ぎてしまい申し訳ありませんでした。

 やはり、冬は暖かい布団に包まって、アイスなど食べずに寝た方がいいですねw

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