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七聖龍と僕との物語  作者: 陸奥 昴
七聖龍編
9/21

第九話 七聖龍最後の一人

今回は長いと思いますが読んでくれると嬉しいです。


ミレウスとの闘いも終わり、同盟も組み、一段落した。

そして、ここまでアークを除いて五人の龍の力を持つ者に出会った。

彼らは見ただけでも只者ではないオーラを醸し出している。

それだけではない。

アークが戦ったことのある彼らは皆、龍の力を十分に使えていた。

まだ戦ったことのないイーゼルを除くが。

アークはそんな事を思いながらこれから起きるかもしれないことを考えていた。

昔、両親に聞かされていた話。

あれが本当ならば、あと一人闇の龍がいるなら禍々しき龍が封印を解いて出てくるだろう。

そんなことになれば協力していかなければならない。

個人ではなく、国同士で。

そのためにアークはカルロスに話をしていた。


「昔、こんな話を聞いたんです。」


その話を聞いていたカルロスは目を閉じながら何かを考えていた。

やがてゆっくり目を開くと、こう呟いた。


「アークは知っていたのか。」


その言葉に何か引っかかりを感じるアーク。


「どういうことですか?」

「龍の力を持つ他の者はそれを知らん。」

「え…?」


それは衝撃な真実だった。

なぜ知らないのか聞くとカルロスは話しにくいのか、口をなかなか開こうとしない。


「カルロスさん、話してください。」


真剣な眼差しを送るとカルロスはため息をつきながらこのことは他言無用だ、そう言い口を開いた。


***********************************


一年に一度、各国の国王たちが集まって会議をするのだが、その当時は龍の力を持つ者がいなかった。

そのため、各国の王は七聖龍に関する資料をそのままにしていたらしい。

だが、やがてスヴァローグ家にザキロスが生まれた。

ザキロスに龍の力が宿っているのをカルロスは知り、喜んだのと同時にもしかしたら七聖龍が揃うのではないか、あの禍々しい邪龍が目覚めるのではないか、そう不安になってしまった。

その年、カルロスは各国の王に訴えかけた。

その時は誰も本気にしなかった。

そんなものはならない。

皆そう思っていたからだ。

だが、もしなった場合、国民がパニックを起こすかもしれない。

カルロスはそう思い、七聖龍に関する資料をすべて書き直させた。

最初は誰もがおかしいと気付き、カルロスの元に苦情が何件も来ていた。

それでも、元に戻そうとせず、カルロスはそのままにしておいた。

その結果、だんだんと間違った方を国民は覚えていった。

だが、年老いた国民は真実を知っている。

そのため、カルロスは苦渋の決断を出した。

記憶の改ざん。

その結果、スヴァローグ王国においてはだれ一人、真実を知っているものはいなくなった。


そのまま時は過ぎ、四年が経ったある日、チェルトボーグ王国の国王に闇の龍の力を持つ子供が生まれた。

それを受け、エーギル王国もスヴァローグ王国と同じで、七聖龍に関する資料をすべて書き換え、国民の記憶を改ざんした。

そう。

邪龍が目覚めることよりも、国民がパニックになり、国民の生活を安定させるためのものだった。

火のスヴァローグ王国と水のエーギル王国が対策をし、まだ決まってはいないが対策をする予定の土のガイア王国、風のレイノルド王国がそうしていた。

だが、光のヘイムダル王国、闇のチェルトボーグ王国は予定も立てず、まだ大丈夫であろう、そう思っていた。


その一年後、ヘイムダル王国にミレウスが誕生し、三人目の龍の力を持つ者が現れたことにより、ガイア王国とレイノルド王国は資料と記憶の改ざんを実行に移した。

さらに、さすがに焦ってきたのか、ヘイムダル王国もやる方針に舵を切った。

だが、それでもチェルトボーグ王国は何も行動を起こさなかった。


「なぜだ!!国民の生活など、どうでもよいのか!?」


たまらず、カルロスは大きな声を上げながら現チェルトボーグ国王、ジグナス・チェルトボーグはそんな姿のカルロスを嘲笑いながら答えた。


「もし、お前が言った通りに国民が混乱したとしよう。そんなもの、武力と財力で何とかなる。もしそれで反発を食らうことになろうものなら、弾圧を行なうまでのこと。」

「ジグナス…!!お前にはそんなことしかできないのか?」

「何を言っている。お前のようにただ恐れているだけでは何もできん。立ち向かわなければならないのだ。違うか?」

「違う…。私は自分のことなどどうでもいい。だが、私が愛している国民が苦しむ姿を見ていられないだけだ。だから今回のようにした。それが私自身正しいと感じているわけではない。だが…。」

「話にならんな。」


ジグナスはそういうと席を立ち、そのまま立ち去って行った。

その後、ジグナスが戻ってくることはなく、王国は暴虐の限りをつくし、恐怖政治になったと各国を旅しながら売り物を売っている行商人が言っていた。

こうして六ヶ国だった会議は五ヶ国となった。


それから一年後の会議で発覚したことがある。

レイノルド王国の商人の家に風の龍の力を持つ子供が生まれたとのこと。

ヘイムダル王国は資料と記憶改ざんについてこのことにより、強く意識し始めた。

だが、まだ実行に移す気になれないようで、結局この会議でも何も成果が得られなかった。


そして、無属性の誕生と、土の龍の誕生により、ヘイムダル王国は重い腰をようやくあげ、この対策を実行に移した。

このころだ。

アークが、いやアークの家族が追われることとなったのは。

この頃のスヴァローグ王国の実権はカルロスの父によって握られていた。

そのため、無属性の彼を、彼らを執拗に追い回していた。

その時だった。

ジグナスが再び姿を見せるようになったのは。

ジグナスは皆の話を盗み聞きをし、アークを追わせた。

それをカルロスたちが知ったのは、会議場を護衛しているスヴァローグ王国の兵が傷つけられた時だった。

治癒魔法の専門士に傷を治してもらおうとした。

その時にジグナスが現れ、カルロスは無事だったものの、兵をすべて殺していった。

その行為がなぜやられたのか、カルロスは察した。

無属性をチェルトボーグにわたせ、そういうことなのだろう。

その一件以降、カルロスは父が無属性を追おうとしているときに妨害し、実権を取り戻した。


その後、無属性の者はどこかへと消え、誰も追わなくなった。

そのため、会議にいた誰もが気を抜いていた。

だから、エーギル家に水の龍が誕生しても誰も邪龍に対して対策を立てなかった。

これが17年前の話だ。


そして現在。

現在面識のある龍はアーク含め、六人。

もし、この先、闇の龍と会ってしまうと邪龍が復活してしまう。

そのため、最近では頻繁に会議をしている。

そういう状況だ。


*****************************


アークはその話を聞くと、拳を握りしめた。


「俺の両親を殺したのはチェルトボーグ王国だったのか…。」


怒りに震える彼をカルロスは落ち着かせ、話を続けた。


「アークは私がやったことを愚かに思うか?」

「いえ。ですが、こうも思います。もし、邪龍が目覚めた時に国民が襲われては元も子もない、と。」

「……。」

「だけど、その国民を守るのが僕たちだと思っています。」

「アーク…。」

「違いますか?」

「その通りだな。私たちが何とかすればいいのだ。」

「そのためには龍の力を持つ皆を集め、会議しなければなりません。」

「!?そんな事をしたら!!」

「邪龍が目覚めるということですね?それは覚悟の上です。だから、会議をする場所は邪龍の封印場所で。」


それを聞いたカルロスは驚いた顔をした。

なぜならそれはアークが命を懸けているように聞こえたからだ。


「だが…。」

「封印場所なら知っています。それに、倒すのが七聖龍の力を持つ者の使命ではないでしょうか。」

「…わかった。今から各国に伝える。」

「よろしくお願いします。できれば龍の力を持つ者だけで会議をしたいので、そのことも伝えてください。」

「全く…。私を誰だと思っているんだ。」


そうカルロスは言っていたが、嫌そうな顔はしていなかった。むしろ晴れやかな顔をしていた。

きっと、胸につかえていた物が取れたのではないだろうか。

アークはそう思った。


カルロスから各国の王に、例の予定を書いた手紙が届いた。

それには簡潔にこう書かれていた。


七聖龍の力を持つ者のみで会議をする。

場所は邪龍の封印場所、チェルトボーグ王国辺境。

日時は三日後の昼。

スヴァローグ王国国王カルロス。


各国の国王は、この書面を見た時、驚愕した。

だが、それと同様に体が高揚感に包まれるのを感じる。


「とうとう動きましたか…。」


カルロスの幼馴染であり、良い友人であるエーギル王国国王のゼキリス・エーギルはそう言った。


「動くのが遅いんだよ。」


ガイア王国国王、ディリク・ガイアは口元に笑みを浮かべながらそう呟く。


「待ってましたよ。」


レイノルド王国国王、クオリナ・レイノルドは窓の外を眺めながらそう言った。


「全く…。まだ国王になったばかりだというのに…。」


愚痴をこぼしながらもヘイムダル王国国王、ミレウス・ヘイムダルの顔はにこやかだった。


「……面白い。」


チェルトボーグ王国国王、ジグナス・チェルトボーグは陰湿な笑みを浮かべながらこの手紙を握りつぶした。


こうして各国はそれぞれ、出発の準備をしていた。

この先、何者かの策略にはまってしまうとも知らずに。


スヴァローグ王国ではアークとザキロスが準備をしていた。


「アークも無茶を言いますね。」

「いえ。ただこのままではいけないと思ったので。」


手紙を送ったカルロスはザキロスを自室に呼ぶと、アークに言ったことをそのまま話した。

その時のザキロスの反応は薄かった。

だが、衝撃を受けていたようでいつもより行動が変だった。

だが、だんだん落ち着いてきたのか、今はもう元に戻った。

そんな彼らを見ていたカリンは不審に思い、アークに話しかけた。


「これから何が起こるの?」


心配そうに尋ねてくるカリンにアークは微笑みながら彼女の方を見る。


「なんでもないよ。」

「嘘よ。危険なことなんでしょ?」


アークはそれを言われた瞬間、少し顔が引きつった。

それでも構わず、アークはなんでもないと言い張った。

それで引き下がる彼女ではなかった。


「教えて。何をしようとしているのか…。」


カリンの目には心配からか、それとも教えてくれないアークに対して怒っているのか、悔しいのか涙がたまっていた。

そんな彼女を見てザキロスは口を開きかけたが、そこへカルロスがやってきた。


「カリン、ちょっと来なさい。」

「お父様…?」


カリンはカルロスに呼ばれ、そちらへ歩んでいく。

カルロスが彼女を呼んだ理由、それは彼らが準備終わるまでの時間稼ぎだった。

アークとザキロスはそのうちに急いで準備をする。

準備が完了すると、アークとザキロスはカリンが背を向けているのを確認し、窓から下にロープを伝って下りて行った。

その後、馬車に乗り込み、城を後にした。

カリンは後ろに人の気配がしないことに気づいた。

だが、もうすでに時遅し。


「あ…。お父様!?」

「これから大事な会議が始まるんだ。この世界の平和についてのな。」

「え…?」


カルロスはそういうと自分の部屋に戻り、彼らの無事を願っていた。

それはどの国でもそうだった。


***************************


カリンは胸騒ぎを感じた。

何か、これからよくないことが起きるようなそんな感じだった。

そこでカリンは後を追うため、自分の部屋を抜け出そうと考えた。

扉を開け、誰もいないことを確認すると廊下に出る。

そのまま走って行き、門のところまで辿り着いた。

だが、そこにはたくさんの門兵がいた。

カリンは草むらに隠れて何とかやり過ごしながらどうしようかと考えをめぐらしていた。

その時だった。

肩を叩かれ、後ろを振り返ると見回りをしている兵だった。

とっさにカリンはその手から逃れるため、身をよじり、魔法を使って門の前に出る。

だが、門兵に見つかり、捕まりそうになる。

カリンは上級魔法、フレイムテンペストで兵を蹴散らすと門を出て、たまたまそこで草を食べていた馬に乗って外に駆けて行った。

そのことはすぐに城に伝わり、カルロスは兵に連れ戻すように命令した。


「なんてことだ…。」


カリンは後ろが騒がしいことに気付き、馬にフレイムウィップで鞭打つとさらに加速して逃走を図る。

馬がだんだん疲れてきたとき、前に馬車が見えた。

カリンはスピードを緩めると距離をとりながら、馬をゆっくり走らせた。

その時には後ろからの追手がいなかった。

そう思ったのだが、上から飛行魔法を使ってやってきた兵が降りてきた。

それを見た馬が驚き、カリンを振り落とすとそのままその兵士に突っ込み、吹き飛ばした。

カリンはそれを見て、走り出し、二台ある馬車のうちの一台の荷台に乗り込み、そのまま逃走した。


***********************


連れ戻すことを失敗した兵たちは、カルロスの元へ行くと頭を下げながら謝罪した。


「頭を上げなさい。あの子のしたいようにさせてあげよう。」


諦めたようにカルロスは力なく答えた。

その時、カルロスは心の中でアークに届かぬとは思いながら頼む。

どうか、危険な目には合わせないでくれ、と。


**********************************


その頃アークたちは、少し休憩に入っていた。

カリンにとって、それは予想外の出来事だった。

馬車を操舵している人が荷台を開けると、そこにはカリンがいた。

その人は驚いた声を出して転んでしまった。


「うわぁっ!!」

「どうしたんですか?」


アークが駆け寄るとその人は幽霊でも見るような眼で訴えてきた。

そのため、警戒しながら荷台を開ける。

アークとカリンはしばし見つめあっていたが、アークがため息をつきながらこう言った。


「まずは降りて、この人に謝れ。」


その言葉に対して素直に従い、その人に謝っていた。

その後、アークはカリンを呼び、話を聞いた。


「なぜここにいる?」

「嫌な胸騒ぎがしたからです。」

「来るなと言わなかったか?」

「わたくしが勝手に来ただけです。」

「全く…。勝手な奴だ。」


アークはザキロスに目をやると微笑みながら頷いた。

それを合図にカリンに向き直るとこう言った。


「戻れ…。」

「え…?」

「と、言いたいところだが、ここからだと遠いからな。しょうがない。ついて来い。その代わり、邪魔だけはするなよ?」

「わかっています。」


アークが了承の言葉をカリンに伝えると、屈託のない子供のような笑顔を向けてきた。

話はまとまり、三人で会議に出ることとなった。

しばらく休憩していたアークたちは、他愛もないことを話しながらいた。

そのうち話題がなくなってきたため、馬車に戻って、進むことにした。


***************************


しばらく馬車に揺られ、カリンは眠ってしまった。

だが、そろそろ着くころだ。

仕方がないため、アークは肩を揺さぶりながら起こす。


「そろそろ着くぞ。起きろ。」

「んぅ~…。」


アークはため息をつきながら揺さぶり続ける。

だが、いっこうに起きる気配がなかった。

そう思っていた時だった。

馬車にとても強い衝撃が襲った。


「なんだ!?」


ザキロスは操縦士に聞く。


「何者かによって攻撃を受けています!!」


衝撃で起きたのか、カリンは怯えた表情でアークにしがみついていた。

馬車をザキロスの命令で止めると全員で外に出る。

外に出るとそこには何者かが立っていた。


「誰だ?」


警戒しながらザキロスが近づいていく。

その者は口元に嫌らしい笑みを浮かべるとこう言った。


「俺か?俺の名前はゲイルス・チェルトボーグ。」


ゲイルスは品定めするかのようにアークたちを見る。

しばらくして気が済んだのか、彼らから離れ、そのまま去っていこうとする。

それを見てアークは声を上げる。


「待て!!」

「なんだ?」

「さっき俺らの馬車を攻撃したのは…。」

「あぁ。俺だ。」


あっさり肯定しながら笑う。

アークはそんな彼を見て頭に血が昇っていく。

だが、ザキロスがそんな彼を見て落ち着かせる。


「落ち着け。とりあえず、あいつについていこう。」


そういうとアークは平常心を取り戻したのか、落ち着いた。


「あ、言い忘れてたけど、俺が闇の龍の力を持ってるから。覚えておいてよ?火の龍と無の龍。」


嘲笑うかのように去っていくゲイルス。

アークはあんな奴が闇の龍だなんて信じられなかった。

だが、それが現実だ。

彼らは馬車に乗りなおし、ゲイルスの後をついていく。

この時、誰もが今回の会議は難航する、もしくは荒れる、そう思っていた。


変なところがあれば指摘してください。

直します。



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