第五話 風の商人
お待たせしました。
第五話です。
前話とは違いバトル展開を入れたつもりです。
キリカが王国へ帰ってから二日がたったが、未だカリンはアークに対してあたりが強かった。
なぜかわからないが、言葉に棘を含ませて話すのだ。
最近ではアークは神経を逆なでさせないように一生懸命言うことを聞いている。
それをカルロスに言ったことがあった。
だが、カルロスはそんなカリンを見てこう言った。
「青春だね~。」
アークはそれどころではなかった。
カリンの視線が痛くて、とても怖い。
誰かに何とかしてほしい。
と、そんなある日、突然来客が来た。
商人らしいが、直接国王に会いたいと言っており、警備員たちを困らせていた。
カルロスはまず、ザキロスに商人のもとに行かせた。
だが、相手は聞く耳を持たず、ザキロスを追い返してしまったらしい。
カルロスは仕方なく、城の中に入れることにした。
何か品物の交渉だとカルロスは全く分からないため、詳しいアークに同席を命じた。
「初めまして。レイノルド王国から来ました、商人のレイネス・エンリルです。」
商人の笑みを浮かべながらレイネスが頭を下げる。
事前にアークはその笑みに騙されないようにとカルロスに言ってある。
そのためかわからないが、カルロスは油断せずに落ち着いていた。
「何のようかな?」
「特産物を買ってくれませんか?」
「実物を見せてもらえるかな?」
「はい。」
レイノルド王国はアークの情報が間違っていなければ放牧が有名だ。
その特産物は、肉や野菜を使った物が多く、安く仕入れることができる。
どの国も、レイノルド王国の肉や野菜などの食料品を求めて王国へ行き、買っている。
だが、今回特産物と出された物は違った。
「武器?」
「そうです。」
出された物は剣と盾だった。
武器で有名なのはガイア王国のはずだ。
なぜこんなものを持っているのかアークはわからなかった。
見た感じでは何かの動物、もしくは魔物を使った軽い剣と盾だった。
「これをいくらで買えばいいんですか?」
アークはレイネスに尋ねる。
すると驚きの金額を言ってきた。
「銀貨1000枚。」
それを聞いたアークは即答気味でこう答えた。
「高すぎます。普通の武器でも銀貨50枚でそこそこの物が買えます。高いのでも100枚から150枚ですよ?材料は何ですか?」
「材料はバイコーンの角です。」
バイコーンとはユニコーンに並ぶ希少価値のある魔物だ。
ユニコーンと違うところは捕まえるのが容易なところだ。
気性は荒いが、ユニコーンほど頭は良くなく、攻撃のパターンも同じだからだ。
だが。
「バイコーンは今、捕ってはいけないはずでは?」
バイコーンはその捕まえやすいため、その数が急激に減少し、生態系に衝撃を与えられると考えた各国の代表はバイコーンの捕獲、もしくは殺傷を禁じた。
そのため、現在ではだんだんと数が増えてきた。
だが、これが仮にバイコーンの物だとするとレイネスは違反していることとなる。
「養殖のバイコーンです。」
レイネスはそんな事を平然と言って見せた。
だが、もし、養殖だとしても本物の保証はどこにもないし、違反ではないのだろうか。
それを聞こうとカルロスに目を向けると首を横に振っていた。
違反ではないらしい。
では、本物ならばバイコーンの角はよくしなり、柔らかいが、折れないものだ。
「触っても構いませんか?」
「いいですよ。」
アークはその剣を手に取り、剣先を持ち、曲げた。
すると、薄い刃はよくしなり、折れなかった。
次に盾を手に取り、曲げようとしたが盾は全くしならず、硬いままだった。
「この盾の材料は?」
「それは…。」
レイネスが口籠った。
アークはその反応を見て、これはどこにでも売っているものだ、そう思った。
「この盾はバイコーンの角でできたものではないんですね?」
追撃をしてくるアークに対して、レイネスは目を泳がし、何かを考えていた。
しばらく沈黙の空気が立ち込めたがレイネスは口を開け、沈黙を破った。
「なら証明しましょう。あなたと私が戦い、この武器がバイコーンで出来ていると。」
アークはその提案を聞き、考える。
剣の方は絶対にバイコーンの角だ。
あれだけ曲がるものは他にない。
だが、盾の方は怪しい。
そんなものを使ってしまえば、ばれた時のリスクが大きい。
信頼を失い、商人を続けられなくなる可能性が出てくる。
アークはなぜこんな提案をしたのか分からなかったが、その提案を受けた。
「いいのかい?」
「はい。このまま何もしないよりはましです。」
カルロスは心配そうに聞いてきたが、アークの言葉を聞き安心した。
アークたちはザキロスと戦った闘技場へ移動し、対峙する。
「レイネスさんでしたっけ?」
「レイネスで構いません。」
「わかりました。レイネス、では行きますよ。」
「はい。」
アークはすぐにレイネスに近づき、自分の間合いに入り、盾に拳を打ちつける。
レイネスは少し飛ばされたが、体勢を立て直し、剣を振り上げながら近づいてきたが、その軌道を見切ったアークは避け、そのままがら空きのボディに拳を叩きつける。
当たったと思った拳は空を切った。
レイネスは飛行魔法を使い、空に逃げていた。
「危ないところでした。まだやられるわけにはいかないんですよ。この盾の性能を見ていただくまでは。」
「大丈夫だ。もうわかってます。」
そういった瞬間盾が真っ二つに割れ、下に落ちた。
「なっ…。いつの間に。」
「盾に拳を打ちつけた時です。」
偽物だとわかったアークは躊躇なく盾を割ったのだ。
アークは森で暮らしていた時、盗賊との戦闘の時、バイコーンの盾に拳を打ちつけたことがあったのだが、守るというより、攻撃対象を包み込み、衝撃を吸収するような感じだった。
だが、今回のこれは誰がどう見ても守るためのものだった。
だから偽物だとわかった。
レイネスは下に降りて来て、項垂れる。
「すいませんでした。」
「すいませんで信用は取り戻せたら苦労しませんよ。行動で示さなければなりません。」
「はい…。」
「おかえりください。」
アークは冷たく言い放つとレイネスは下を向きながらその場を去って行った。
次会う時にはインチキせずに来てくれると、その時はそう思った。
だが。
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カルロスはザキロス、カリン、アークとお茶を飲んで話をしていた。
その内容は、今回ここへ来たレイネスの話だ。
「しかし、アーク、あれがバイコーンのものではないとよくわかったな。」
「簡単ですよ。今度カルロスさんにも教えますよ。」
「頼むぞ。」
「任せてください。」
お互い笑いあい、ザキロスやカリンも教えてほしそうな目をしていたため、カルロスと一緒に教えると約束をした。
その後、時間が少しずつ経ち、解散になった。
その時だった。
「国王大変です!!」
「どうしたそんなに慌てて。」
「龍に襲撃されました!!」
「なんだと!?私も行く!!」
「しかし…。」
「私のボディガードにアークも連れて行く。ならいいだろ?」
「はいっ!!」
アークの名前を出すと安心したのか、おとなしく兵が従うと走ってその場を離れた。
カルロスはアークを呼び、走って現場へ向かう。
そこには空から様々な攻撃をしてくる龍の鎧を纏った何者かが襲撃していた。
しかもその龍は風の龍、ウィンドレイクだ。
「アーク、頼んでいいか?」
「もちろんです。」
「気をつけろよ。」
「はい。」
アークはウィンドレイクの方へ向かう。
ウィンドレイクはスヴァローグ魔法騎士団を蹴散らす。
当たり前だ。
あの伝説の龍に立ち向かえるのはこの騎士団に少ないがいる。
だがその数が少なすぎる。
せめて後五人いれば何とかなったのだろうが、言ってもしょうがない。
ウィンドレイクに近づけば近づくほど風が強くなっている。
だが、アークは落ち着きながらアンチマジックを使う。
すると風はやみ、進みやすくなった。
アークは少し離れた場所で腕の包帯を解き、龍の鎧を纏いウィンドレイクのいる空へ羽ばたく。
純白の龍と、深緑の龍がぶつかり合う。
ウィンドレイクは手と翼が一緒になっている。
例えるならば、コウモリの翼だ。
そのため、飛ぶ速さは速く、龍の中で最も早いといわれている。
動かれると困る。
アークはそれを知っていたため、アスカロンを呼び出し、一撃で倒そうと考え、ウィンドレイクに切りかかっていく。
ウィンドレイクはそれを見て、妨害のために風属性最上級魔法、ブレイクゲイルを唱える。
ものすごい風がアークを襲い、前が見えなくなる。
だが、それは想定の範囲内で、アークは落ち着きながら次の行動に出る。
「アンチマジック!!」
ウィンドレイクは自分の魔法をキャンセルされたことを驚き、動きが止まる。
その一瞬を見逃さず、アークはアスカロンで深緑の龍、ウィンドレイクの翼を切った。
龍の鎧は解除され、そのまま人が落ちていく。
アークはその人の手をつかみ、ひっぱりあげ、顔を確認する。
そしてその人物を見た瞬間、驚愕した。
その顔はついさっきまでいたレイネスであった。
誤字脱字があれば指摘してください。
確認漏れがあるといけないので。




