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七聖龍と僕との物語  作者: 陸奥 昴
聖魔対決編
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第二十話 暗雲


エーギル王国に向かっている四人は、ようやく六魔獣を倒したことを話し合っていた。


「これからどうなると思う?」

「そうだな…。」

「アークさんが何とかしてくれます。」

「そうだな。」


四人の顔は晴れやかだった。

だが、その顔はすぐに消えることになる。

エーギル王国に着くほんの少し前、空が黒ずんできた。

七聖龍たちは、すぐにこれが邪龍によるものだと直感する。

世界が暗闇に閉ざされる前に倒さなければ、皆それぞれがそう思っていた。

そう思っている時だった。

エーギル王国についた。

その門のところに丁度、四人の人影が見えた。

目を凝らすと、アークやザキロス、カリンまでいた。

それを見てレイネスはいち早く四人の方へ行く。


「アークさん!!」


全員が揃い、喜ぶ中、すぐに気持ちを切り替えていく。

そして、アークが指示を出す。


「喜ぶのはここまでにしよう。まずは邪龍を倒しにいく。そのうえで一つ、お願いしたいことがある。まずは、カリン。」

「はい。」

「ここで待っていてくれないか?」

「え…?ですが…。」

「七聖龍ではない君を巻き込みたくないんだ。だから、ここで待っていてほしい。」

「…わかりました。」


カリンは俯きながらも小さく頷く。

それを見たアークは次に、イーゼルへ目を向ける。


「イーゼルさんは、各国の市民を一か所へ集めて守ってください。」

「私の役目はそれですか?」

「はい。あなたの守備能力は七聖龍の中でもずば抜けています。なので頼みたいと思います。」

「ですが…。」

「どんな被害があるかわかりません。お願いします。」

「わかりました。私の分まで頑張ってください。」

「任せてください。」


アークは邪龍との闘いに、イーゼルの能力が欲しかった。だが、空が黒くなるのを見て、市民に被害が出ない確率は少なからずあると思った。

そのため、急遽変更し、市民の命をイーゼルに任せた。

そして、次にミレウスへ目を向ける。


「ミレウスさん、あなたには、邪龍と僕らの周りに結界を作ってください。」

「戦うのではなく?」

「はい。あなたの光の力は邪の力を抑える働きがあると思います。外への被害を少なくしたいので、お願いできますか?」

「わかりました。精一杯やらせていただきます。」


ミレウスは決意の籠った目をアークに向けた。

アークはそれを見て、頬を緩ませ、頷いた。

そして顔を引き締め、レイネスへ目を向ける。


「レイネス、君には伝達係をしてもらう。」

「どうして?」

「君の判断で、市民に被害が出ないと思った時に、イーゼルを邪龍との闘いに向かわせてほしいんだ。」

「そういうことなら。わかりました。」


理由を聞いて納得したのか、笑顔で頷いた。

アークは何も言わずに、自分の言うことを聞いてくれる彼らに感謝をしていた。

この借りは必ず、返そう。

そうも思っていた。

その後、アークは残りのザキロス、キリカ、ゲイルスの三人に目を向け、こう言った。


「三人は俺と共に、邪龍討伐に向かう。作戦なんかはない。だけど、必ずまた、みんなで会えるように死なないでくれ。」

「わかった。」

「わかりました。」


キリカと、ザキロスはすぐに返事を返す。

だが、ゲイルスは違った。

どこか、緊張しているのか、それとも戦いたくないのか、そんな顔をしていた。


「ゲイルス?」

「邪龍は…父によって支配されました。」


衝撃な真実を告白するゲイルス。

一様に驚く中、アークは落ち着いてこう言った。


「そんなことは知っている。だからいろいろ聞きたいんだ。そのためにゲイルスも来てほしいんだ。」

「戦えません。」

「それでもいい。例え戦えなくたっていい。ゲイルス、君が説得するんだ。もしかしたらそこに活路があるのかもしれない。」


何かを気付いたのか、ゲイルスの顔から今までの緊張している面持ちは消えた。


「わかりました。行きましょう。」

「よし…。行くぞ!!」

「おう!!!」


全員が持ち場へ行く。

レイネスとイーゼルは国土的に、最適なスヴァローグ王国へ行く。

あそこなら、全国民を避難させられるだろう、そう思ったからだ。

いち早く、レイネスが飛んで行き、連絡する。

カルロスは快く承諾し、協力した。

彼は自らの国民へ、通達する。

今から他国民が来るが、協力して助け合ってほしい、そう伝えた。

今まで良くしてくれたカルロスの頼みをむげにするような国民はおらず、避難が始まってからは協力しあった。

そのため、早い段階で避難が完了した。

そしてイーゼルは、土属性の最上級魔法、グラビティシールドを最大魔力で放ち、直径50kmにも及ぶ巨大なドームを作り上げた。

この魔法は術者が死なない限り、解けない。

そのため、魔力の供給を必要としない魔法だ。

しかし、供給はいらないとはいえ、ここまででかいドーム状の盾を作るには魔力をすべて使ったらしく、倒れてしまった。

だが、市民の皆さんがイーゼルを回復させている。

そのため、回復は早くに済みそうだった。

イーゼルは彼らに感謝をしつつ、この盾の中が真っ暗なのに気がついた。

その時だった。


「発光魔法を持っている者は使ってくれ!!交代でもいい!!」


カルロスが呼びかけていた。

それに応えて、所々から光が現れた。

これでしばらくはもちそうだった。

そうはいっても限りはある。

もって、三時間といったところだろう。

この間にアークたちには邪龍を倒してもらいたい。

イーゼルはそう思っていた。


**********************************


イーゼルが巨大なドームを作っている頃、アークたちは邪龍の力を手に入れたジグナスと対峙していた。


「父上!!おやめください!!」

「なぜ?」

「皆が困っております!!」

「そんなもの知るか。私はこの世界を滅ぼすためにこの力を手に入れたのだからな。」

「なぜ、なぜこの世界を怨んでおられるのです!?」

「この世界は汚い。人間は愚かで、醜くて、薄汚く、残酷な生き物だ。そんなところに生きていられなくなったからだ。それに、私の妻が病だというのに、誰も何もしない。それどころか、自らの利益を優先させ、薬を売ろうとしない。だからだ。」

「たった…たったそれだけのことで…。」


ゲイルスは自分の親なのにもかかわらず、そんな事を呟いてしまった。

その呟きはジグナスにも聞こえていたらしい。


「たっただと!?貴様は、薄汚い人間の味方をするのか!?」

「……。」

「なんとか言ったらどうだ!?」


ジグナスは狂ったように怒鳴り散らす。

ジグナスの恨みの権化は、行商人が薬を売らなかったころにさかのぼる。

その頃、ジグナスの妻はゲイルスを生み、病になった。

原因不明、医者も匙を投げるほどだったという。

それほどまでの難病。

部下も治癒魔法を何度もやった。

だが、その健闘もむなしく、治らず、全員ジグナスに処刑された。

その後、ジグナスは一人の行商人に出会う。

その行商人はどんな病も治してしまう、ユニコーンを持っていた。

ジグナスはそれを買おうとした。

だが、断られた。

どうやら、すでに買い手がおるらしく、そちらに回す、というものだった。

ジグナスは最愛の妻を助ける術を失った。

それどころか、妻が亡くなった日、部下の失態のせいで死に目に会えず、死んだ二時間後に会えた。

ジグナスは涙が出なかった。

それどころか、自分、今まであった人間、全てを怨んだ。

その時に目にしたものが七聖龍の本だった。

そこには邪龍のことも書いてあり、この力を使って世界を滅ぼす計画を練ってきた。

そう、全ては妻のために。

それをゲイルスの口から聞いたアークは何かが違う、そう思った。


「ならなんで、あなたは自分と同じような境遇をした人たちを救おうとはしなかったのです?あなたと同じように思っている人はいるはずです。」

「うるさい!!なぜだと?そんなもの決まっている!!私は復讐を望んだからだ!!」


アークたちはもう何を言っても無駄な気がした。

いや、もうすでに無駄なのだ。

ならば、とアークは呟くと、ゲイルスを見る。

ゲイルスは諦めたかのように小さく頷き、アークと共に前進する。

その瞬間、ミレウスが光の障壁を作り、彼らを囲う。

アーク、ザキロス、キリカ、ゲイルスは龍の鎧を展開し、ジグナスと対峙する。

ジグナスはそれを見て、邪龍の鎧を展開する。

その鎧の色は闇より深い黒で、禍々しいオーラを放っていた。

そして、その格好は翼が一対と、尻尾、鋭い爪のある手、しっかりとしている足。

その全てが禍々しい。

これが闇の頂点、七聖龍と対立する存在、邪龍、ディアボロス。


「そうだ。貴様たちにいいことを教えてやる。」


ジグナスがいきなり口を開く。


「なんだ?」

「七聖龍は火、水、風、土、光、闇、そしてもう一つは、雷。」


七聖龍の皆が驚く。

無理もない。

古い文献にも七聖龍は火、水、風、土、光、闇、そして、無なのだから。

皆が驚いている中、ジグナスは一人続ける。


「無はその時、神龍として、七聖龍を束ねていた。ある時、神龍の元へ一体の龍が現れた。それが、邪龍。そして、邪龍は神龍に喧嘩を売った。その喧嘩は世界おも巻き込むものとし、人間が止めに入る。だが、人間はこの二体の龍にやられ、人間は喧嘩を止めるのを諦めた。その時には決着がつこうとしていた。神龍の勝ちだった。その理由は、雷龍を殺されたからだ。ちなみに雷龍を殺したのは、邪龍だ。」

「だからなんだ…?」


アークは驚き冷めやらぬ顔をしていたが、冷静になって尋ねた。


「貴様に仲間などいないってことだよ。神龍は孤独だった。その後のことはどんな文献にも書いてあるとおりさ。」


高笑いしながらそんな事を言い放った。

アークはそれを聞いて驚いた。

だが、それだけだ。

薄々感じてはいた。

自分だけ、七聖龍から抜けているような気がしていた。

機会があれば調べようと思っていたことだ。

そこまでショックではない。

だから、こんなことが言えたのだと、アークは思う。


「だからなんだ?今は孤独じゃない。皆がいて、守りたい人、守りたい世界、それらがある。

例え孤独だとしても、俺は今と同じことをするっ!!」


強い決意を持ってそう言った。

そう、孤独なのはなれている。

それも、昔の話だ。

今は、七聖龍の皆がいて、色々な人、守りたい人がいる。

だから孤独じゃない。


「孤独なのは、あなただ!!」


指を指しながらジグナスを睨みつける。

すると、意外な答えが返ってきた。


「わかっているさ。だからこそ、この世界をなくせる。」


ジグナスも固い決意に満ちたまなざしだった。

その目を見た瞬間、話し合いでは解決しないだろう、そう思った。

ならば、戦うしかない。

これしか、もう手段がないのだから。

ジグナスもそれはわかっているようだった。


「さぁ、やろうか。」

「あぁ。」


アークとジグナスは互いに構えをとる。

それにつられたのか、ザキロス、キリカ、ゲイルスも構えをとる。

こうして、最終決戦の火蓋が切って落とされたのだった。


いよいよ、次で最後となります。

駄文で申し訳ありませんが、最後までお付き合いください。


この後、七聖龍の運命は?

世界の行方は?

アーク達はどうなるのか?


楽しみにしてくれると嬉しいです。

では、最終話にてお会いしましょう。

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