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七聖龍と僕との物語  作者: 陸奥 昴
聖魔対決編
17/21

第十七話 地響き

また久しぶりな更新ですが読んでくれると嬉しいです。

まだ続きますのでもうしばらくお付き合いください。


ボロボロな体で立ち上がり、さらに睨む力も残しているミノタウロスに対し、イーゼルは止めを刺そうと一歩前に出る。

その瞬間だった。

急激にミノタウロスのオーラが膨れ上がってきた。

それは地震となって各地へ襲う。

イーゼルは盾の一つに乗り、揺れから身を守ったが、相当な揺れだ。

背筋に何か冷たい物が流れ落ちていくようだった。

そしてそれと同時に、このような感じを以前にもつい最近感じたことがある、イーゼルはそう思い、思考をめぐらす。

この感じは間違いなくあれだ。

滅殺魔法。

イーゼルも魔力を高めていく。

だが、イーゼルの魔力がたまる前にミノタウロスは滅殺魔法を放った。


「まずいっ…!」


そう呟いた瞬間、五つの盾が滅殺魔法のところへ行く。

そしてその攻撃を受けている。

だが、破られるのも時間の問題だ。

イーゼルは全力で魔力を高める。

そして。


「よしっ!」


顔を上げ、盾の後ろに回り込むと、地に手をつき、叫ぶ。


「グラビティインパクト!!」


龍魔法、グラビティインパクト。

これは敵に通常の100倍もの重力をかけ、さらに、自分には目の前に大きな土、いやこの場合は大地だ。

大地を盾として目の前に現れさせる。

そしてさらには地面から敵に向かって岩の塊を囲むように配置し、そしてそれで敵を潰す。

そんな技だ。

イーゼルは盾を呼び戻し、大地でできた盾で身を守る。

ミノタウロスは100倍も高められた重力に反して立っている。

だが、だんだんと足が地中に持って行かれそうになっている。

イーゼルは勝てる、そう思った。

その思いとは裏腹にミノタウロスは段々とこちらに近づいてきている。

そう、歩いているのだ。

一歩ずつ、激痛に耐えながら。

骨は軋み、筋肉は疲弊し、血を流しながら歩く。

イーゼルはミノタウロスのその様子を見てしばらく動けなかったが、ハッとして急いで次の行動に出る。

ミノタウロスに向かって地中から岩を出し、押しつぶす。


「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ミノタウロスの口から苦しそうな声とともに大量の血を口から吐く。

そして、力尽きたかのように膝を折り、倒れる。

イーゼルは彼が起きないか、疑ったが、指一本動かない様子を見て、全ての魔法を解く。

そして、ミノタウロスの元に歩み寄り、呟く。


「お前ほどの兵と戦えたのは俺の誇りだよ…。」


呟くのと同時にミノタウロスの体が塵となり、消え去った。

イーゼルは、これから戦うであろう仲間のいる方へ、顔を向けてこう呟いた。


「頑張れよ…。」


その後、イーゼルは城の中に入って行った。


**********************************


キリカは湖に入っていくと、そこには敵を威圧する鋭い目、鱗に覆われた丈夫そうな体、蛇のような太い胴体、全てを切り裂いてしまいそうな牙。

その全てが恐怖の対象だった。

だが、逃げ出すわけにはいかない。

キリカは覚悟をきめて龍の鎧をまとう。

そうして目の前にいる敵、六魔獣が一対、リヴァイアサンと向き合い、対峙する。

向き合った瞬間、リヴァイアサンが口を開く。


「お前が七聖龍か?」

「そうよ。」

「人間のくせに水中に潜り、さらには息までできるとはな。」

「水龍の特性よ。地上でも水中でも息ができるようになっているの。」

「なるほどな。」


そう、水龍は水陸両用で息ができるという特殊な特性を持っているのだ。

七聖龍すべてに言えることだが、特殊な特性は持っている。

そう言われてリヴァイアサンは納得した。

前に戦った時は何も聞かされず、何も聞かれずただ一方的に攻撃をされ、リヴァイアサンが負けた。

そのため、今のリヴァイアサンは七聖龍に対して物凄い敵対心を燃やしている。

それと同時に、今まで封印されていたことが気に食わなかったらしく、逆鱗に触れてしまったようだ。

だが、そんなことは知ったことではない。

キリカは特になにも思わず、リヴァイアサンの話を聞いていたが、それも気に食わなかったらしい。


「おい、小娘、聞いているのか?」


怒気を含んだ声で聞いてくるがキリカにとってそれはどうでもよかった。


「そんな過去のこと話していて楽しい?私、全然楽しくないし、そんなのどうでもいい。それに、あなた沸点低いんじゃないの?」

「なんだと?」


キリカの言葉を聞き、リヴァイアサンが怒り狂う。


「貴様、言わせておけば!!身の程知らずめ!!」


リヴァイアサンはキリカに突っ込んでいく。

それをキリカは、難なくかわし反撃をする。

水属性、中級魔法のアイスブロー。

拳を氷で覆い、それで敵を殴る魔法だ。

一見、地味だが、意外と威力のある技だ。

それを食らわせた後、キリカは、一旦距離をとるために離れる。

リヴァイアサンは頭に直撃を食らい、軽い脳震盪を起こして、しばらくは動けなかった。

しばらくして、脳震盪から回復し、頭の切れ変えができた。

あの小娘を舐めてはいけない。

そう思いなおし、キリカを探す。

だが、彼女はどこにもおらず、リヴァイアサンはイライラし始める。


「どこに行きやがった!!」


キョロキョロしているリヴァイアサンを見てほくそ笑むキリカ。

彼女は今、リヴァイアサンの真後ろにいるのだ。

だが、普通に、ではない。

魔法を使って、だ。

水属性、上級魔法、デストラクトウォーター。

海水、もしくは淡水に紛れることのできる魔法。

完全に水に紛れるのは容易ではないが、キリカの場合は水龍を体に宿らせているため、完全に紛れることができるのだ。

だが、この魔法は欠点があり、この魔法を使っているときは他の魔法は使えないことだ。

そのため、素手での攻撃、もしくは武器を持っている場合は武器を使うか。

だが、武器は水に紛れさせることができないため、敵にバレてしまう。

つまり、実質上今のキリカは素手での攻撃しかできない、ということだ。

だが、それではリヴァイアサンに勝てない。

キリカは覚悟を決めた。

デストラクトウォーターを解除し、攻撃に移ろうとする。

ユラユラと元の色が戻っていくキリカの体。

そして再び頭にアイスブローを当てると、デストラクトウォーターを使い、姿を消した。

リヴァイアサンは耐性が出来ていたのか、前よりダメージはなさそうだが、イライラが募っていた。

これはキリカの作戦だった。

キリカはいつだったか、戦う時に敵の平常心を奪うやり方を本で読み、修行をしていた。

そしてそれが体に染みつき、キリカのスタイルとなった。

まずは敵を混乱、もしくは怒らせる。

そうすれば人、もしくは知性を持つ魔物は平常心にかけ、実際の能力の半分くらいしか発揮できなくなる。

そう書いてあった。

本当かどうか、実戦はこれが初めてなのでわからないが、効果はあるようだ。

だが、敵は六魔獣。

リヴァイアサンは六感を使い、キリカの位置を特定し始める。

だが、見つからないとわかるとリヴァイアサンは暴走し始める。


「どこ行きやがったぁぁ!!」


魔法を使ったのか、嵐が起き始め、波が高く、そして水面にはいくつもの竜巻が水中に向かって起きていた。

キリカは徐々に渦に巻き込まれていく。

だが、キリカは懸命に泳ぎ、何とか渦から脱出することができた。


「無茶苦茶ね…。」


つい、そうやって呟いてしまった。

キリカは逃げられないことが分かったのか、リヴァイアサンに近づいていく。

そしてそのまま渦に乗り、勢いをそのままにリヴァイアサンへ体当りをする。

リヴァイアサンは後方へ吹き飛び、それと同時に渦も、嵐もなくなった。

そして、何とか体勢を立て直し、キリカに向き合う。


「ようやく出てきやがったか、虫けら。」

「あら、その虫けらにやられていたのはどこの誰かしら?」

「貴様…。なめているのか?」

「だったらどうだっていうの?」


キリカは鼻で笑いながらそう言い放った。

すると、リヴァイアサンの体に異変が起きた。

青かった体が赤くなった。

怒りが溜まると赤くなるようだ。

リヴァイアサンは怒っていた。

かつてないほどバカにしたような水龍。

それだけではない。

魔法を使い、卑怯ともいえる攻撃をしてきたこと。

確かにそれも必要なことだ。

リヴァイアサンはそう理解していたのだが、それは奥の手ではないのか、そう思っていた。

この戦い方が、キリカの、彼女のスタイルだと知らずに。

単調な考えしかできないのが、リヴァイアサンの特徴でもあるのだが。

キリカはそれを知っていたため、わざとこのスタイルでリヴァイアサンに向かっていた。

だが、今、目の当たりにしている赤くなったのは聞いたことがない。


「我を愚弄した罪、死んで詫びてもらうぞ!!」

「それはできない約束よ!!」


お互いにお互いへ突撃していく。

水中を互いに抵抗なんて感じさせないほどの速さで駆け巡っていく。

互いがぶつかり合うたび、泡が爆発のように出てくる。

牙を向けるリヴァイアサン、それに対抗するためにアイスエッジを使うキリカ。

湖上が波打ち、その衝撃で岸部が少しずつ崩壊していく。

キリカはそれを痛々しい気持ちで見ながらも、手加減すればこちらがやられる力を持つリヴァイアサンと戦っているのだから目を瞑ってほしい、そう言う感情が心を支配していた。

リヴァイアサンは周りのことなどお構いなしに、次々と攻撃を繰り出してくる。

その時の感情はたった一つ、楽しい、それだけだった。

攻撃をしながら、その感触、緊迫感、雰囲気、全てがゾクゾク来るほど楽しいものだ。

そう思っている。

お互いは、それぞれ感情を抱きながら、戦っているものの、リヴァイアサンが優勢になっていく。

そして、キリカの顔に焦りが見始められた。

デストラクトウォーターを使えない今、奇襲ができない。

なぜできないのかは、完全に消えるまでの間、攻撃および、防御ができない。

それに何より、目の前で消えても何の効果もない。

次いで言えば、これだけの攻撃をされて消える暇がない、これが一番の理由だった。

だから焦る。

だが、焦れば焦るほど、集中力は切れていく。


「きゃぁ!!」


集中力が消えたところにリヴァイアサンの一撃が炸裂する。

キリカはそのまま湖底へと吸い込まれていき、激突した。

砂埃が舞い、視界が悪くなる。

そのせいなのか、はたまたただ様子を見ているだけなのか、リヴァイアサンはじっとしていた。

その間、キリカは休んでいた。

肉体的に、ではなく、精神的な休養だ。

時間を稼ぐため、デストラクトウォーターを使う。

その間に心の整理をする。

その時、浮かんだのが彼、アークの顔だった。

それを思い浮かべた瞬間、ある感情が生まれた。

仲間のために、何より、このことに気付かせてくれた彼のために、戦うこと。

そう心に残し、勢い良く、土埃の中を突っ切っていく。

そして、様子を見ていたリヴァイアサンへアイスブローを決める。

不意打ちを食らったリヴァイアサンは大きく体勢を崩すと、キリカの連続攻撃をすべて受けてしまった。

だが、痛み以上になぜここまで急に強くなったのか、わからなかったが、より面白くなる、そう思っていた。

そして最後に一発キリカは決めると、一旦距離をとる。

リヴァイアサンは頭を大きく振り、キリカを睨みつける。


「どうした?もう終わりか?」

「まだよ。これから。」

「そうだよな…。かかってこいよ。」

「言われなくたって!!」


キリカは先程までとは比べ物にならないスピードでリヴァイアサンへ肉薄する。

リヴァイアサンは少し驚いたが、それでもキリカのスピードについて来ている。

それを見て、キリカはもっと、もっと速く。

誰も追いつかないほど速く。

そう思いながら水中を猛スピードで駆ける。

段々と差が出始めていく。

リヴァイアサンは追いつかない、そう思ったのか、衝撃波を口から出し、キリカに当てようとした。

だが、スピードに乗っているキリカに安易にかわされる。

そしてそのままキリカはリヴァイアサンへ体当りする。

リヴァイアサンは湖底へ激突するとしばらく動かなかった。


**********************************************


ミレウスとゲイルスはレイネスと合流し、勝利したイーゼルの元へ急ぐ。

そして、現在戦っているキリカを鼓舞しながらイーゼルのいる、ガイア王国へ行くのだった。


********************************************


その頃、間もなく到着するアークたちは決戦に向けて精神統一していた。

作戦会議はとっくにやった。

後は戦うだけ。

誰もがそう思っている。

それと同時に仲間のため、自らのため、戦うとも思っている。

そう、彼らが戦うのは不死鳥であるフェニックスなのだから。


***********************************************


「そろそろだな。」


邪龍の眠る扉の前で呟く一人の国王。

ジグナスの目的はただ一つ。

邪龍の力を掌握し、この世界を滅ぼすこと。

そう、この忌まわしき世界を自分ごと全て葬り去る。

そうすればあれも。


「今は関係ないか。」


ふと思い出した記憶を鼻で笑い、陰湿な笑みを浮かべる。

そして両腕を伸ばし、叫ぶ。


「さぁ、始めようか!!この世界最後の、鎮魂歌(レクイエム)を!!」


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