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七聖龍と僕との物語  作者: 陸奥 昴
聖魔対決編
15/21

第十五話 答え

お待たせしました。

長いことお待たせしてすみません。

読んでくれると嬉しいです。

まだ続くのでよろしくお願いします。


レイネスは答えを出すため、グリフォンに迫る。

だが、グリフォンは急に加速するとレイネスの背後に行く。

そしてそのまま前足を上げ、レイネスに振り下ろした。

レイネスは不意打ちを食らい、地面に激突する。


「くっ…。」


立ち上がろうとするレイネスへグリフォンの尻尾が襲う。

彼の足に絡みつき、太腿に噛みつくと、地面に叩きつける。

何度も何度も叩きつけている。

それでもレイネスは抵抗しようとする。

だが、次第に体に力が入らなくなってくる。

どうやら、尻尾には毒があるようだ。


「そろそろ毒が効いてくる頃か。さぁ、どうする?」


この状況を楽しんでいるのか、グリフォンが笑いながらそう言った。

レイネスはなぜこうなってしまったのか、考えていた。

だが、それも無駄だと思ったのか、レイネスは今目の前にいる敵に集中することにした。

もし、ここで自分が負ければ、皆に合わせる顔がなくなるし、迷惑掛けるだろう。

それに、自分の好きなこの故郷が、グリフォンに壊滅されるのはいやだ。

そう考え、レイネスは歯を食いしばり、蛇から逃れるために足搔く。

それでも離れない。

レイネスは魔法を発動させて切ろうと考える。

だが、叩きつけられているため、発動できるかわからない。

レイネスはそれでもやらなくてはだめだ、そう思い一か八かの賭けに出る。

中級魔法、ワールウィンドを繰り出す。

それは尻尾を切り裂き、レイネスの体を自由にさせた。

ワールウィンドは風を刀のように操り、鎌鼬のような風を作ることで敵を切り裂く。

自由になったレイネスだが、体には毒が入っており、手足が若干しびれている。

と、ここでレイネスは一つ思い出した。

叩きつけられる瞬間、レイネスの胸元から何かが飛んで行ったのを。

レイネスはそれが何なのか、グリフォンを牽制しながら考える。

やがて、思い出すと急いでそれを拾いに行く。

場所は目で追ったため、覚えている。

レイネスはグリフォンをいったん無視し、小瓶を取る。

中身は浄化の水。

それは、エーギル王国に湧き出る水を汲んだものだ。

効果は、毒、麻痺など、体内に入った異物を浄化してくれるものだ。

レイネス自身、使うのは初めてで効果があるのか分からないが、使ってみることにした。

蓋を開け、中の水を飲み干す。

すると、さっきまで痺れていた手足が治っていた。

レイネスは拳を作ると、羽ばたかせ、グリフォンの元へ飛ぶ。


「命拾いしたな。」


グリフォンがにやりと口の端を上げて笑いながらそう言った。

レイネスはそれに対して何も答えず、真正面からグリフォンを睨みつける。

フルフェイスの兜で顔は見えないが、グリフォンはその眼から発せられる殺気にも似たものを受け、口元の笑みが消えていく。

その後、どちらともなく、高速で移動する。

縦横無尽に飛ぶ両者。

時々、その動きが止まり、両者がぶつかり合うが、その力は互角だった。

だが、段々と風の気流が乱れ始めていた。

グリフォンがやったのではない。

これはレイネスがやっていることだ。

これは魔法ではなく、技術だ。

自身が飛行するとき、わざと空気を翼で乱すことで気流を乱している。

その結果、体が大きいグリフォンの空気抵抗が高くなり、速く飛べなくなった。

レイネスは滑空するため、自分で作った、乱れている気流に乗ることができる。

そのため、以前と変わらず、飛べている。

グリフォンはそれを知ると、地上へ降り立ち、飛び回るレイネスを忌々しそうに見上げる。

レイネスは地上にいるグリフォンに向けてブレイクゲイルを放つ。

グリフォンは避けようと飛ぼうとするが、とてつもない下降気流に巻き込まれ、飛び立つことができずに直撃してしまう。

レイネスは降り立ち、グリフォンの元へ歩み寄る。


「やるな…。だが、まだ俺には勝てん。」


グリフォンはそう言う。

だが、レイネスは宣言する。


「いや、勝てる。俺は何のために、なぜ戦うのか知ったから、わかったから勝てる。」


強い意志のこもった瞳でグリフォンを睨む。

それを聞いたグリフォンは歯を食いしばりながら、その瞳を受け止め、こう言った。


「ならばお前はなぜ、何のために戦っているんだ?」

「仲間に迷惑をかけないため、この俺の好きな故郷を守るため、そして何より、自分のためだ。」


もしここでレイネスが負ければ、当然仲間に迷惑がかかる。

それにこの王国も滅亡するだろう。

迷惑をかけたくない、王国を守りたい、そんな自分のエゴにも似た自分勝手な願望をかなえようとしているだけだ。

この思いは自分のためだ。

もしかしたらこれだけでなく、負けるのが怖いのかもしれない。

自分の命が惜しいのかもしれない。

だから戦っているのだろう。

負けるのが怖いのにもかかわらず戦っている。

矛盾している。

怖いなら戦わなければいい、そう思いながらも戦う。

そんな事を考えている自分の心を、レイネスは苦笑する。

レイネスはそんな事を考えながら、戦う。

自分の意思を固めるために、何より負けないように。

だが、そんな彼の心の中に逃げればいいのに、という心情もある。

確かに逃げれば負けない。

負けもしなければ、勝てもしない。

だが、レイネスは逃げることが嫌いだ。

逃げてしまうと現実から目を背けているように思え、現実に負けているように思えてくるからだ。

だからレイネスは立ち向かう。

負けるのは怖いが、立ち向かう。

敵に勝つことよりも自分に勝つために。

もう迷わない。

レイネスの顔は晴れ渡り、迷っているようには見えなかった。

そんな彼を見たグリフォンは口元に笑みを浮かべるとこう言った。


「さらに面白くなってきやがった。」


グリフォンはいつしかレイネスのことが気に入り始めていた。

強い意志、負けそうな相手にも立ち向かい、迷いのない敵意。

それらが最初はあったようでなかった。

だが、今はそれがある。

こんな戦いがしたかったとグリフォンは誰にも聞かれないように呟く。

その後、お互いは押し黙り、そのまま対峙する。

その時の空気は重く、硬く、緊迫していた。

風が両者を凪ぐ。

そして、その風が吹きやんだ瞬間、お互いは前に出る。

どちらともなく前に出た両者だが、ぶつかり合うと、そのまま上空へ飛び立つ。

再び空中戦へと移行した。

レイネスは魔法を駆使してグリフォンを追い詰め、グリフォンは足の鉤爪でレイネスを追いこんでいく。

お互い一歩も譲らない。

だが、その均衡も長くはなかった。

レイネスの魔法がグリフォンに激突する。

ただでさえ体力の消耗が激しいグリフォンにブレイクゲイルが直撃し、レイネスがこの勝負に勝ったと思った。

だが、倒れたグリフォンはその姿勢のまま何かをぶつぶつと呟いている。


「……る。」


何を言っているのか分からなかったが、次第に声が大きくなっていき、レイネスははっきりと聞こえたのだが、その言葉を聞いて戦慄した。


「殺してやる!!」


その眼は飢えた野獣のようであり、禍々しいまでのオーラを放ちながらそう叫んでいた。

レイネスはその叫びに恐怖を覚えたが、下がらずにグリフォンと対峙をする。

その時だった。

急激にグリフォンの魔力が高まっていく。

レイネスはこの感覚を覚えている。

ミレウス、ゲイルスの時と同じだ。

レイネスは尋常じゃない魔力から、これから起きようとすることをイメージする。

だが、今まで感じたことのない魔力のため、想像ができなかった。

それでも、これがやばいものだとわかる。

そのせいか、レイネスも無意識のうちに魔力を高めていく。

両者の魔力が上がっていき、段々とお互いに最強の魔法が放てるように準備が出来ていく。

風は吹き荒れ、大地は揺れひび割れる。

その状況下でさえ、集中し続ける二人。

その眼差しはお互いを射貫くものであり、殺気がこもっている。

レイネスは今、心の中が空っぽだった。

余分なことを考えず、余計な事を思わず、魔力を溜めることだけに集中している。

その一方でグリフォンは目の前にいる敵、レイネスを殺すことしか考えておらず、いろんな意味で無心といえるだろう。

そんなグリフォンは未だに呟き続けている。


「殺す…殺す…殺す…。」


それは一種の呪いのようだった。

だがそんな呪いに似た呟きもレイネスには聞こえていなかった。

その時だった。

レイネスが一歩足を前に出した瞬間、お互いは魔力を放つ。


「ワールドエンド!!」

「ストームラバージ!!」


グリフォンは滅殺魔法を。

レイネスは龍魔法を使い、攻撃する。

ストームラバージは嵐の塊を敵にぶつけ、そのまま敵を破壊する龍魔法。

全てを塵と化す凶悪の技だ。

それ故、忌み嫌われてきた節がある。

だが、今はそんなことはない。

レイネスの人柄、平和な世界、これらによって忌み嫌われることはなくなった。

そのため、この魔法を使った。

魔力を溜める時は無心だったが、ストームラバージを放っていると大事な人たち、自分自身、国民、仲間、それらのために勝ちたい、そう思うようになっていく。

グリフォンは未だに殺す、そう呟いている。

そんなお互いの強い思いがこもった一撃は衝突しあう。

力が拮抗しているのか、時々押したり、押されたりすることがある程度でほとんど動いていない。

衝突と同時に衝撃波が二人を襲い、グリフォンは翼の羽をほとんど失い、レイネスは鎧がすべて消し去った。

だが、そんな状況でもかかわらず、強大な魔力は収まることなく、放ち続けている。

地面は抉られ、空は嘶き、風は吹き荒れる。

それほどまでに強い両者の魔法。

魔法を放ちながらレイネスは考える。

今、この魔法を食らったら死んでしまうだろうな、と。

それもそうだろう。

身を守るための鎧がないのだから。

だから。


「俺は、仲間のため、国民のため、自分のために絶対に勝つ!!」


レイネスの叫びに対してグリフォンは目をぎらつかせながらこう叫ぶ。


「お前を殺す…。殺して、勝つ!!」


お互いにさらに魔力は高まり、威力が上がっていく。

その力は異常なほど強く、今までに類を見ない魔力だ。

だが、どちらの底が浅いのか、しばらくするとわかってきた。

底が見え始めたのは、グリフォンだ。

今以上の魔力は出ないようだ。

今がピーク。

これ以上出せば、身が持たないだろう。

無意識なうちに自己防衛のため、リミッターが作動する。

だが、その一方でレイネスの底は見えなかった。

やがて、レイネスの魔力がグリフォンの魔力を凌駕し、追い詰めていく。

グリフォンは魔力をさらに出そうとするが、無意識のうちにセーブしているのでこれ以上の魔力は出なかった。

ストームラバージはグリフォンを飲みこみ、跡形もなく消し飛ばした。

レイネスは勝利を確信し、右手を高々と掲げ拳を作ると、そのまま仰向けで倒れた。

それを王が見ると、慌てて駆け寄り、そのまま医務室へ運んで行った。


*****************************


強大な魔力と共にグリフォンの気配が消えたため、七聖龍の皆は一時の笑みを漏らし、喜びをあらわにした。

ゲイルスやミレウスはレイネスの元へ行くため、馬車を用意していた。

その理由として、一緒にいた方が安全で、効率がいいと思ったからだ。

邪龍討伐のための作戦を立てるのに。

そんなこんなでレイネスの元へ向かう二人。

その一方でイーゼルが六魔獣との闘いに入ろうとしていた。

アークたちはもう少しで到着しようとしているが、なかなか着かない。

それもそのはず。

今彼らの前に立ちはだかっているのは、人間に危害を加えないものの、大行列で移動しているサンダーゼブラがアークたちの通行を妨害している。

サンダーゼブラは大人しい性格をしているが、身の危険や、刺激を与えると攻撃的になり、危険な魔物の一つだ。

彼らは気が弱く、驚くと好戦的となり、自らの命を守る。

そのため、彼らに会った時、何もせずにそのままでいろ、そう言われている。

それに、彼らの群れは軽く万を超える。

そんな数のサンダーゼブラを相手にしていかなる龍使いでも勝てはしないだろう。

そのため、アークたちは馬車の中で仕方なく立ち去るまで待つことにした。

そう言うわけで未だに自分の城に戻っていない。

アークはフェニックスが王国を襲って壊滅させようとしているかもしれない。

そう考えながらも、アークはカルロスを信じていた。

彼ならフェニックスを完全に抑えることは無理でも時間を稼ぐことはできる。

だから、もう少し待ってもらおう、そう思っていた。


*******************************


その頃、エーギル王国に向かっていたキリカも参戦しようとしていた。

キリカはエーギルも戦おうとしているのも気付かず、六魔獣を探そうとする。

だが、それはやがてすぐに見つかることになる。


「何これ…。」


城の周りを囲む湖の中央が竜巻のように回りながら荒れていた。

キリカは敵が出てくるまで待った。


******************************


一方のイーゼルも六魔獣の気配をたどりながら歩んでいた。

この時に緊張していることは否定しない。

だが、誰かがやらねばならない。

その誰かが、自分に来たのだろう。

だからやる。

仲間のために、そして何より、選ばれたから。

やがて、王国から少し離れた場所にある森の中から気配がした。

そのため、中に入って行った。

以外にあっさりとしている。

そうしないと争いの場で命を落とす危険性が出てくるからだ。

そう、特にこの六魔獣の一人、ミノタウロスとの対決においては。


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