表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/38

ボンネットに太陽

風さわやかな7月の朝、おやすみだと早起きしちゃうな、と

ひとり微笑みながら、わたしはカー・ポートに降りて行く。


白いコンクリートの階段みっつ、芝生の庭には

きのうから、うちに来た

古いフォルクスワーゲン。薄いベージュだから、やっぱりドイツ語で呼んであげたい気持ち(話せないけど(笑)


さあ、今日はどこに行こうかな、って思って

まるいボンネットにホコリが乗ってたから

シャワー。


きらきら、水玉がミントキャンディみたいにおいしそう。

風に舞ったら、ボンネットに虹が。


おひさま、きらきら。


楽しい日曜の朝。。。


お屋根のまるいところや、ボンネット、それと後ろのエンジンフードのところにも水玉が綺麗に流れて。


クロームのバンパーとか、まるいヘッドライトにも、きらきら。


きれいなタオルで拭いて、ピカピカ。


ワーゲンちゃんも笑ってるみたい。



お空には夏の雲、もくもく。



さあ、でかけよう。



わたしはお部屋に戻って、バスケットランチ、今朝一生懸命作ったそれとミルクティーの入ったポットを持った。


ポットは、アラジンの魔法瓶。


アラジン、なんて魔法のランプみたいで

魔法瓶にピッタリ、なんて思ったけれど

ほんとは歴史のあるイギリスのポットらしい。


でも、どうでもいいや。気に入ったんだもん。


ワーゲンちゃんだって、古いから故障すると大変だよ、なんて

キャンパスのみんなは言う。

けど、いいの。

気に入ったんだもん。


壊れたって、直すんだ。


そう思って、スナップオンの工具も買ったんだ。


使い方わからないけど(笑)



変だ、って友達は言うけど

これがわたし。わたしは私。


それでいいの、って思う。


ワーゲンちゃんにバスケットを積んで、

エンジンの鍵を回す。


ゆっくり、スターターが回って

エンジンがかかる。


モーターボートみたい、って

思ったり。


ハンドルは、ナルディ。

イタリアのだから、ドイツの車にはちょっと似合わない、なんて言われたりするけど

確かに、木と金属の美しい感じはイタリア、芸術的でドイツの質素な感じとはちょっと違うけど

それもいいかな、なんて思ったり。


ここは日本だもん(笑)


ワーゲンちゃんは、走りたそうにエンジンの音をバタバタ、と立てる。


お散歩行きたいよー、ってバタバタしてるわんこみたいで、かわいい。



床から出ているクラッチを踏んで、鉄の棒のシフトレバーを1へ。


静かに、レバーに歯車が噛む感触が伝わる。


こういう機械っぽさは、ドイツだなぁって思ったりする。


お友達の車は、みんな静かできれいな感じだけど

なんとなく、温もりがないな、そんな感じ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ