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机上のゼロ  作者: 後藤式
7/8

Episode 07 ~fade~

目の前で起きたことが信じられなかった。

これは幻想なんだと、これは目の錯覚なんだと、これは虚偽なんだと、これは、これは、これは…。


僕はわけもわからず走りだした。

そこにはもう聖域なんてなかった。

あるのは目の前で起こった現実だけ。


女の子に近づいてるはず…だ。

何度もつまずき、何度もよろけ、何度も転びそうになった。

身体中が痛くて、手が震えて、嫌な汗が頬を伝って…。


…だんだん、


―女の子を抱えた気がした。


……ぼやけてゆく、


―酷く辛そうで、顔は血の気が引き、汗にまみれ…。


(ま、待ってくれ!)


―力の抜けた身体は細身の女の子ですら重く…。


―意識が…、


(く…くそ、なんで……!!?)



『……た、…たす、け…て…。』



目の前が真っ暗になった。





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