後ろの正面だーれ
誰もが一度は遊んだことがあるとは思いますが
かごめかごめとは、1人が鬼となって輪の中央で目を閉じ、周りの子どもたちが手をつないで歌いながら鬼の周りを回る。歌が終わると輪が止まり、鬼は自分の後ろにいる人が誰なのかを当てる遊びです
以下、歌の歌詞です。
かごめ かごめ
かごの なかの とりは
いつ いつ てやる
よあけの ばんに つると かめが すべった うしろの しょうめん だれ
小学5年生の赤鶴健斗と亀田竜騎は学校でも有名ないじめっ子だった。
鶴亀コンビと恐れられ、親も教師もお手上げ状態。
そんな2人が今ハマっている遊びがまた厄介で、みなを悩ませていた。
その遊びというのはターゲットの背後に2人で立ち、かごめかごめを歌い、歌通り歌い終わった時に赤鶴と亀田のどちらが背後にいるのかを当てさせる。
外せば殴られる。
2分の1だし簡単なのでは?と思うでなかれ。
2人が当てさせてくれるわけがない。
ターゲットが赤鶴といえば亀田が立ち、亀田といえば赤鶴が立つ。
途中で振り向いても、もちろん殴られる。
つまり、この遊びのターゲットにされた時点で、2人に殴られることは確定するのだ。
しかし誰も2人に物申せる人はいなかった。
「今日も殴った殴った」
「健斗、先行に入れたキック、あれ最高だった」
「竜騎こそ、女子にグーパンとか容赦ねーな」
2人の笑い声が、今日も響いていた。
そんなある日の深夜、健斗は誰かの歌声で目が覚めた。
数人の子供の声。
そしてこの歌は、健斗が毎日何度も歌っているあの歌、かごめかごめだ。
健斗は体を起こし、自分の部屋を見回すが子供なんていない。
しかし歌は続いている。
『後ろの正面だーれ』
そう聞こえた瞬間、背後に気配を感じた。
健斗は背中に冷たいものを感じながら、固まっていた。
「なんなんだよ、誰なんだよ、ざけんじゃねーぞ」
だんだん腹が立ってきた健斗は、壁に立てかけてあった金属バットまで走り、振り向くと同時にベッドの上目掛けて思いっきりバットを振り上げた。
そこには、ボコボコになぐられたような腫れ上がった顔の少年が、ニンマリ笑顔を浮かべて座っていた。
「わぁぁぁぁ」
健斗はバットを放り投げ、一心不乱に家から飛び出した。
◇◇◇
「本当なんだよ竜騎。気持ち悪い顔したガキが、俺の部屋にいたんたよ」
「バカじゃねーの。幽霊とか化け物とかそんなのいるわけねーだろ」
その日の学校で、健斗は必死に今朝の出来事を竜騎に話したが、全く信じてもらえなかった。
「じゃあ今日、俺んち泊まりに来てくれよ」
「あぁ、いいぜ。何もなかったら土下座しろよ」
てなわけで、竜騎は健斗の家に泊まりにいくことになった。
狭いベッドに2人並んで寝る。
健斗は今朝の恐怖がフラッシュバックし、なかなか眠れなかったが、隣の竜騎の寝息を聴いているうちに知らぬ間に眠っていた。
そして、例の歌で目を覚ました健斗。
『かーごめかーごーめー。』
全身に鳥肌が立つ。
隣の竜騎は、まだ呑気に眠っている。
「竜騎、起きろ。起きてくれ」
健斗が必死に体を揺すると、不機嫌そうに竜騎が目を覚ました。
「なんだよ、まだ4時じゃねーか」
「歌が、かごめかごめが聞こえるだろ?」
「……ほんとだ、」
「歌が終わるとやつが現れる。」
まだ半信半疑な竜騎は体を起こし、健斗と並んで部屋の中心に立つ。
「後ろの正面だーれ』
歌が終わり、部屋に静寂が戻る。
背後に神経を研ぎ澄ます健斗。
しかし、昨日のような気配は感じない。
「おい健斗、何もでねーじゃねえか」
「いや、昨日は確かに化け物が背後に」
2人して背後を見るが何もいない。
「やっぱ健斗の夢だったんだろ。あの歌も近所の家から聞こえてたんだって」
竜騎の言う通りな気がしてきた健斗は、ほっと体の力を抜く。
その時
『かーごめかーごーめー』
また歌が聞こえてきた。
しかも、さっきより近くから、背後から聞こえてくる。
健斗と竜騎は、互いに強張った顔を見合わせ、ゆっくりと後ろを振り向いた。
そこには、顔をボコボコに腫らした少年が、怒りに満ちた表情で立っていた。
「ぎゃああああ」
2人同時に部屋の外へ飛び出す。
階段を降りようとした、その時
『つーるとかーめがすーべった』
そう聞こえた瞬間、2人は同時に不自然に足が滑り、そのまま階段を滑り落ちた。
その時、どこからともなくたくさんの子供の不気味な笑い声が聞こえ、2人の意識は途絶えた。
2人は意識不明で病院に運ばれたが、2度と目を覚ますことはなかった。




