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ある夏の日の思い出。後篇

―母が死んだ。




 病院で母の遺体をみた。

その後通夜、葬式としたが、そのことをはっきりと覚えていない。


 私が感じるときにの中であまりにも急すぎて当時の私には。すべてを納得することができなかったのかもしれない。




 私の家は、造園業を営む父と警察官の母、私の3つ上のお姉ちゃんの4人家族だった。


 母は青葉家(あおばけ)の太陽のような存在だった。


 父もお姉ちゃんも、もちろん私も母を中心に回っていて、とても温かい人だった。


 そんな青葉家から太陽が失われ、残された家族はまるで、照らされることのなくなった星のように暗く、深い闇の中をさまよっていた。


 

 家族で色々考えたが、母の遺品も最小限のもの以外はすべて処分することにした。


 残された3人は、母が身に着けていた最低限の装飾品を形見にした。


 父がネックレス、お姉ちゃんがイヤリング、私はブレスレット。


 葬儀が執り行われ数日たった今でも譲り受けた形見の装飾品を私は身に着けることができなかった。


 それは決して、気味のが悪いといった思いがあるのではなく、これを身に着けることで自分の中で母の死を認めてしまうことになるのが怖かったのである。






 しかし、時間の流れとは色々なものを忘れさせるには短い時間であった。




 ちょうど1年がたった中学2年生の夏休みだった。


 私はとあるところに来ていた。


 


 それはれいの()()()神社である。


 この神社は、幼い頃に夜泣きをしたり、癇癪を起したりした私を母が連れてきてくれた場所であった。


 最後に来たのは高校進学が決まり中学卒業を目前に控えた前だった。


 唯一、仲の良かった中学生時代の友人と進路が別であることを知った私は母と一緒にこの神社に来て一人寂しく泣いていた。

 母に慰められながら今後の生活や友人付き合いに関して色々助言を受けていた。(本人は泣きじゃくりそれどころではなかったが…)


 ・

 ・

 ・


 そんなとある頃の過去を思い出いながら桜は脳内で思考をめぐらす。

 桜は、母の死に対して確かに悲しいのに泣けない、そんな自分が心の中で嫌だった。


 過去を思い出し様々な思いに心をはせたその日、初めて母の死に対して思いがこみ上げてきて人知れず寝室で涙をこぼした桜は、何かが吹っ切れたのかようやく以前のポジティブさを取り戻したのだった。




 そして、その日重たい足で家に帰ると、桜は初めて母の形見であるブレスレットを手首に着けた。

 淡いピンク色のサクラ模様のがあしらわれてたそのブレスレットはどこか気品に溢れており、上品でありつつも主張を抑えた装飾がなされていた。




 その日以降、桜は何か落ち込んだことがあるといつものこの神社に来て祠に一人で座り、愚痴を言いつつ心のうっぷんを晴らしながら駄弁る毎日を過ごしていた。




(やっぱりここに来るとあの夏の日のことを思い出しちゃうな……)


(ううん!もう、あのことで暗くならないって決めたんだ!)


(それに今は今日あった愚痴を話さないとだし……)






 毎回この神社に来るといつしかの夏の日のことを思い出し、そのたびに桜は自分に言い聞かせていた。

 桜は今日のクラスの自己紹介で失敗したことを祠に愚痴に来ていたのだった。


 桜は本来の目的を思い出し、残りの階段を上った。


 階段を登り切り、鳥居をくぐろうとした時、向かいからだれかが歩いてくるのが目に入った。


 

 それはうちの学校の制服を着ている2人の生徒だった。


 しかも、スカーフの色からして私と同じ学年だった。

 桜が通っている高校は学年ごとにスカーフの色が異なり、スカーフを見れば在籍している学年を把握することが出来る。




 (こんな辺境な地の神社に女子高生2人でお参り…?そんなわけないと思うけど…)




 桜は疑問に思い、同校の生徒だということもあり声をかけようと思ったが体が動かなかった。


 この神社に来る同級生なんて他にはいないだろうし、これをきっかけにもしかしたら友達になれるかもしれないと心の中で思った桜だったが体が動かない。



(あぁ…。やっぱり駄目だな私……。)


(けど、学校も学年も一緒だったし明日学校で出会ったら声をかけてみよう!)


 変なところでポジティブな桜は今のこの現状を、クラスの紹介くらいにしか思っていなかった。



 桜は境内に向かって歩いてくる二人に向かい、声をかけようと境内から階段に向かって歩きだした。












 鳥居を出て、階段を上がる2人の女子高生。



髪を後ろで束ねた少し大柄な女の子が最初に口を開く。

「こんなさびれた神社に1人でくるって友達おらんのか?」



少し真面目そうな簪で髪を留めた女の子が答える。

「そんなこと言ってあげたら可哀そうよ?それに、見たところ私たちと学校も学年も同じなんだし、椿が友達になってあげたらどうかしら?」



 椿と呼ばれる大柄な女の子がさらに答える。

「おいおい。頼むから冗談はやめてくれよ...。なーにが嬉しくて、あんな暗そうなやつと友達にならねーといけねんだよ。それなら、小梅が友達になってやれよ。」



小梅と呼ばれた女の子が少し肩を落とし答える。

「私、あのようなタイプの人は少し苦手なの。」




「俺より全然ひどいじゃねーかよ!まぁ明日学校で会ったら話しかけてやってもいいかもだな~。」




「確かにそうね。けど、椿一人だとビジュアル的にいじめてるように見えちゃうから私も着いていくわね?」




「はっ!。それはまぁまちがいねえや!じゃあ明日声かけてみるとするかなー」










 少しずつ動き出し始める桜とそれを取り囲む日常。


 学校での桜の出会いをきっかけに物語は進みだす!!

この後から、登場人物が増えたり技や世界観に合った設定が出てきますので乞うご期待!!

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