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ほーん、つまり『悪役令嬢』だな?  作者: もみぞー


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5/8

そして、君は受け継ぐ



 暗がりの中にいる。

 上も下も真っ暗で、けれども地面の上に立っているという感覚は有った。

 手探りに空間の広さを確かめようとしたけれど、壁らしき物が一向に現れないと知れた時点で歩くのはやめた。

 そこで漸く「此処は何処だ」と疑問が湧いてロビンは首を傾げる。

 自分は随分と酷い目に遭い、意識を失ったと自覚していたからだ。

 ロビンは狐の獣人だ。

 狐の獣人は世界の中で一番嫌われてる『人』だった。

 何処にいても立場が悪い。

 それは太鼓の昔に起きた世界を巻き込む大きな戦争が関係しているらしい。

 特にフィオレでの地位は低く、国では下位に見られがちな人間たちの不満や欲の捌け口になっていた。

 フィオレの偉い連中も、世界の多くの国々も敢えてそういう仕組みにして人間たちや立場の弱めな人々の不満が自分たちに向かないようにしているのだろう。幼いながらも、そんな予測を立てていた。

 今回だって財布を盗んだ濡れ衣を着せられ、在らん限りの暴力を振るわれた。その歳の子どもにしては小柄で華奢なロビンに無遠慮に振るわれた力はロビンの身体の至る所を台無しにしていった。


 ああ、死ぬんだな。


 意識を失う最中に思ったのはそんなことだった。

 でも、今、ロビンには確かな意識があった。

 真っ暗な場所に居て怖いとか、そういった気持ちはとんと出てこなかった。

 死後の世界にしては彩りがないな、くらいの認識である。


「じいちゃん、泣くかな」


 母親は既に死んでいる。父親は何処にいるかわからない。ロビンを育ててくれたのは祖父だ。

 唯一の家族で、ロビンの世界の全てでもあった。

 優しいと言うより頑固を絵に描いたような人であるが、愛情深い人だった。その人を泣かせる事態になったことが、何よりも悲しい。

 冤罪を被せられるのは茶飯事だから悔しい気持ちはとうにない。逃げきれなかった自分が間抜けだっただけ。

 もし、『次』があるならば、もっと上手く生きていきたい。

 狐のままでいいから、濡れ衣を着せられることもなく、知らない人に唾を吹きかけられない世界で生きていきたい。

 

「だったら、世界を変えていかないと」


 知らない声が聞こえた。

 同時に暗かった視界が明るくなる。

 今度は真っ白な場所になっていて、目の前にはロビンに良く似た若者が立っていた。


「おにいさん、だあれ」

「さあて、誰だろうね」


 ブカブカの服を着たその人はロビンに視線を合わせるようにしゃがみ込んでこちらを見る。

 まるで自分が大きくなったようでもあるその人は、そっとロビンの頭を撫でた。


「此処は何処かわかる?」

「あの世とこの世の狭間だよ。

 その、入り口にいるんだ」

「じゃあ、おれ、しんじゃった?」

「死にかけてるけど、生かそうとしてる人が頑張ってる。

 お前は『生きたい』? 『死にたい』?」

「……どっちなんだろ。わかんない」


 祖父を悲しませたくはないけれど、今の世界に戻るのは嫌だなというのが正直なところだった。

 嫌なことがあったら直ぐロビンのせいにされるし、暴力だって振るわれる。その日の食い扶持を稼ぐのだって大変な世の中だ。自分が消えることで吹っ掛けられる賠償金やら食糧の消費量が減るなら願ったり叶ったりでもあった。


「友だちはいないの」

「おれみたいな『狐』と友だちになってくれる人なんていないよ」

「そっか。おれもねえ、友だち、いなかったんだ」

「今は違うの」

「今っていうか、未来は違うかな」

「未来」

「そう、未来」


 おれは未来のお前だよ。

 優しく笑うその人の言葉に、ロビンはパチクリと瞬きをした。


「未来の、おれ?」

「そう。一〇年後の、お前」

「なんで此処にいるの」

「死んじゃったから、かな」


 へらりと笑う未来のロビンに小さなロビンはまたパチクリと瞬きした。


「死んじゃったんだ。野垂れ死?」

「野垂れ死だなあ。へまやっちゃったから」

「間抜けだね」

「まったくもって」


 未来のロビンは気分を害した様子もなく柔和に笑って、それから真面目な顔をしてロビンを見た。


「だから、お前にはおれと同じ目に遭って欲しくないんだよ」

「未来を変えろってこと?」

「そういうこと。

 一〇年後、沢山の人が死ぬ。多分、最低でも千人は。

 その中には、お前にとって『大事な人』も含まれてる。みんなで一緒に生き残るんだ」

「でも、おれ、なんにも出来ないよ」


 ちょっと人より手先が器用な程度だ。それだって、大きくなればどう変わるかわからない。出来ることなんて本当にあるのだろうか。

 そんなことを思っていると未来のロビンはにんまりと笑った。


「お前には魔術の才能がある。

 もうちょっとしたら魔術が使えるようになるはずだ。その力を怠けないで磨いていけばいい。

 きっと、今回は周りの人が学ぶことを助けてくれるだろうから」

「そんな都合のいいことあるかなあ」

「あるんだよ。だって、『今回』は『前回』とちょっと違うところがあるから」

「それは、生き残るには良いこと?」

「多分ね」


 どうしよう。未来を変えるためにもう一回頑張ってみようかしら。それとも、このままやめて死んでしまおうかしら。

 もう嫌な目にも遭いたくない気持ちもあるけれど、良いことがあるなら踏ん張れるかしら。

 でもなあ。

 考えは寄せては返す波のように迷い続けた。


「おれ、頑張んなきゃ駄目?」

「まあ、死にかけたんだからこのまま終わらせたくもなるか。

 いいよ、やんなくても。これはおれの独りよがりでもあるし。

 でも、頑張ったらいいこともあるよ」

「あるかなあ」

「今回、お前が助かったらじいちゃんと一緒にデカいお屋敷を持つ貴族様のところで住み込みで働けるようになるから寝床や食い扶持を気にする必要はなくなる。

 学校にも通わせてもらえるから賢くなる。

 一般常識を身につけておけば、後々楽に動けるようにもなる」

「死なないためだけに頑張れるってことだね」

「そういうこと。本格的にヤバくなるのは一〇年経ってからだから、その時までは全部準備期間になる。

 早めに身につけたほうがいいことは山ほどある。

 もちろん、ご褒美だったあるから安心していいよ」


 で、頑張ってみる?


 問われ、ロビンはどうしたものかと首を傾げる。

 死なないために頑張る。それは、まあ、いいとして。


「おれは何から逃げればいいの?」

「運命からだよ」


 具体的ではない言葉にまた瞬きをした。


「正確には、セドリック・ライデンの『魔力暴走』を阻止すること」

「まりょくぼうそう?」

「簡単に言うなら、魔術の乱れ打ちをやめさせるか、止めるか、起こさせないようにするかのどれかってこと」

「その、セドリックって人と、友だちだったの」

「友だちとはちょっと違うかなあ。おれたちの『王様』だったんだ」


 世界を変えてくれるかも知れなかった王様が、変わり果ててしまい人を大勢の殺してしまったのだという。

 

「おれひとりじゃ、無理だよ」

「わかってる。だから、仲間を見つけて欲しいんだ」


 ひとりは直ぐそばにいるよと未来のロビンは言い小さなロビンは祖父の顔が直ぐに浮かんだが、それを察した未来のロビンは首を横に振った。


「じいちゃんも味方ではあるけど。

 身内以外の味方ってこと」

「いるの?」

「いるんだなあ、これが」


 おれの時はいなかったよと未来のロビンは言う。

 

「その人はおれのこと『狐』だからって嫌なことしたりしない?」

「うーん、どうだろ。必要ならやるかも。でも、大多数の連中みたいに意味もなくストレス発散でやらかしてくることはないよ」

「そうなんだ……」


 理由があっても嫌なことはされたくない。

 けれど、その人に少しだけ興味を持ったのも確かで「どんな人?」と問いかけると未来のロビンはにんまりと笑った。


「将来、お姫様になる人だよ」

「お姫様!」

「今の段階でも十分にお姫様だけど。

 さて、そろそろ時間も差し迫ってきてるし、どうしてもらうか決めて貰っていいかい」

「えっと、それは、おれが『生きて頑張る』か『死んで休む』かってこと?」

「そう。生きて頑張るなら、お前におれの記憶を託して今後に活用してもらう。

 死んで休むなら、おれがお前の身体を貰っておれが頑張る」

「………なんで問答無用におれの身体を使わなかったのさ」

「人の身体を乗っ取るって大変なんだよ。

 ひとつの身体に魂はふたつ入らないように出来てる。魂を追い出したほうも、追い出されたほうも輪廻の輪の中に入らなくなるくらいに傷つく。

 あんな目に遭ったのに更に傷つかせるのは嫌だっただけ」

「ふうん。未来のおれはどうしたいの。

 おれに託しただけで輪廻に加わって満足出来る?」

「どっちを選択したって後悔はするさ」

「そういうもの?」

「そういうもの」

「身体の持ち主であるおれが、決めていいんだ」

「そうだよ。おれはそれを尊重する」


 重大なことを押し付ける呵責。

 肉体から本来の魂を追いやり自分が乗っ取った呵責。

 どちらにしても未練や後悔は生まれるのだ。

 ならば、どちらがより少ない後悔で済ませられるだろうか。何が起きても踏ん張れる選択はどちらだろうか。


 しばらく考えて、ロビンはひとつ頷く。


「おれ、アンタの記憶を貰って頑張ってみる」


 知らない世界があるのなら、見てみたいと思ってしまったが故の決断だった。


  ◎◎◎◎


 虹色の破片が宙を舞い、様々な記憶の断片が映し出されては消える様を見た。

 目覚めたロビンは自分が随分と設えな良い部屋にいることを自覚した。

 ふかふかの大きなベット、清潔なシーツに掛け布団。

 部屋は住んでいた家よりはるかに広い。滞在している部屋だけで荒屋二件は入るだろう。

 身体のいたるところがチクチクと痛む。それでも起き上がれるくらいは出来て、自分が今どうなっているかを知ろうと鏡台のあるところまで行って自分を映すと仕立ての良い服の隙間から見える手足にはぐるぐると包帯が巻かれているのが知れた。

 視界が狭いと思ったのは片目に眼帯をつけているからだった。鼻の上にも手当ての跡があるし、頭にも包帯が巻かれていた。


「帰って来たんだ……」


 自然とそう呟いてしまったのは受け継いだ記憶のせいか、はたまたあの出会いのせいか。

 窓辺に近付けば整然と整備された大きな庭が見えた。

 庭師と思しき人が低木の枝を切っているのが見える。

 咲いているのは見かけたことのない花々である。

 美しいと思う前に「食べられるかな」と思ってしまったのは極めて困窮した状況で日々を送っていたからだった。

 よいしょ、と声を出して窓を開ける。

 心地良い風が頬を撫で、甘い香りが鼻先をくすぐった。

 その様子に気づいた庭師が軽やかに手を振る。

 ロビンは最初自分にされたと気づかなかったが、そうだと知れると嬉しくなって手を振り返した。

 庭師がロビンの起床を誰かに告げたのか、程なくして医者とメイドがやって来て経過観察をされた。

 同席した祖父は驚くほどにロビンが意識を取り戻したことを喜び、涙を流していた。

 治療は魔法と投薬の両方で行うこととなり、一日に一回は治療師の資格を持つ魔術師がやってきて手当をしてくれることとなった。

 世話役となったメイドはロビンのことも祖父のことも丁寧に扱ってくれた。主の客人だからではなく、怪我人とその家族として丁重に扱ってくれたのである。そこには狐だからという意識はなく、ごく自然に接しられてロビンは何度も驚いてしまった。

 世の中の多くの人が狐の獣人を忌み嫌っているのに、この屋敷の人たちはそんな様子が何処にもないのである。屋敷に勤めている人は獣人もいれば人間もいた。人間たちはこの国では下に見られることが多くある。よって、唯一下に見ても良い狐の獣人には殊更厳しく接する者も多く存在していた。だが、この屋敷の人々はそんな扱いはしなかった。腫れ物のようにも扱ってはいなかった。その稀有な体験に慣れるまでロビンは背中がむず痒くなるばかりだったが、治りかけの傷のせいだと思うことにした。

 世話役のメイドの名をメアリアンといった。

 彼女が言うにはお屋敷の主人はアタラクシア侯爵家という貴族でもかなり偉いお人で、歳の離れた兄妹の子どもがいるのだそうだ。夫人は既に鬼籍に入っているといい、それもあってか娘はどうにもやんちゃに育ってしまったらしい。

 メアリアンは常ならばそのお嬢様に仕えているという。

 お嬢様はロビンを助けた人のひとりでもあり、ロビンの怪我が治るまではそちらを優先するよう言われているのだと言った。


「おれ、もう大丈夫だよ」

「何言ってるの。リハビリ終わるまではお世話係よ」


 一命は取り留め、早期の治療が功を奏したとはいえ手足が折られた事実は覆らない。

 しばらくはリハビリが必要なのはいいが、その時間を自分に費やすのはいかがなものかと言えばメアリアンは「お姉さんの言うことをきく!」とよくわからないことを言われて鼻を摘まれるだけで終わった。


 屋敷の主人にして救い主に面会出来たのはリハビリに一応の終着点を見出した頃だった。

 アタラクシア侯爵は多忙である。

 領地経営管理もあれば国防関係で騎士団の視察にも余念がない。

 そんな中でロビンや祖父と面会する時間を設けるのは難しい調整が必要だったろうに、部屋に招き入れた侯爵はなんとも朗らかな表情でロビンと祖父に席を進め、茶や菓子を振る舞った。


「怪我の具合はどうだい」

「順調に治ってきてると、思います」


 慣れぬ敬語に四苦八苦しながら言うと「そう畏まらなくていい」と侯爵は言った。


「我が家に勤めてもらうとはいえ、今は客分だ。

 話しやすい言葉で話してくれていいよ」

「えっ、でも」

「いくつか聞きたいことがあるんだ。

 正直に話してもらいたいから、今は話しやすい言葉で話しなさい」

「え、あ、はい。わかりました」


 頷いて背筋を正す。

 未来のロビンから引き継いだ記憶────むしろ『記録』というのが正しいが────では『アタラクシア』という貴族は存在していない。

 未来のロビンは魔術師の素養が認められて他国の魔術師専門学校に通っていた。

 学校にはいくつか寮が存在し、ロビンはそのうちの一つである寮に配属され、来たる日が来るまで寮長のセドリック・ライデンの右腕のような役目を担っていた。

 それもあって、貴族事情は否が応でも見聞きする立場にいた。セドリックは厭世家のきらいが強くあり、貴族側もセドリックを良く思っていなかったとはいえ全く関わり合いがないとは言い切れず、その時に応じて対応をせざるを得ない状況であった。未来のロビンも対応に駆り出されることは多々あり、よって『名高い』と言われる部類の貴族方の家名は記憶していた。

 だが、その中に『アタラクシア』の名はなかった。

 メアリアン曰くアタラクシアはライデンの盾であるという。

 ならば、『嫌われ者』と揶揄されるセドリックとも関係はあった筈であるが『前回』はその姿が微塵もなかった。

 これは根本的な部分から前回とは違うことを意味はしないか。

 幼い頭で必死に考えながらロビンはアタラクシア侯爵の隣りに座るお嬢様を失礼のないように目を向けた。

 その視線に気付いたのだろう。アタラクシア侯爵が柔和に笑って「娘のアナスタシアだ」と紹介してくれた。

 アナスタシアは侯爵と同じく銀色の髪の持ち主であった。長い髪を編み込み後ろでひとつに纏めており、令嬢にしては動きやすい服装をしているのが印象的であった。青い瞳は雲ひとつない快晴を思わせる。

 これもまたアタラクシア侯爵と揃いであった。


「アナスタシア・アタラクシアです。

 どうぞ、宜しく」

「ろ、ロビン・ニュートです!

 宜しくお願いします!」

「うふふ、そう固まらないで。

 あなたとはこれから長い付き合いになるはずだから」


 侯爵と同じように笑うアナスタシアはなんとも可憐な人であった。この見解が後に大間違いであったと腹の底から思い知ることになるのである。あな、恐ろしや。

 ロビンも祖父も進められるままに茶や菓子に手を伸ばす。

 そうしてしばらく談笑した後、侯爵は「さて」と前置きして本題へと入った。


「ふたりにはこの屋敷で住み込みで働いて貰いたい」


 侯爵が言うにはロビンを襲った男はなかなかの荒くれ者で今回の件がなくても近々仕事をクビになるだろうと予測されている。それだけならいいが、今回の件を思い出し逆恨みする可能性が否定出来ないらしく、侯爵家としては見過ごせない事態なのだそうだ。

 なので、ロビンと祖父は亡くなったとスラムで噂してもらいカムフラージュしたうえでアタラクシア家で住み込みで働いて安全を確保するのはどうかという提案である。

 祖父はなにも持ってなかったからこそなんでも出来る人であるから良いとして、ロビンはまだ幼く出来ることがないに等しい。手先が多少人より器用なだけである。

 そのことを指摘するとアタラクシア侯爵は「ロビンにはアナスタシアの従者になってもらいたいんだ」と言ってきたので目を丸くしてしまった。


「おれが、お嬢様の?」

「アナスタシアはそれは元気な娘なのでね。同じく元気のある人でしか傍仕えが出来ないんだよ。

 人間より体力のある獣人の従者は必要だと思っていたところなんだ」

「で、でも、おれ、なにも出来ないし、知らない、けど」

「それについてはこちらで勉強が出来る環境を整える。

 ホームスクーリングでも、学校に通うのでも好きなほうを選びなさい。あと、護身術も習ってもらおうか」

「護身術??」

 

 なんて物騒な言葉であろうか。

 だが、メアリアンが話してくれたアナスタシアの概要を思い出せば護身術の取得は必須であると理解して「わかりました」と頷いた。


「従者見習いとしてアナスタシアのそばにいてもらうが、しばらくは勉学を生活の中心に据えなさい。

 よく学び、よく遊び、よく食べ、よく眠ること。

 いいね?」

「は、はい!」


 祖父の仕事場の説明もあったが、ロビンは自分が好待遇で屋敷に住まわせてもらえることに目を白黒させるばかりであまり祖父と侯爵の話は耳に入らなかった。

 面会が終わると使用人用の屋敷を案内され、祖父とロビンに割り当てられた部屋へと向かった。

 部屋は家族で仕えている人用を割り当てられたらしくこちらも元の住まいよりも広い部屋だった。

 

「こ、こんなによくしてもらっていいのかな……」

「ご恩返しに励まなければなあ」


 祖父とそんな話をしつつ寝床に入ってその日は休んだ。なんとも心地良いベットであった。

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