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ヒトナキ街で、きみは微笑んだ  作者: 4MB!T
2章「残すということ」
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10-1.「記録装置が立ち止まった場所」

 都市最下層、第0帯。

 アクセス認証不能。照会不可。

 ナユタとミナが到達したのは、記録システム上「保留領域」とだけ記された空間だった。


 構造物はある。

 通路、天井、扉。廃棄された生活帯とも研究棟ともつかない建築が続く。

 だが、ミナの端末にはいかなる環境情報も表示されていなかった。


「ログ取得:不能」

 ミナが即答する。

「空間データとの同期に失敗しています。既存の記録システムは、この座標を“記録対象外”として扱っています」


「壊れてるってこと……じゃないよね?」


「はい。これは“故障”ではありません。

 むしろ“正常に排除された”という表現のほうが近い」


 ナユタは足を進めた。

 照明はついていない。

 だが、まるで光源のない月明かりのように、空間全体がうっすらと見えていた。


 空気は動かず、音もない。

 それなのに、なぜか“何かがあった”という気配だけが、やけに強く残っていた。


「ここ、空っぽじゃないよ」


 ナユタは立ち止まり、低く言った。


「誰もいないし、何も残ってないのに……ぼく、なんか、ひどく“あと”にいる感じがする」


 それは、「終わりの中にいる」という直感だった。

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