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【電子書籍化】王太子が公爵令嬢に婚約破棄するのを他人事で見ていたら後日まさかのとばっちりを受けました  作者: 雅せんす


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怪我が治ったらダイエットしよう

ミリアムはヴァングラスのお屋敷にお世話になる事になりました。

 ヴァングラスのお屋敷に着くと、執事のダウズを始め、侍女頭のケイトや侍女、メイド、シェフ、護衛騎士や庭師、下働きまで皆が心配そうに外で待っていてくれた。

 そしてヴァングラスに抱きかかえられた私を見て阿鼻叫喚になった。


「お嬢様〜!?何て痛々しいお姿に〜!?大丈夫なのですか!?お医者を!お医者をすぐ呼びましょう!」

 中には泣いている者もいてびっくりだ。

 その筆頭は執事のダウズだったりするが……。

 そして侍女頭のケイトもエプロンで涙を拭っている。


「大丈夫よ。心配してくれてありがとう。昨日王城のお医者様にきちんと治療を受けたわ」

 それを聞いてみんな何とか落ち着いた。


「今日からお世話になります。よろしくお願いいたします」

 するとみんなきれいな1列に並び、私に主に対する礼をした。

 いやいや、間違ってますよ?

 あれ?それともヴァングラスに対してかな?

 多分、そうだろう。


「奥様、誠心誠意お世話いたします。どうぞ我が家と思いお過ごし下さい」

 いやいや、奥様じゃないよ?

 ケイトも私の怪我の様子を見てずいぶん動揺しているのだろう。

 本当にケイトは心が優しい。


「外にいつまでもいては、ミリーも疲れてしまうから早く部屋で休ませよう」

「はい!かしこまりました!」

 何かみんな異様に張り切っている。


 私のために準備された2階のゲストルームは何かもうすごかった。

 とても広いし、日当たりもいいし、私好みの可愛らしい家具も揃っていた。

 私がお世話になると決まったのは昨日のはずなのに、さすがトルード辺境伯邸。


「素敵なお部屋です。ありがとうございます」

「どういたしまして」

 ヴァングラスはニコリと微笑みながら私をソファに下ろした。

「私は今から仕事に行ってくる。ミリーはゆっくり休んでいて」

「はい。ありがとうございます。いってらっしゃいませ」

「うん。いってきます」

 ヴァングラスはとても嬉しそうに言った。

 何か旦那様を見送る若奥様な気分にウキウキしてしまう。



「お嬢様、少し横になってお休みになりますか」

 昨日の今日なので、痛いし体が疲れている。

「ええ、そうするわ」

 私はケイトにナイトドレスに着替えさせてもらって、ベッドに横になった。

 ケイトが優しく布団をかけてくれ、カーテンを引き部屋を薄暗くしてくれた。

「ゆっくりお休み下さいませ」

「ありがとう、ケイト」

 まるで慣れ親しんだルルにお世話してもらってるように違和感がない。

 私はすぐにぐっすり眠りについた。



「ん?」

 目が覚めたとき、見慣れない部屋にびっくりした。

 そうだった、そうだった、ヴァングラスのお屋敷にお世話になっているんだった。

 今何時だろう?

 私は呼び鈴を鳴らした。


「お目覚めですか?お嬢様。ゆっくりお休みになれましたか?」

「ええ、ぐっすり寝てしまったわ。ケイトはすごいわ。全て私好みだったわ」

 本当快適だった。

 室内の暗さといい、布団のかけ具合といい、私好みだ。


「実はお嬢様をお世話するにあたり、旦那様に頼み、お嬢様の専属侍女の方からアドバイスをお願いしたのです。そうしましたら、お嬢様の癖やお好みなど10枚ほどの紙にびっしりとこと細かく書いて送ってくださりました」

 え?ルル怪我しているのに書いてくれたの?しかも10枚?

 ルルの熱い侍女魂に感謝すると共に、怪我がひどいんだからちゃんと休んでいてと思ってしまった。


「落ち着いたらルルにお礼の手紙を書くわ」

「はい。とても忠誠心の厚い専属侍女ですね。きっとお喜びになります」


 それにしても、お腹が空いたかもしれない。

「今は何時かしら?」

「もう3時になります」

 どうりでお腹が空くわけだ。

「今お料理を温めております」


 ケイトはナイトドレスの上にさっとガウンを羽織らせてくれた。

 ちょうどその時、コンコンとノックの音がした。

「お嬢様、ご昼食をお持ちしました」


 侍女のローラが手際よくテーブルに料理を並べていく。

 ローラは元々辺境伯領の騎士だったけど、結婚して家庭に入り、子供が大きくなったので今度は侍女兼護衛として働き始めたそうだ。

 薄紫色の髪に一重の茶色い瞳、キリッとした眉の頼れるお姉様な感じの女性だ。

 体型も私より少し背が高いくらいなのに女性騎士なんてかっこいい。

 ヴァングラスのお屋敷に遊びに行くと付いてくれる事が多いので、自然によく話すようになった。


 さて、テーブルに行こうかと思ったら、ものすごく痛い。

「痛たた」

 思わず顔をしかめた。

「大丈夫ですか!?」


 その声にメイドや執事のダウズやシェフ、護衛の人たちがみんな集まってきた。

「ごめんなさい。大丈夫よ」


「お嬢様、テーブルまでお運びいたします」

 ケイトがそう言うと、私を運んでもらおうと男たちを見た。

 みんなさっと目を逸らす。

 え?

 誰も目が合わない。

 え?え?私そんなに重そう?

 ヴァングラスがいない間、やっぱり食べ過ぎた?


「ええと、大丈夫です。自分で行きます……」

 乙女心が泣いている。

「僭越ながら、私がお運びいたします」

 ローラが私をヒョイとお姫様抱っこしテーブルまで運んでくれた。


「ごめんね。ローラ。重いでしょう?」

「とんでもございません。羽のように軽いですよ」

 うう、ローラ、男前!かっこいい!好き!

 ダウズたちが慌てて違うのです、旦那様が、とか何とか言っているが大丈夫!分かっているよ!みんな腰は大事だよね!


 怪我が治ったらダイエットしよう!






いいね、ブックマーク、評価をありがとうございました。


一晩でミリアムのお部屋を整えることができたのは、ヴァングラスのお屋敷ではミリアムを迎えるべく着々と準備が進められていたからでした。

みんなミリアムを迎えて、テンションが上がってます ♪


明日の投稿は用事のため遅くなります。

よろしくお願いします(*^^*)


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― 新着の感想 ―
[一言] > ケイトがそう言うと、私を運んでもらおうと男たちを見た。  みんなさっと目を逸らす。 旦那様に遠慮してるんやで。
[一言] 愉快な仲間達 (*´艸`)ププ
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