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ね!?

ミリアムが蓮華の花に隠した薔薇の刺繍にもちろんヴァングラスは気づき喜び破顔いたしました(^^)

ミリアムはそれに気づいてないだろうな…。

 一週間もかかってやっと渡せた私のハンカチは、それはそれはヴァングラスに喜ばれた。

 いつも持ってくれている。

 しかし、もったいないと一度も使ってくれないのだ。

 気にしないで使ってと頼んでも、いくらミリーの頼みでもと頑なに頷かない。


 なので、私は時間を見つけてはチクチク刺繍してハンカチをプレゼントするようになった。

 ヴァングラスに名前と蓮華に加えて(薔薇はもう恥ずかしいから入れない)、家紋も頼まれたので刺繍しているのだが、お付き合いしているような気分になって何ともむずむずしい。


  そうしてやっとこ私が贈ったハンカチを使うようになってくれ(初めて贈ったハンカチは使わずに懐に大切にしまっている)、気づいたらヴァングラスのハンカチは全て私の刺繍入りの物になっていた。





「ミリー、今日は天気が良いから庭のベンチにしないか?」

「良いですね!私、今日は良い物を持って来ました!」

 あれからお昼を一緒にするだけでなく午後の休憩時間も二人で過ごすようになった。


 ヴァングラスと手を繋ぎ王城の庭に向かう。

 私がヴァングラスの大きな手にすっぽり手を包まれると安心すると思っているのが伝わってしまったのか、移動はもっぱら手を繋いでになっていた。


 王城の庭のベンチに着くと私は早速ショコラ・ローズのチョコを出す。

 ちょくちょくチョコ友の妖精さんからチョコが送られてくるのだ。

「ショコラ・ローズのアーモンドチョコ?」

「はい!ヴァン様がアーモンドチョコがお好きだと、前に文通のお手紙に書いたら、ショコラ・ローズからよう…じゃなかった陛下に送ってくれたみたいです」


「文通?」

「ショコラ・ローズのショコラティエ様と文通というか、チョコの感想を書いて欲しいと言われているのでお手紙を送っているのです」

 ヴァングラスはむーとチョコを睨む。

 確かショコラティエ様とヴァングラスはお知り合いだと聞いたことがある。


「駄目でしたか?」

 もしやお手紙は本当は迷惑しているとか?

「いやいや、ミリーの手紙うらやましいと思って」

「私はヴァン様とは直接会ってお話ししたいです」

「確かに!」

 ヴァングラスは嬉しそうに笑った。




「ミリー、待たせてごめん。帰ろうか」

「はい」

 帰りはヴァングラスと王城の図書室に待ち合わせて、ヴァングラスの馬車に乗って帰るようになった。

 馬車の中でも手は繋いだままなので、前に出かけた時より座る位置が近いかもしれない。

 目が合うとヴァングラスはニコリと笑うので、私もニコリと笑う。



 そのまま、ヴァングラスはうちで夕食を食べていく。

 領地に戻る予定だったお父さまだが、イーギス商会の事が気になるのかそのままこちらに残っていたので、いつもは三人で夕食を食べている。

 お父さまとヴァングラスはワインの趣味が一緒らしく、よくどこそこ地方のワインがとか話したりして随分仲良しだ。


 今日はリクトが寮から帰って来ているので四人で食べた。

「義兄上、戦術の宿題が出ているのですが、夕食の後見ていただけますか?」

「いいよ」

 始めは威嚇するネコのようだったリクトだったけど、すぐに懐いてヴァングラスのことを兄上(違うよ、リクトは義兄上と呼んでるよ)とか呼んで慕っている。

 面倒見が良いから年下からするとお兄さんみたいに思えるのだろう。


 夕食後みんなでまったりしてからヴァングラスは帰っていく。

 私はお見送りに玄関まで行く。


「明後日のお休みだけど、この前ミリーが気に入ってくれたアップルパイをシェフが作るって言ってたから、うちで過ごす?」

 ヴァングラスのお屋敷にはもう何回も行っている。

 初めて行ったときは緊張してガチガチだったけど、執事ダウズも奥さんの侍女頭のケイトもメイドたちもみんな親切で優しいのですぐに馴染んだ。

 もう第二の我が家のようだ。


「ヴァン様のお屋敷のシェフの作るアップルパイ大好きです。シナモンが効いていてパイがサクサクでおいしいんですよね〜。明後日のお休みはヴァン様のお家が良いです」

 お休みもいつも偶然(そんな訳ない)同じ日なので、二人で買い物に行ったり、公園に行ったり、お互いの家でのんびりしたりして過ごしている。


「夕食も食べていく?」

 うーん、そうなるとお父さまが一人で夕食か…。

「夕食は家で食べます」

「ディアス様も夕食にお誘いしたらどうかな?珍しいワインが明日届く予定なんだよね」

 ヴァングラスがウキウキ言う。


 あ、それなら良いかも。

「お父さまに聞いてみます」

 ワイン好きなお父さまは絶対に来るだろう。

 私はまだワインの美味しさが分からないのよね…。


「じゃあ、また明日」

「はい」

 私は扇子を左手で開き右肩に当てた。

"とても楽しみです"

 

 ヴァングラスはフッと微笑んで、少し屈んで私の額にくちづけると、頭を撫で馬車に乗り込んだ。

 残された私は赤くなった顔を扇子で隠し、心配したリクトが様子を見にくるまでそのまま突っ立っていたのだった。



 おでこにチュッとして頭を撫でて……お孫さんと同じ感覚なのかな……。

















 て、流石の私も違うと思うようになりました!

 これ、お付き合いしてると思っても良いよね!?

 ね!?



いいね、ブックマーク、評価をありがとうございました。


感想をいただいてありがとうございます。うれしいです ♪


最後の部分を少し変更しました。扇子言語を入れてみました。

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