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デート -3-


「ちゃーはん、とても美味しかったです!」


 店がたくさん並んでいる中央通りで看板に多くのメニューが書かれている大衆食堂に入り、ご飯を食べた後。僕達は街を歩いていた。


 ユザミさんと色々なことを話した。好きな食べ物はなんだとか、趣味はなんだとか、特技はなんだとか。当たり障りのない一般的なことでも僕達はお互いを知らなさすぎる。


 あまりカロリーが高かったり主食っぽい主食は好きじゃないみたいで、基本的にはサラダなどヘルシーな料理を頼んでいた。ちゃーはんを食べたことがなかったみたいで、勧めてみたらこの通り。


 お互い左目を瞑りながら時間を過ごし、今のところ問題はなかった。


「良かったです、気に入ってくれたみたいで。僕もこの前食べたばかりだったので」


 他愛のない雑談をしながら出店を眺め、歩く。


 ユザミさんは思っていたより無邪気に楽しんでくれていた。


 気になったものがあると僕の手を引いて見に行ったり、ショーケースの中にある洋服や武器屋のサンプル武器の前で足を止めたり。占いや魔法曲芸舞台(サーカス)にも興味を示したりなど、好奇心旺盛だった。


 今まで街に出ても触れられなかった分の興味が溢れ出ているのだと分かる。色々な物を見ては目をキラキラさせていた。


「リト様! これ、どうですか?」


 手を引かれて小さい出店に連れられる。


 指を差しているのは——眼帯。


「ずっと目を閉じているのも不便ですし、付けてみませんか?」


 棚に飾られている眼帯は色々な種類があり、普通の布製があれば機械的な眼帯、花や小さい宝石が付いているお洒落な眼帯もある。


 目を隠せればいいのだから眼帯でも問題ないはず。ずっと目を閉じているよりいいかもしれない。


「なんだァ? 兄ちゃんら、揃って左目が見えないのか?」


 出店の奥にいた筋肉質な男性。右目に眼帯で隠せていないほど大きな刀傷がある。


「いえ、諸事情でしばらく目を開けられないんです」


「おう……? そうか。お嬢ちゃんはその火傷の傷を隠す為か?」


 疑問に思いつつも踏み込むことではないと判断したのか頷く男性。


 次にユザミさんの額の火傷を見て言った。


「いえ! 左目の眼帯が欲しくて」


 ユザミさんは火傷の傷は特に気にしていないようで、店頭に並ぶ眼帯を物色しながら言う。


「せっかくならこんなのもあるぞ!」


 そう言って男性が奥の棚から取り出したのは二つの眼帯。


 片方は白が基調で、もう片方は黒が基調の眼帯。両方共、赤色の小さい宝石がついていてペア用だと分かる。



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