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デート -1-


 それから僕とユザミさんは宿を出た。


 ミーシャからは念のため、と追加で二万G(ギル)渡され、所持金は三万G。それくらいあれば二人分の食事やお店を見て回る余裕はある。


 僕達のことを考えて追加のお金を渡してくれたのか、はたまた体で払うの度合いを高くする為なのか。ちょっと微笑んでいた気がするから後者なのだろうけど、ユザミさんを不自由にさせたくなかったことで借りた。


 体で払う件については……今は考えなくていい。いや、考えたくない。


「目を合わせなければ大丈夫だと思うので、気をつけていきましょう」


 なるべくユザミさんだけを視界に捉える。ユザミさんは真下を向いていて、僕の裾を取った。


「その、私……目を合わせてなくてもダメなんです。男性だと思ったら、目が熱くなって……」


 少し顔をあげたユザミさんの左目が赤く発光している。さっき僕達の隣を過ぎたのが男性だったが、目は合わせていない。


 僕のスキルとは違って目を合わせてなくても発動してしまうのか。全てのスキルの発動条件が目を合わせるわけではない、というのは重要な手がかり。


 でも……それだとユザミさんが街を歩くのは辛いかもしれない。


「そんな心配なさらないでください。リト様の隣なら抑えれますので」


 目が発光しながらも口角を上げてみせるユザミさん。無理をしているのが伝わってくる。


 どうにかできないだろうか。このままでは殺人衝動を抑えつけたまま街を歩かなければならないし、せめて一時的にでもスキルが発動しなければ——。


「……左目」


 そういえば、と思いつく。


 僕とユザミさんのスキルの発動条件。左目が熱くなる、人に対して発動するといった共通点があるのなら、もしかしたら。


 これをユザミさんに試してもらうわけにもいかない。僕が、試さないと。


「……ふぅ」


 僕は顔を伏せて一息吐き、左目を手で隠して顔を上げた。


「——っ」


 こちらに向かってきていた女性と目が合い、顔を下げる。思わず体が震えてしまい、冷や汗を掻いているのが自分で分かった。


 目は、熱くない。


 横を通り過ぎる女性は特別変わった様子がなく、僕のことを再度見ることなく横を通り過ぎていった。


 それが意味するのは——。


「ゆ、ユザミさん!!」


「は、はい!?」


 僕は思わずユザミさんの後ろに回り、ユザミさんの左目を左手で隠す。


「ゆっくり顔を上げてみてください!!」


「で、でもっ」


「もしかしたら大丈夫かもしれないです!」


 僕は興奮していた。


 目が熱くなっていないこと、女性が僕に見向きもしなかったこと。目が合ったのにどちらも起きていないなんて今まで無かった。


 もしかしたらスキルは左目に宿っているのかもしれない。左目で視線が合わなければ、もしかしたら。



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