質問 -1-
Ⅱ
リトが部屋を出る、と同時にあたしはミーシャの口から手を離す。
踏み込んだ質問って言ってたけどまさかそういうことだなんて。リトの前じゃ答えられるわけないじゃない。
リトが出ていくと遠慮が無くなったのか二人ソファに全員が座った。
「ちなみにこれは正直に答えてほしい。君達は一番スキル効果を受けているから、重要なサンプルなんだ」
ロマニの言葉に三人が頷く。私は頷かないまでも了承の意で無言。
「じゃあ一つ目。リト君に性的欲求を抱いてる?」
「抱いてます」
「うん」
即答のイルフとミーシャ。なんでこんな恥ずかしいことを肯定できるのか訳が分からないわ。
「い、いいえよ」
「……セシアさんは?」
「……」
セシアは顔を真っ赤にした後に自分の鎧に顔を伏せて隠した。あれは肯定の意ね。
「リン? 本当に抱いてないんだね?」
「あたっ、当たり前よ」
イルフとミーシャが「またコイツは……」といった表情で見つめてくる。
こんな恥ずかしいこと頷ける訳ないじゃない! 私がリトに欲情してるなんて、例えそうだとしても頷くのは嫌。
「じゃあリト君と恋人に発展しても性行為はしないんだね」
「そ、それは——」
あれ、でもこれを否定したらつまり肯定したことになってでも否定してるから、あれ? ど、どっちがどっちか分からなくなってきた!?
「あら、それは安心ですね」
「でも恋人なのに性欲解消ができないなんてリトは可哀想」
「そんなリト様にリンさんは不釣り合いですね」
「「恋人失格~っ」」
「アンタらねえ!? ボコボコにするわよ!?」
まるで打ち合わせでもしてたかのようにイルフとミーシャが言う。
「そ、そんなこといったらセシアだって!」
「……………………」
セシアを見ると羞恥心がメーターを振り切ったのか頭ごと鎧に突っ込んでいた。
この際、首の角度がおかしいなんて気にしないわ。肯定さえしなければこっちの味方よ。
「あれは肯定と受け取るよ。で、リン? どうだい?」
「——っ」
私は言えない。
絶対、絶対絶対絶対。ゼーーーーッタイ、言えない! こんなこと廊下にいるリトに聞かれてたら、あたしはどういう顔でリトと接すればいいのよ!
「そ、それは分からないわ! リトが我慢できなくて襲ってくるかもしれないし!? 好きになる可能性だって……お、憶が一であるかもしれないしね!」
「「はぁ」」
「そこっ、溜息吐くな!」
下唇を顎につけて溜息を吐く二人を指差す。