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勘違い


「君はとても良い子なんだね。でもね、一つ助言をしておこう」


 するとロマニさんは人差し指を唇にあてて笑う。


「彼女達は恋をすることの素晴らしさを知った。その想いは決して無碍むげにしてはいけないよ」


「——はい! 好意に付け込むことはせずこれからも手を出さないように気を付けます!」


 恋することの素晴らしさを知ったなら、きっと彼女達は僕と離れた後も誰かを見つけて恋ができる。


 だからこそ僕は絶対に手を出してはいけない。彼女達をけがしてはならない。


「あれ、なんか違——」

「ロマニィィッ? アンタ後で覚えておきなさいよ?」


「……ハイ」


 ボッと手の平に魔法陣を発動させて炎魔法を出すリン。


 その後ろではそれぞれがロマニを睨みつけていた。


「ご、ゴホン。さて、本題だけど。まずスキルについて知っていることがあったら教えてくれるかな」


 スキルについて、知っていること。


 正直あんまり知らない。惚れさせる能力があるというのは知っているだろうし。


 僕は思い返す。スキルが発現した時とか、分かれば――


「……あ」


 僕は一つだけ思い当たるものがあった。


「お聞きになっているか分かりませんが、私が好きになった瞬間は目が赤く光っていましたよ」


 それだ。女性と目を合わせると、少しだけ目が熱を帯びる。


「アンタ達は?」


「私は覚えてないな……」


「赤かったと思う。すぐ青に戻った」


 リンが顎に指をあてて考える素振りを見せる。


「あたしの時も赤かった、ような気がするわ」


「ほぼ確定だね」


 あまりにほんの少しの熱だったから緊張だと思って気にしていなかった。


 まさかスキルに特徴があるなんて。大発見だ。


「目の変色、発光を元にまた情報を集めてみるよ」


「あ、ありがとうございます!」


 スキルの発動に目の発光があるなら見分けがつきやすい。


 ちょっと考えれば分かったかもしれないのに、今まで気づかなかったのが悔しいな。


「さて、情報をもらっておいてなんだけど先に聞いて起きたいことがあるんだ」


 ロマニさんが切り替えて言う。


「と、いってもお嬢さん達にね。リト君ではないんだ」


 皆に聞きたいこと? 僕が出せるものならなんでも出していたけど、これは皆次第だ。


「何について答えるのよ?」


「スキルの影響がどの程度なのか。ちなみに踏み込んだ質問をするからリト君には退出をお勧めするけど、どうする?」


 踏み込んだ質問、か。どんな内容なのか気になるけど出ていった方がいいのかもしれない。


「ちなみにどんな質問よ?」


「例えば、リト君に性的欲求を抱——」

「リト、出ていきなさい」

「リト、出て行ってほしい」


「私は大丈夫です。もちろん抱——ふが」

「ミーシャも——ふが」


「……とりあえず、出ていきますね」


 出ていくように言うリンとセシアがそれぞれ答えようとしたイルフとミーシャの口を塞ぐのを尻目に僕は部屋を出た。



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