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思い -3-
「……私は」
フェンデルが俯きながら言う。
「私は、ユザミが処刑されても仕方ないと考えています」
それを口にするのがどれだけ苦しいことなのかリト達は分かっている。
自身に原因があることを自覚し、どうにか社会復帰してほしいと願って自身のホテルで雇った。少年から若者を怖がる以上、多くの弊害があったのは間違いない。
それでも口にしたのは覚悟が決まっていることを示す。
「被害者と遺族の方々に謝っても赦されることではないことも理解しています。ですが、どうか公開処刑だけは……!」
フェンデルは身を震わせながら膝をついた。手を床につけ、頭を深々と下げる。
「公開処刑だけは、辞めて頂きたい! どうか、お力添えを……ッ!」
跪いて土下座をするフェンデルに声をかける者はいない。
セシア達は席を立った。
「来て」
セシアとリンが先に扉へと向かい、次にイルフが後を追う。唯一座っていたリトはミーシャに手を引かれ、フェンデルに声をかけることはなく部屋を後にした。