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ロビニアス家 -1-



 Ⅳ・Ⅱ



 母が再婚した。


 再婚にはあまり関心が無かった。俺は二十三歳で単身生活をしていたから義父と顔を合わせる機会が少ないからだ。


「なあ、兄貴! 今日楽しみだな!」


 弟のレトロアは十個離れた十三歳。無邪気でやんちゃな面があったが自分に素直で悪事は働かない優しい弟だった。


 レトロアは再婚に関心があったというより再婚で義妹ができると聞いてそれを楽しみにしていた。


 弟とは十も離れているから同年代の遊びという遊びはしてやれず、早くにホテル業の仕事に出ていた俺は疎遠になってしまっていることに罪悪感を抱いていた。


 義妹は六歳と聞いていたが、破天荒な性格のレトロアに面倒見を身につけさせてくれるのではないかと考えていたくらいで、そういう面で期待があった。


「初めまして、僕は——」


 義父のことはあまり覚えていない。


 明確に覚えているのは義家族と初めて顔を合わせた時、義父の隣に座っている異質な女の子だった。


 髪色が頭の半分でしっかりと変わっていて、左半分が白髪、右半分が黒髪。確か義父も髪に白と黒があったが、まばらだった気がする。


 義妹は見るからに気の弱そうな女の子だった。手には可愛らしい人形を持っていて、赤い瞳をしている。異質と感じたのは主に髪色と赤い瞳で、一言で表現するなら人間的ではなかった。


 俺は最初、気味が悪いなと思った。しかし弟は目をキラキラさせていたのを覚えている。


「なあ! ユザミって呼んでいい?」


 義家族と挨拶や自己紹介を済ませた後、早速レトロアは義妹のユザミに声をかけた。


「——っ! ……」


 ユザミは見た目通り気弱な女の子でぐいぐいと迫るレトロアを怖がっているように思えた。


 それを払拭したいと何度も声をかけるレトロア。このまま仲良くしてくれれば俺も家を気にすることなく仕事に没頭できると考えていた。



 それから一年が経った頃。七歳のユザミと十四歳のレトロアは周りから見ても仲の良い義兄妹きょうだいになっていた。


 二人が仲良くなって心の支えになってくれればと考えていた俺は頻繁に顔を出した。


 ユザミはよく笑うようになった。可愛らしい人形の代わりにレトロアの服の裾をよく掴んでいて、どこにでもついていく。レトロアが外出すると泣きそうになったり、帰ってくると真っ先に出迎えたり、俺から見てもユザミは当初と違って心を許していた。


 それはレトロアも同じだった。無邪気でやんちゃだったレトロアは年齢を重ねたこととユザミの面倒を見てきたことで大人になり、落ち着きを得た。


 俺にとってそれは良いことだった。ホテル業の仕事が忙しくなってきて顔を出せる回数が少なくなっていたからだ。


 これなら俺がいなくても大丈夫だろう。仕事に専念しよう。


 そう思いながら二年が経ったある日、事件が起こった。

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