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フェンデル・ロビニアス -2-


「フェンデルさん」


 声をかける。フェンデルさんは僕に気づくと、悲しそうに表情を歪ませて受付との話を終わらせ、僕と相対する。


 フェンデルさんは握り拳を作って少し俯く。一息吐いた後、いつもの様子を取り戻してお辞儀をする。


「お待ちしていました。こちらへ、どうぞ」


 フェンデルさんも話を理解しているのだろう。


 歩き出した後を追って廊下の角を曲がり、しばらく。ある部屋の扉を開けると手で先に入るよう促され、僕達は部屋に入る。


 部屋は総支配人室のようだった。中央にテーブルがあり、手前と奥に三人掛けのソファ。左右に一人掛けのソファが一つずつあり、まるで僕達の為にソファが用意されているように感じた。


「お座りください」


 僕は手前のソファの真ん中、隣にミーシャとイルフが座り、一人掛けソファにセシアとリンがそれぞれ座る。フェンデルさんは向かいのソファに腰を下ろした。


 僕は話を切り出すことにした。


「ユザミさんが大量猟奇殺人犯であることを知りながらかくまっていましたね」


 フェンデルさんは頷く。


「正確に申し上げると……猟奇殺人を犯す前からユザミのことを知っていました。私達は義兄妹ぎけいまいですから」


「——っ」


 義兄妹。その単語に皆と顔を合わせる。


「ユザミさんがお兄さんと言っていました。それって義兄という意味ですか」


「はい、彼女は一人子ひとりご。私の母と再婚した義父の子供です」


「じゃあお義兄さんっていうのはアナタのこと?」


 単刀直入なリンの問い掛け。フェンデルさんは首を振った。


「ユザミの言うお義兄さんは私の弟——レトロア・ロビニアスのことです」


 僕達の予想はユザミさんはお兄さんから虐待を受けていて、何かしらの事情で他の人にも手を出してしまうようになったのではないかというもの。


 ユザミさんの言うお兄さんが義兄だとしたら、フェンデルさんの弟が虐待をしていた可能性がある。


「それも含めて、お話させて頂ければと思います」


 フェンデルさんはそこで一息吐いた後、視線を伏せながら語った。

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