フェンデル・ロビニアス -1-
「それで? 総支配人に聞きに行くわけね」
朝九時。三〇二号室に皆を集めて今日の行動を伝えた。
予想だけど総支配人のフェンデルさんは事情を知っている。大量猟奇殺人犯と知って匿っていたなら、きっと重要な事情だ。
ユザミさんの犯した罪は決して赦されることではない。でも何故その罪を犯したのか、皆が知るべきだと思う。
「うん。今から行こう」
それは僕や皆に限らず、国王や被害者の遺族も同じ。例え特別な事情があったとしても赦すことはできないだろうけど、それでも。
猶予は二週間。それはセシア達がユザミさんの身柄を拘束する際に王国側に取り付けた執行までの時間だ。
それまでにできる限りのことをする。
「事情を知って、リトはどうするつもりなんだ」
受付に向かおうと歩き出した途端、セシアの言葉に足を止める。
振り返るとセシアは真剣な表情をして僕を見据えている。
「彼女の事情は……酷い過去があったからだと、漠然と理解している。だが事情を知ったとて犯した罪は変わらない」
それはアシュテルゼン王も言っていた。
『心神喪失だとしても奪った命の尊さは変わらない。奪われた遺族の悲痛と憤怒も、変わらない』。本当にその通りだ。疑う余地なんてない。
「彼女は絶対悪だ。それは揺るがない事実で、赦されるべきではない」
ただ赦されるべきではないとしても——罰せられるべきだとしても。僕はユザミさんの本当を知っている。
「彼女の味方をしないと約束してほしい」
それが周知されるべきかどうか。それを判断したい。
「僕は」
しっかりと振り返って皆と相対する。
「彼女は、罰せられるべきだと思う」
これは本当の気持ちだ。アシュテルゼン王にスキルの事情を説明した時、叱咤されて公開処刑を受け入れたのは僕がアシュテルゼン王の言い分に納得したから。
「遺族のことも考えて処刑は免れないと思う。それは仕方のないことだけど」
どれだけ謝っても誰も許してくれはくれないだろう。ただ、そうだとしても。
「そうだとしても、できることはあると思うから」
そう伝えてしばらく沈黙が続いた。特にセシアとリンは僕の言ってることを否定したい気持ちでいっぱいだろう。
それでも言わないのは彼女達が僕のことを好きで、且つ処刑に納得しているからだ。だから不満に思っても口に出さないでいる。
「行こっか」
僕は再度歩き出す。部屋の細い通路を抜けて、玄関へ。靴を履き、扉を開けて階段を下りる。
僕はスキルがかかってしまわないように目を伏せながら受付へと辿り着く。
受付の方を見ると、偶然なのか分からないがフェンデルさんが受付と話していた。




