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話 -2-


「大丈夫です、僕達はユザミさんに危害を加えませんから。今日はゆっくり心と体を落ち着かせてください。また明日の昼に来ますので」


 僕達が身柄を確保していられるのも時間の問題だ。アシュテルゼン王は譲らないと思うし、正直時間はあまり残されていない。


 だからといって彼女の恐怖心を無視して話を聞く訳にもいかない。幸い、僕の中で前に感じた違和感の正体が分かりつつある。


 当てはある。それを追ってからでも遅くないだろう。


「じゃあおやすみなさい。あるものは好きに使ってくれて構わないので」


「は、はい……ありがとう、ございます」


 まだ信用しきれてないのか臆面おくめんの表情で礼を言うユザミさん。


 それも仕方ない。客観的に見たら殺そうとした相手が普通に接してきていて、その人の仲間が世界最強と名高い人達。


 殺されかけたことも含めて安心できる環境ではないのかもしれない。少しでも早く打ち解けられたらいいんだけど。


 僕は三〇一号室を出た。


「……できれば、明日の朝だな」


 小さく呟く。


 できることならユザミさんに話を聞く前にフェンデルさんと接触したい。


 理由は簡単。前に感じた違和感とは、フェンデルさんが僕に大量猟奇殺人犯が公開処刑にならないよう頼んできたことだ。


 初対面でそれを頼まれたことに少しの違和感しか抱かなかったけど、この宿で働いていた使用人のユザミさんが大量猟奇殺人犯なら話は違う。


 フェンデルさんは大量猟奇殺人犯がユザミさんだと知っている可能性が高い。そして公開処刑を止めるよう頼んだということは、彼女に何かしらの事情があることを知っている。


 ならば、聞くべきはまずフェンデルさんだ。


「ん?」


 三〇三号室の扉がドアストッパーで止まっている。てっきり閉まっていてノックしたら開けてくれると思っていたけど、わざわざ入れるようにしてくれていたのか。


「ただいま」


 返事がない。靴はあるから部屋の中にはいるはずなんだけど。


 靴を脱いで細い通路を歩く。部屋に足を踏み入れる一歩手前で皆が横並びになっていることに気づいた。


「何して——え!?」


 あまりの異変に思わず大きい声をあげてしまう。


「……すごいな」


 皆がいつもと違う髪型をしている。違う髪型といっても普段よく見ている髪型で、皆が髪型を交換しているといった感じだ。



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