全力の勝負 -3-
「「「「最初はグー! じゃんけんポイ!」」」」
グー。グー。パー。チョキ。あいこだ。
「「「「あいこでしょ!」」」」
グー。チョキ。チョキ。チョキ。
私が、グー。
「……勝った」
思わず自分の握り拳を見て涙が出そうになる。
よくグーを出した、私。自分で自分を褒めるなんてあまりに久しぶりで、感極まってガッツポーズをしてしまいそうだ。
「誰の髪型を選びますか?」
促され、私は皆の髪型を見渡す。
やはりリンの髪型が一番ギャップが出る気がする。
「リンの髪型にしよう」
「あたし? ……なるほどね」
自分が選ばれたことに驚きながらも私の顔を見て考える素振り。しばらくして納得したのかそう呟いた。
「まあベストな選択ですね。リンさんは髪型《《は》》可愛いですから」
「あら? アンタもカチューシャに付いてる百合の花《《は》》可愛いわよ」
「あらあら」
「うふふふ」
この二人はいつまで経っても煽り合いが減らないな。むしろ仲良く見えてきてしまう。
「さあ、次よ」
三人の手が前に出る。
「「「最初はグー! じゃんけんポイ!」」」
パー。パー。チョキ。チョキを出したのはミーシャだ。
「いえい。イルフの髪型にする」
「じゃあ残りは……セシアさんとミーシャさんの髪型ですね」
リンとイルフの間にバチバチと火花が散る。
ミーシャの髪型にならないこともあるが、二人の因縁の決着がじゃんけんで決まる。どちらかは敗退がほぼ確定だ。
「フーッ」
「フゥ……」
お互いが息を吐いて数秒。カッと目が見開かれた。
「「最初はグー! じゃんけんポイ!!!」
パー。チョキ。チョキを出したのはイルフ。
「くぅぅぅぅッ!!」
「ふふっ、当然! セシアさんの髪型にします!」
「これでリンが選ばれたら皆ビンタする」
各自色々な反応をしながら、私達は協力し合いながら髪型を完成させていく。
ハーフツインテールの私、三つ編みと銀色のアクセサリーをつけるリン、ポニーテールのイルフ、カチューシャと百合の花をつけるミーシャ。
私達は鏡で確認したり互いの髪型に率直な意見を交わしながら、リトの帰りを待った。