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全力の勝負 -1-



 Ⅱ



 リトが部屋を出て行ってすぐ。取り残された私達はそれぞれ疲れた表情をして姿勢を崩した。


 私はベッドのヘッドボードに軽く腰を下ろして座る。これは身体的な疲労というより精神的なもの。おそらく皆も同じ理由で脱力している。


「本当に頑固よね」


 リンの言葉に私達は頷く。やはり皆思っていたことは同じで、リトの頑固さに気苦労が絶えないといった感じ。


 私もリトはかなり頑固だと思う。特に他人の不利益になることに対して我慢が効かないというか。


「それより早く決めた方がいいのでは?」


 イルフの発言にリンとミーシャは頭の上に疑問符を浮かべる。私も言っている意味は理解していない。


「リト様はすぐ戻ってくると言ってました。おそらく夜遅いですし、ずっと拘束魔法で縛っていたことから今日は休ませようとしているのかと」


 するとミーシャが何かに気づいたようで目を見開き、ばっと手を上げる。


「取っている部屋は四部屋。一部屋は殺人鬼が使うとして、私達は三部屋で寝るしかありません」


 その言葉にリンと私も気づく。


 これは思っていた以上——いや、どんなことよりも重要事項だ。三部屋で寝るしかないということはリトと相部屋になる人が二人いるということ。


 最初から二対二対一で寝ることを考えていない。誰もがリトと寝ようと考えているあたり私達らしい。


「どの部屋にもベッドは二つありますが、私達は相部屋になると喧嘩するかもしれないということで貫き通します。いいですね?」


 コクコク。全員が頷く。


 これは重要案件だが、私にとってはさらに重要なことがある。


「これは寝泊まり当番関係なしということでいいのだな?」


 念のために聞く。今日の寝泊まり当番は私で、本来ならリトと一緒のベッドで寝る予定だった。それが三人で寝ることで消費されてしまうのは許せない。


「関係なしでしょ。さすがに無いわ」


「つまり全員勝負の勝利した二人ということでいいですね?」


 私はホッとする。それならば——全力で勝つのみ。


「先に伝えておきますがリト様のことです。相部屋になっても別のベッドで寝かされるかもしれませんので——」

「力か」

「力ね」

「力」


 考えることは一緒。リトに対する気持ちや考えは皆変わらない。


「では——肝心の勝負方法を決めましょう」


 新たな最重要案件! 勝負方法はまだ決まっていない、どうにか皆に勝てるような勝負方法にしなければ。


 私が勝てるもの、私が勝てるもの、私が勝てるもの。


 考えるうちに下がる目線。目の前に映ったもの。


「む、胸の大きさ」


 そのまま私が勝てるものを口に出した。


「ナチュラルにミーシャを煽ってる」


 そんなつもりじゃ、無かったんだ。確実に勝てて目に映ったから口に出してしまっただけで……。



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