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そんなの、関係ない


「僕は皆に謝っても許されないようなことをしてしまった。もしかしたら皆は今頃運命の人と出会って幸せになっていたかもしれないのに、僕の勝手なスキルのせいで好きにさせてしまった」


 なんで早く気づけなかったのか。


 色んな女性に好かれたり、生命国宝のセシアに好かれた時点でおかしいと思うべきだったのに。


「本当にごめんね」


 謝っても謝りきれない。


「……こうなったら既成事実しか」


 セシアが何か呟いたが、きっと納得してくれたのだろう。


念話テレパシーで宿の予約聞いてるけど名前言ったら断られるわ。どうするの?」


 念話テレパシーとは魔法の一種。魔法使い同士の遠距離コミュニティ手段だ。


「そのまま探してもらってもいい? 次壊したら本当に泊まるところないからね」


 リンに宿探しを続けてもらうと共に皆に忠告する。


 返事はない。皆は顔を合わせてお前ら次第だぞ、と言っている顔だ。


「宿が見つかるまで今日くらいは特訓お願いしても——」

「断る」「嫌よ」「お断りします」「嫌」


「……」


 セシアに教えを乞いながら何故他の人を当たったのか。それの理由がこれである。


 彼女達は僕の特訓に付き合うことを頑なに嫌がる。


 セシアに接触すると剣術指南を断られ、

 リンに接触すると魔法会得を断られ、

 イルフに接触すると治癒魔法は人間には難しいと断られ、

 ミーシャに接触すると召喚魔法の素質ないからと断られ。


 基本的な知識すら教えてくれないザマである。


 これが、僕が世界最強と謳われる彼女達に次々と接触した理由だ。


「はぁ、どうしたもんかなぁ……」


 これがスキルだと気づいたのはミーシャに接触した後。


 出会う女性ほぼ皆に好かれるものだから怪訝に思ったリンが調べ、「希少スキルで惚れさせる関連じゃないか」と判明。


 その時の僕は彼女達に死ぬほど謝った。


「……草原で素振りと筋トレでもしようかな」


 彼女達も恋慕スキルと名付けたそれに納得していた様子だったが、返答は簡単。


 僕は一人ずつ発言を思い返す。


『これがスキルの影響だとしても、私はリトが好きで好きでたまらないんだ』


 これがセシア。


『別に好きじゃないけどっ! でも、あたしがこれでいいって思ってるんだからそれでいいの!』


 これがリン。


『どうあれ私の心に愛があるのは確かです。私はただそれに正直なだけですよ』


 これがイルフ。


『好きだから一緒にいる。それじゃダメ?』


 これがミーシャ。


 だから僕は決めたのだ。


 恋慕スキルを解除して、彼女達をあるべき人生に返そう、と。


 その為に僕は旅を続けている。

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