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危機 -2-


「あたし達がいてこれ以上被害者を出すわけにはいかないわ。狂ってるなら昼でも動きがないとは言えない」


「今から動きますか?」


「それがいいと思う」


 セシアはそれに頷いている。


 どうやら昼から動くことに決まったようで皆はすぐに玄関へと向かっていく。


 きっと居ても立っても居られないんだろう。


「セシア、ちょっと残って」


 ぎゅるん、と皆の首が後ろに向く。リン、イルフ、ミーシャは何をするのか気になって仕方ないという表情。


「わ、私か?」


 呼ばれた本人のセシアは驚き八割、照れ二割の表情で確認。


 別にやましいことするわけじゃないのに何故照れたんだろうか。


「皆は先に行ってて。セシアもすぐに行くから」


「いや、何するか言いなさいよ」

「いや、何するつもりなんですか?」

「いや、何するか教えて」


 いや、何するまで完璧に揃っているのにちょっと惜しいな。というか、仲良いな。


「手を冷やすだけだよ。いってらっしゃい」


 なるほど、といった表情をして三人は廊下に姿を消していく。数秒後、部屋の扉が開閉される音が聞こえた。


「わ、私は大丈夫だぞ」


「いいから脱いで」


「ぬ、ぬいっ、脱っ!?」


籠手こての話だよ?」


 きっと想像したのは服なんだろう。手を冷やすだけって言ったのにそう勘違いするあたりセシアらしい。


 セシアはほんの少しでも勘違いできる余地があったら本気で勘違いするからなぁ。


「手を見せて」


 ぐいぐいと迫る僕に観念したのかセシアはかちゃかちゃと右手の籠手を外す。


 僕はその手を取って武具の一種である手甲てっこうも取る。


 やっぱり。中手指節関節ちゅうしゅしせつかんせつあたりが赤くなってしまっている。


 籠手と手甲が和らげてくれているとはいえ、あれだけ強く殴ったんだ。冷やしておかないと悪化するかもしれない。


「ほら、冷やしにいくよ」


「ほ、本当に大丈——手っ、にぎっ!?」


 籠手と手甲を持ち、セシアの手を取って洗面所へ。セシアの手を水で冷やす。


「水だから二、三十分冷やしたいけど待てないだろうから、五分だけ。その後は安静にすること」


「わ、分かった」


 少しの沈黙。


 セシアはもう抵抗するつもりはないようで、手を離しても問題ないだろうけど今更感がある。


「リトは、詳しいのだな」


「うん?」


 唐突の褒め言葉に返答がただの疑問になってしまった。


 「その、私は……冷やせばいいことしか知らない。何分だとか、今回は水だからだとか」


「あはは、セシアはあんまり打撲とかしないでしょ? だからじゃないかな」


「リトだって最近は怪我してないじゃないか」



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