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アンアン目覚まし -1-


 ポロ、ポロロロロロロ。


 窓の外からリーボの鳴き声が聞こえて目が覚める。


「……」


「……」


 視界に真っ先に映ったのはイルフの顔。


 幸い距離は近くない。膝を抱えるようにして足先で体重を支えているイルフは僕が起きたのをお構いなしに見つめてくる。


「……おはよう」


 首元までかかっていた布団で顔を隠して言う。


「おはようございます」


 昨日のこともあってイルフと目を合わせにくい。


 イルフは僕の目を簡単に見つめてくるのに、なんで僕が恥ずかしい思いをしてるんだ。


「今、何時?」


「十時半過ぎです」


「そっか」


 僕は起き上がる。イルフは少し距離を置いていて、横を通り過ぎて洗面所へ。


 バシャバシャ、バチン。水で顔を洗って両頬を両手の平で叩く。


 よし、もう大丈夫。恥ずかしがるな、僕。


「イルフはセシア達から何か聞いてる?」


「いえ、予定は特に。夜の行動を提案して、夜に動くことが決定したくらいです」


 やっぱり。イルフとはずっと一緒にいたから話していたら僕も知っているはずだ。


 夜に行動というのもイルフが昨日提案していたもの。じゃあやっぱり昼にはどう動くか話し合っておきたいな。


「皆起きてるかな」


 もし寝ていたら起こすのはちょっと気が引ける。


「起きていると思いますよ。リト様は朝が弱いと話して皆さん頷いていましたから」


「ぼ、僕のいないところで話してるんだね」


 その内容が僕だということがちょっと複雑だけど、皆が仲良くしてくれるのは嬉しい。


「それはもう可愛いところからマウント、お風呂を覗いた時の体の線の話などいっぱいです」

「ちょっと待って? それ話したの誰? 教えてもらえる?」


 いやいや、さすがに嘘だよね? 着替えやお風呂の時は気を付けているはずなのに。


「仲間を売ることはできません」


「いつもの敵対関係はどうしたのぉ!?」


 教える気のないイルフは小さく笑って誤魔化す。


 マウントの取り合いで熱くなって出た嘘だと信じよう。


「じゃあ確認で皆の部屋に行こうかな」


「それなら私がお呼びしましょうか?」


 僕が呼びにいってもいいけどもし寝ていたら。そう考えると僕よりイルフが適任かもしれない。


「お願いするね」


「はい!」


 するとイルフはなぜか自分のベッドへと歩き、座って手の平で口を隠す。


 次の瞬間——

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