一番危険なのはイルフ
「さて、今日は私の寝泊まり当番のはずですが」
「……」
「……」
「……」
「何故皆さんもいるんですか?」
二〇二号室で緊急会議が始まる。主催者はイルフ。
参加者は僕、セシア、リン、ミーシャ。いつものメンバーだ。
僕は二つあるベッドの片方に座っていて、そんな僕の前に立つようにセシア、リン、ミーシャ。
その向こう側、もう一つのベッドにイルフが座っている。
「当たり前じゃない、アンタと二人にさせたら何が起こるか分からないもの」
リンの言う通り。正直、イルフの度を超えた接触には手を焼いている。
僕の意見などお構いなし、という訳じゃないけど欲望に素直というか。一見お淑やかそうに見えてたまに酷い言葉を口にするし。
「そんなことありません、リンさんははしたないです」
「ミーシャもイルフは信用できない」
珍しくミーシャが強気で否定的な意見を出す。
「そんなこと言わないでください! 一発キメようとなんてしていません!」
「……?」
「うん、分かってるよミーシャ。大丈夫」
イルフを指差しながら口を半開きにしてこっちを見てくるミーシャ。
言いたいことは分かる。たまにおかしいんだ、この子は。
「では勝負しませんか?」
うわ、嫌なことを言い出した。
こういうことに限って僕は絶対に巻き込まれる。
「いいだろう。勝負なら受け入れよう」
「あたしも勝つ自信しかないから内容はなんでもいいわ」
「本気出す」
内容も聞かず受け入れる三人。本当にこの人達は今まで負けたことや劣等感を抱いたことがないから、負けず嫌いだし自信満々だ。
「ふふっ、そうこなくちゃ!」
笑顔で勢いよく立ち上がるイルフ。
内容はどんなものなんだろう。それはちょっと気になるな。
「内容は簡単! 一番リト様を興奮させれ——」
「はい終了です」
僕は即座に間に割って入って両手を上げ交差する。
ろくでもないと分かっていたのに気になるから止めなかった僕が馬鹿だった。
「もちろん勝者はリト様と【ピーー】する権利を——」
「終了でーーす!!! おやめください!」
「「「ごくっ」」」
なんでこの三人は「そんなこともアリなのか……?」みたいな表情しながら生唾を吞んでるんだ。
「こ、興奮というのは……なんでもアリなんだな」
「なんならそこで……ごにょごにょ」
「二発キメる自信ある」
僕を無視して会話を続行しようとする四人。
こうなったら強硬手段だ。
「……もう誰とも同じ部屋で寝な——」
「それはリトの意思を無視している」
「まぁもうちょっと先の話よね? 分かってるわよ」
「さすがにやりすぎましたか。反省します」
「ミーシャ、嘘ついた」
「……」
皆、冗談で言ってくれてたようで何よりだ。
そんなことよりこれからのことを話そう。