セシアと寝泊まり -2-
それからセシアが風呂から出てきたのが一時間後。
それと同時に夕食が届いて、食べ終えた。夕食は如何にも高級なステーキとサラダでとても美味しかった。
僕もお風呂に入り、しばらくして時間は二十二時頃。外はもう暗く、寝るには早くも遅くもない時間だ。
「もう寝る?」
「ん……寝ようと思っていた」
ベッドの上でウトウトしているセシアに聞くと眠そうな声で返答。
セシアは生活習慣がとても規則正しい。寝泊まり当番になった時は二十三時以降起きていることはなく、二十二時には眠そうにしていることが多い。
「うん、じゃあ寝ようか」
「ね、ねっ、寝る!?」
「別々のベッドでね」
「……ふん」
セシアとの会話で気を付けなければいけないこと。
それはなんでもかんでもちゃんと別々だということを伝えることだ。たまに忘れてしまう。
「おやすみ」
「……おやすみ」
先に左のベッドに入っているセシアに眠る挨拶をして、僕は電気を消す。
僕は右のベッドに入り、心の中で唱える。
弱い僕を守らせてしまって、ごめん。僕の旅に付き合わせてしまって、ごめん。人生を狂わせてしまって、ごめん。
これは僕が毎日寝る前に、やってしまったことの罪悪感を忘れないようにする習慣だ。
そして、今日も僕は言う。
「いつもごめんね」
心の底から、ちゃんと。何度言っても、何度伝えても、謝罪の意思は変わらない。
「いつもありがとう、リト」
そうしていつもセシアはお礼を言う。
皆それぞれ僕の謝罪に対応してくれる。
セシアは謝られるようなことは無くてお礼を言いたいことばかりだ、と言った。だから、僕の謝罪に感謝を返す。
そうして今日が終わる。明日からはいよいよ宛てのある旅だ。
できる限り早くスキルの解除方法を見つける。そして皆を解放して、たくさん怒りを受け止めて、絶対に強くなる。
怒りを受け止めて死んでしまってもいい。彼女達にはそれくらいの怒りを覚えていてもおかしくないことを、僕はしてしまっている。
でももし生きていたら——僕が守ってもらった分、彼女達が危ない目に遭った時に僕が守ってあげたい。
だから、強くなるんだ。どれだけ才能がなくてもどうにかして強くなる。
僕は再度そう心に決めて意識を手放した。