セシアと寝泊まり -1-
「じゃあ出発は明日の朝ね。今日の寝泊まり当番はセシアで、あんた達はこの部屋。一時間後ぐらいには夕食が運ばれるのと、クローゼットに入ってる下着やらは勝手に使っていいわ」
リンがそれぞれ部屋を案内してくれる。
廊下の一番奥の部屋からリン、僕とセシア、ミーシャ、イルフ。
「変なことしてたら遠慮なく燃やすわよ」
「私は扉から入りますよ」
「一番強い精霊を召喚する」
「二人、ロマニさんが聞いたら泣いちゃうようなこと言わないの」
そう言って注意するとそれぞれが部屋に入っていく。
「お願いしていい?」
「わかった」
セシアが扉の横の魔力感知板に触れる。
ピピッという音の後に鍵が開く音。これは流れた魔力を認識し、魔力が鍵扱いになる。
ちなみに魔力には質があって、最初に流した人以外の魔力では鍵を開けられないようになる。
扉を開けて一歩引く。セシアを先に部屋に入れてから僕も入り、扉が閉まると同時に鍵も閉まる。
「うわぁ……思ってたより綺麗だ」
「……」
豪華なシャンデリアに赤い絨毯。中央に綺麗な彫刻の白いテーブルと椅子。赤いソファ。白を基調としたベッドがしっかり二つ。
魔法研究機関レグロノヴァは外装もお洒落で綺麗だったから、中身も拘っているんだろう。
「一時間後に夕食って言ってたし、お風呂入る?」
「お、おふっ、お風呂!?」
あ、これは勘違いしてる反応だ。先にってつけておけばよかった。
「先にお風呂って意味で」
「あ……そ、そうか。では先に入ろう」
カチャカチャと腰にかけている剣を置き、鎧を脱ぐ。ドスンという置いた音でとても重いことがわかる。
「ふぅ」
鎧の下は本当に布一枚といった服装。肩などは出ていて正直目のやり場に困る。
「……」
「……」
鎧などを置き終わって、チラッとこっちを見るセシア。
「……」
「……」
タンスから肌着と太腿くらいしかないハーフパンツを手に取って、チラッとこっちを見るセシア。
「……」
「……」
半透明な樹脂パネルの扉。おそらく脱衣所だろう扉の前でチラッとこっちを見るセシア。
「……良かったら一緒にお風r」
「入りません」
「……ふん」
言うことはもう分かっていたので言い切る前に遮る。
セシアは行動する前に聞いてくれるから助かる。毎度断るのは、なんか申し訳ない気がするけど仕方ない。
これは僕の中で心に決めたことだから。
「ふわ……ちょっと横になろうかな」
僕は寝転がってセシアと夕食を待つことにした。