その後 -2-
「もちろん、許す」
「もちろん、許すわ」
「そうですか」
イルフはそれに返すように微笑み、何故かミーシャと視線を合わせる。
すると、わざとらしく掛け声で合わせて——
「私は許しませんけど」
「ミーシャは許さない」
——にっこりと笑って、そう言った。
唖然とした表情を浮かべるセシアとリンは、その心境をそのまま言葉に出すかのように——
「は?」
「ハァ?」
——そう、疑問の声を上げた。
セシアとリンが疑問を浮かべるのも無理はないと思う。
僕がユザミを選んだことに一番怒ったのはセシアだ。そのままユザミの元にいるなら、別離することも厭わないという強い気持ちを感じた。
それはリンも同じ。真っ先に行動に出たのがセシアとはいえ、リンからも強い気持ちを感じたのは言うまでもない。
イルフは中立の立場で、僕を咎めたことはあったけど突き放すことはしなかった。ミーシャに至っては協力してくれたし、何より二番目でも三番目でも良いと言っていた。
つまりユザミと共に旅に出ることがあったとしても、ミーシャはついてきていただろう。だからこそ、疑問の声。
「だって私達傷つきましたから。ねー?」
「ねー?」
「はぁ!? ちょっ、何言って……っ」
文句を言おうとしたリンから全力で顔を背けて聞かない意思を行動で示す二人。
「傷ついたので、【ピーーー】の一発や二発してもらわないと割に合いません」
「私も」
なるほど、だから許すかどうか聞いたのか。
それにミーシャとも前から打ち合わせていたようだったから、こうなるのは目に見えていたのかもしれない。言っていることはともかく、このやり取りを見れるのは嬉しいことだ。
「だ、ダメだ!! そんな破廉恥なことは許さない!」
「そんなん許されるわけないでしょ!?」
イルフは変わらずツーン、と顔を背けて聞かない意思を見せる。
「ミーシャはリトに三万G貸してる」
そんな三人に向かって、ミーシャが言った。
「三万Gは遊女の相場。ミーシャは既にリトを買った」
まさかここで引き合いに出してくるとは。
ミーシャがお金を貸してくれた時、渡したお金分を体で返してもらうからと言っていた。もちろん冗談だと思うけど、もしかしたら後から二万G貸してくれたのはこの為だったのかもしれない。
「そ、それなら私は許さない!! 私だって、リトと……!!」
「じゃああたしも許さないから!! リトには私が三万あげるからミーシャにはそれで返しなさい!」
許されないことになってしまったのはともかく、こうして皆でふざけ合えている。手放そうとしたにも関わらず、許してくれようとしている。
僕はいつか、彼女達の想いに応えなければならない。その時がいつか分からないけど……でも。




