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その後 -1-



 Ⅰ



「本当にごめんなさい」


 僕は深々と頭を下げる。


 場所は魔法研究機関レグロノヴァの一室。人智帝国ブリテンに入る前日に宿泊していた部屋の一つで、前にはセシア達がいる。


 ユザミと決別した後、入口城門に着いた僕が謝ろうとした瞬間。リンは転移テレポートを発動して、気づけばレグロノヴァの中にいた。


 転移テレポートしてきた僕達に気づいたロマニさんが近寄ってくると、リンは半ば強制的に部屋を借りると言って、今に至る。


「皆の気持ちから逃げようとした。僕はちっぽけで、何も分かってなくて……受け止められるほど強くなかった」


 詳細に伝える必要はない。セシア達はユザミと話していたようだし、僕が想いから逃げようとしたのを分かっているから。


「でも、向き合うことの大切さを知った。前を向くことの強さを教えてもらった。都合の良いことを言ってるのは分かってる、だけど——」


 さらに頭を深々と下げる。


「——もう一度、皆の想いに向き合わせてほしい。どうか、お願いします」


 僕の前に立っている四人から返事は無い。


「一つ聞かせて欲しい」


 しばらく続いた沈黙を破ったのはセシアだった。


「ユザミ・テトライアを選んだことに、後悔しているのか」


 その声だけで何かを得ようとするのは不可能だった。


 怒りか、悲しみか——どう答えて欲しいのか。それがどういうものであっても、僕の中で答えは出ている。


 例えそれが望まれた答えでなくても、それに嘘を吐くことはできない。


「後悔してないよ」


 僕は頭を上げる。目を見て、はっきりと、そう答えた。


 後悔なんかしていない。


 ユザミと出会い、弱さと向き合い、前を向くことの大切さを知って——今、皆と本当の意味で向き合えている。


 それが結果論だとしても、僕は良かったと思っている。この選択を、後悔することなんてできるはずがない。


「なら、いい」


 すると、セシアは目を伏せた後に微笑んでそう言った。


「後悔したなんて言ったら、今度はブン殴ってたわ」


 リンは腕を組みながら、ふん、と鼻を鳴らした後に顔を逸らす。


 二人の表情と声色から察するに許してもらえるみたいだ。


 かといって、今回のことはちゃんと許してもらえるか聞いておかないといけない。それほど僕は酷いことをしたし、関係が崩れてしまいかねないようなことだ。


「じゃあお二人は許すのですか?」


 聞こうと思っていたことをイルフが聞く。


 イルフの言葉にセシアとリンは小さく微笑んだ。



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