問答 -4-
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「私はリトが大好きだよ」
続ける。
「あんな酷いことをしたのに大丈夫だと言ってくれたリトが大好き」
続ける。
「私のことを考えて、落ち着く時間をくれたリトが大好き」
続ける。
「私が人を殺してしまう理由に気づいてくれたリトが大好き」
続ける。
「処刑されて当たり前なのに、悲しい顔をしてくれたリトが大好き」
続ける。
「同情だとしても、私を選んでくれたリトが大好き」
続ける。
「私が前向きに生きていけるように、外に連れ出してくれたリトが大好き」
続ける。
「一緒にご飯を食べて、お揃いの眼帯を買って、辛い気持ちを私に気づかれないように気遣ってくれるリトが大好き」
続ける。
「私が赦してもらえる為に行動してくれるリトが大好き」
続ける。
「一緒のベッドに入ったり、一緒にお風呂に入ったら、恥ずかしそうにするリトが大好き」
続ける。
「私と一緒に生きてくれる決心をしてくれたリトが大好き」
続ける。
「ずっと苦しくて、痛くて、寂しかった人生に——リトはいっぱいの大好きを教えてくれた。いっぱいの温かさをくれた。生きてていい理由を与えてくれた!」
次第に穏やかさと温かさを帯びる言葉と表情。それは自分の人生に価値を見い出せず、彷徨っていたユザミがリトに手を差し伸べてもらったことによって得た感情。
「だから、私はここにいる! 大好きなリトと罪から逃げたくないから! リトのおかげで前向きになれたから! だから、私は罰を受けるんだ!」
頬に涙が伝う。それはある日のように、苦しく、痛く、寂しいから流した涙とは違う。いっぱいの大好きを知ったから、いっぱいの温かさを知ったからこそ、流せる涙。
「だから……! リトも、彼女達から逃げないで! ちゃんと、前向きに、向き合ってあげて!! 私の想いも、彼女達の想いも、決して偽物なんかじゃないっ!! 全部、全部、本物だから!!」
それはリトも同じだった。頬に伝う涙は苦しみではない。ずっと悩み続けて、惚れさせてしまった女性の想いを、正面から受け入れることのできなかった弱さだ。
自分の心は間違っている。それを知るには十分すぎるほど、目の前にいる女性はあまりにも————
「私達は————幸せだから!!」
————————幸せそうだったから。
その言葉はある日、ユザミが飲み込んだ言葉だ。今それを言うべきではない、と。口にできる機会があるのならば、リトに伝えたいと願った言葉。
ユザミの中に、もう未練は無い。リトは向き合うことを決めた。逃げない強さを得た。それを知れたことが、ユザミにとって最高の思い出だった。
後は伝えるべきことを伝えるだけ。ユザミはそれを口にしようとすると、リトはぐしゃぐしゃに歪んだ表情のまま、腰のポーチからあるものを取り出した。




