問答 -3-
「同じことを聞いた。幸せとは何か——皆、同じ答えだったよ」
なんて言っていたのか。聞くべきことにも関わらず、リトはそれを聞くことができなかった。
「——リトと一緒にいること。そう伝えるだけの、数秒にしか満たない時間で……彼女達は、幸せそうに言ってた」
幸せそうに言うセシア達の表情が、簡単に想像できてしまうから。
それが、さらに心を締め付ける。
「違う……」
リトはそれを否定する。
「違う、違う、違う!! それは僕がスキルで勘違いさせてしまっているだけで……ッ、皆はもっと……!!」
抱いているのは劣等感だった。生命国宝と呼ばれる程に実績を残してきた彼女達を、ちっぽけな存在である自分が、卑怯な手段で手にしてしまったこと。
それを受け入れて平気でいられるほど、彼の心は大きくない。
「幸せになってたのにって?」
紡ごうとしていた言葉をユザミに紡がれる。
それは不思議なことではない。リトの思いは一貫していて、口に出すことは何も変わっていない。
「彼女達の幸せなんて分からないくせに。私の幸せだって、分からないくせに。私達は向き合おうとしてるのに、自分だけいつまでも逃げ続けて、何がしたいの?」
小さく呟かれたその言葉をリトは聞き逃さなかった。声が震えていて、俯いて表情が伺えなくても怒っているのが感じ取れる。
「いいよ、全部教えてあげる。もう、止まってあげないから」
ユザミはそう言うと、キッとリトを睨みつけた。
息を吸って、吐いて、それを三度ほど繰り返して大きく息を吸う。次に放たれるのは、ユザミが心の中に留めていた想いだった。




