問答 -1-
「最初から……こうするつもりだったの?」
「違うよ。守るって言ってくれた時、一緒に生きていこうと思った」
「なら、なんで」
「それを言ったら、納得してくれる?」
「……するわけないだろ」
「うん、知ってる。リトは優しいから、私が死を選ぶことを許してくれない」
ユザミは空を見上げた。
「なんで私だけがこんな目に遭うんだろうって思ってた。それがスキルのせいだとしても納得できない。でも、多くの人の命を奪ったことも変わらない。生きている限り、私は過去を呪うことになる」
「……だから、死ぬことを選んだのか?」
ユザミは首を振る。
「リトは勘違いしてるよ。私は——」
「勘違いなんかしてない!!」
声を遮って怒号を上げるリトに、ユザミは驚く様子を見せない。
「ここにいることが何よりの証拠じゃないか」
リトが怒ることも、悲しむことも分かっていた。そうなってしまうとしても、ユザミは罰を以て罪を償うことを選んだ。
「……リトはなんで私を救おうとしてくれるの?」
「なん、で……?」
リトは俯く。
「……酷い話だと思った。虐待されていた過去も、スキルのせいで命を奪ってしまうことも……それで裁かれることがあってはならないと思った」
リトは続ける。
「誰もスキルのことを分かってない。誰もスキルに苦しんでいる僕達のことを理解できない! スキルを知らない人間が理解するのは難しいのは分かってる、だけど……!」
リトは続ける。
「そんなの、あんまりじゃないか……ッ」
ユザミは一瞬目を伏せた後、リトを見据える。
「私達、やっぱり似た者同士だね」
ユザミは小さく微笑む。それを見て、リトの頬は綻びを見せるように頬が緩んだ。
「私も、リトも、ずっと抱えてきた罪から逃げたくて仕方がなかったんだ」
「ユザ、ミ……?」
「バッグに入ってた紙、見ちゃったんだ」
リトは喉に固形物が詰まる感覚に噎せ返りそうになるのを抑える。
「遺族から赦しを得たら、私は犯した罪から逃れられる。リトは私と一緒に生きていくことで、彼女達と離れることができる」
「なに、を——」
「私達は似た者同士で——弱い者同士だね。犯した罪が近くになければ、思い出さなくていいだろうから」
リトは言葉を返せなかった。
「リトは私を救おうとした。例え自分がどれだけ苦しんでも、犠牲になったとしても、救わなくちゃいけなかった。……その理由を教えてあげよっか」
「——っ」
「……心のどこかで分かっていたんだね」
「やめ——」
リトの制止を聞かず、ユザミは口を開く。




