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質問 -3-


「どっちでもいいわ」


 あたしは強気で言葉にした。


「そ、そもそもあたしはスキルなんてかかってないけど? でも、かかってるあんた達の立場で言うと——きっと一番苦しんでいるのはリトよ」


 そう、あたしは知っている。いや、違う。ここにいる皆も知ってる。


 リトはあたし達の心をスキルで動かしてしまったことを酷く後悔して、一時期ずっと泣いていた。


 何度も伝えたわ。無条件で発動されるなら仕方ないって。でも、それでもあたし達の本来の人生を考えて、何度も謝るの。何度も一人で泣くの。


 リトはいつも寝る前にあたし達に謝る。


「リトは何も悪くない。あたし達の人生に責任を感じる必要なんかない。だから解除するとかしないとか、どっちでもいいの」


 そう、リトは悪くない。あたし達は幸せだもの。でも、リトは今でも後悔して生きている。だからスキル解除の旅をしている。


 そんなリトだからあたしは好きなの。


 うん、ちゃんと言いたいことを言えてるな、あたし。心の中だけど。


 リトの前でもこれくらい素直に言えたらいいのに。なんでかしら。


「どっちを選んでもあたしは変わらないわ!」


 これがあたしの本音。うん、いい出来ね。


「リン、それ恋してるて言ってるようなものだよ」


「…………え?」


 ロマニに言われて隣の三人を見る。全員頷いてる。


 え? そんなこと——ないわよね? あれ?


 そう、だってあたしは皆の立場でって言って。あれ、でも途中からあたし達の人生に責任を感じる必要がないって——あたし、まさか自分も含めちゃった?


「~~~~っ」


 あたしは思わず顔を俯かせる。


 こんな恥辱初めてだわ。あたしのミスとはいえ、しかもこの三人に見られるなんて最悪!!


「じゃ、じゃあイルフさん」


「はい。解除します」


 まさかの即答。なんの迷いも無さそうなイルフの発言に思わず顔を上げる。


「私はスキル関係なくリト様のことを愛しています。何も変わりません。だから解除されても好きだということを、私だけが証明してリト様と結婚します」


 はぁ、ホント。お淑やかな見た目して敬語使ってるクセに、ここまで自信満々に言えるんだもの。ホントさすがだわ。


「結婚したら毎日寝起きのリト様に【ピーー】して【ピーー】した後に【ピーーーー】、【ピーーー】【ピーーーーー】」

「ほとんど禁止ワードじゃない黙ってなさい!!」


 聞いてるだけで恥ずかしくなるような言葉の連続に思わず突っ込む。


 ホント、お淑やかな見た目して敬語使ってるクセに!!


「ミーシャは解除しない」


 あたしは驚く。ミーシャはてっきり解除する側だと思ってた。


 この子も自信満々にリトに迫ってるから自分の気持ちに自信があるかと思ってたもの。


「スキルを解除する方法が見つかる前にはミーシャがリトと結婚してる。これがメインルート」


 やっぱり予想通りだったわ。意味わからないこと言ってるし、たぶんイルフに対抗してる。


「め、メインルート……?」


 ロマニが意味分からない単語を聞き返すと、ミーシャは指を指す。


 順番はセシア、あたし、イルフ。


「サブヒロイン。ミーシャ、メインヒロイン」


「なんだと?」

「なんですってぇ!?」

「あら、このクソガキ♪」





「「「…………?」」」





 ウフフフと笑うイルフ。呆然とするセシア、あたし、ロマニ。


 い、今クソガキって……?


「と、とにかく! ご協力ありがとう、ははは! リト君を呼び戻すね!」


 ミーシャのヒロイン問題発言にボルテージがあがったのを感じ取ったのか、ロマニはリトを呼び戻しにソファを立つ。


 クソガキってイルフが言ったかどうか一旦置いて、あたしがサブヒロインなんて許さない。


 あたしがゼッッッッタイにリトと結ばれるんだから!! 負けないようにしないと!!

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