質問 -2-
「……全く。じゃあ次の質問だ。スキルが発現した時、どんな状況だった?」
これなら大丈夫。普通の質問よ、心を落ち着かせなさい、あたし。
「私は……軍の女性騎士から私に師事したいという少年がいると聞かされて会った時に」
リトとこの三人といると四人で続けて話すことが多々ある。
その時、あたしは二番目に喋る。これは被らないように皆で決めたこと。
「あたしはセシアが戦いを挑みに来たって聞いて、会ったらリトがいたわ」
これが本当。私に魔法を教えてほしい人がいるのはレグロノヴァの研究員から聞いていた。それは無視したけど。
そこに神聖ヴィロナス王国の最強が挑みに来たって聞いて、会ったらリトがいて。そんな感じ。
「私は生命国宝のセシアさんとリンさんが妖精ノ楽園に来ると知って迎えた時ですね」
これはあたしも覚えている。
リトの要望で妖精ノ楽園に行ったら、リトを見たイルフの目つきが変わったのは手に取るように分かったもの。
「ミーシャも同じ」
「それはリト君が三人と国に来たってことかな?」
「うん」
これも同じ。今度は三人で召喚魔法の研究が盛んな小国家——東南カルロにあたしたち達は行った。
「なるほど。じゃあ最後の質問だ」
ロマニは前のめりになって太腿に肘を置き、真剣な表情をする。
「スキルの解除方法が分かった時、君達は解除する?」
その質問に誰もすぐに返すことができなかった。もちろん、あたしも考える時間が必要。
これは答えが分かれると思う。だって今の時間が終わってしまうかもしれない時の話だから。
あたしはリトが好き。大好き。この気持ちがスキルのものだとしても、そんなの関係ない。好きだから、ただそれだけでいいの。
でもスキルを解除して、この気持ちが消えてしまったら?
そう考えると——とても怖い。もっとこの気持ちを味わっていたい。この気持ちが報われてほしい。その幸せを感じたい。
そんな真剣に考えてるのはあたしだけなのかな。
「私、は……解除したくない」
一番にセシアが言った。
「私は王国の為に生きてきた。今でも王国に忠誠を誓い、危機とあらばすぐに駆け付ける。それが私の生きている価値で、存在意義だった」
鎧から顔を出してそう言ったのに、今度は顔の半分下を鎧に隠した。
「リトに恋をして、私が私の為に生きることの価値を知ってしまった。だから、また私が私に価値を見い出せなくなるのが怖い」
これは皆、理由がはっきりと分かれる。
あたしはセシアの気持ちを否定なんてしない。だって、分かるもの。この気持ちが無くなってしまったら、この幸せも無くなってしまう。
だから、あたしも本音を言おう。