第一章 設定集
~第一章で登場した人物紹介~
・レイド=ブラッド
使い捨てかませ悪役だった、前人格。
シオンのスキルによって、別世界の自分・・・「移 玲司」と入れ替わった。
幼少の頃に両親を失い、ストリートチルドレンとして5年ほど生活していたため、倫理観にかなりの歪みがあるが、母の教育のおかげなのかやけに義理堅く、筋は通そうとする。
これまで自分の力ので生きてきた反動なのか、コミュニケーション能力は皆無で、人を頼るということを極端に嫌っているが、別に人嫌いではない。
シオンのことを嫌っていたのは夢に対する意識の違いから来るもので、シオンのことを自体はそれほど嫌いではなかった。
レイドが最後に取った「強硬手段」とはパーティーの解散であり、「新しい門出」とはソロでの活動を意味していた。
因みに、実はソロであったならSランクぐらいの実力はあった凄いヤツ。
・レイ=スミス(移 玲司)
パーティーの解散後の「レイド=ブラッド」に乗り移ってしまった本作主人公。
基本的に穏やかな性格をしているが、実は結構短気であり怒るとムキになって、後先考えない行動をしたりするタイプである。
それによって、嫌なバイト先の店長や先輩と激突することが少なくなく、それが理由で色んなバイトを転々としていた。
そうして数々のバイト経験によって培われた器用さと経験によって、殆どの仕事を短期間でマスターしてしまう程になっていた。
実は結構重い過去があったりするが、それを感じさせないのは本人がポジティブだからではなく、色んな人に支えられて今こうして生きていられるということを知っているからこそ、弱音を吐かないようにしているだけである。
基本的に愛称で呼ぶことが多い。
・クロウ=スミス(親父さん)
現在、魔剣や聖霊剣を打てる数少ない鍛冶職人の一人。
愛称は「親父さん」。
レイのことを「お前さん」と呼ぶ。
見た目だけなら頑固オヤジっぽい見た目をしているが、実際はかなり気遣いの出来る繊細な心を持った優しい親父さん。
鍛冶の腕は超一流で、5本の指に入るぐらいの凄い人。
マレットが生まれた時点で、母親は亡くなっておりそれから鍛冶だけでなく、家事も覚えることとなった。
あまり人に興味がなく、特定の人間以外には心を開かないが、一度認めた人間にはとことん甘くなる。
レイのことは認めており「マジでうちの息子(結婚)なりゃいいじゃん」とか思っている。
レイが聖剣に選ばれたことによって、とある事実に気づいているのだが・・・。
・マレット=スミス
クロウのような立派な鍛冶師になるべく、学園へ入学した女の子。
人間と大地の民のハーフであり、ちんちくりんな見た目に、子供のような純粋な心は正にロリ。
レイと出会った直後は自分の外見などあまり気にしたことはなかったが、レイに恋心を抱いてからはちょっと気にするようになる。
親譲りの鍛冶の腕と、《怪力無双》というスキルを持ち、小さいながらも前衛で火力役を引き受けている。
武器は片手半剣を使っており、見た目に似合わず豪快な立ち回りをするのが特徴。
作中でも簡単な計算で知恵熱を出すぐらい頭が悪く、3バカの一角を担っていたが、夏休み中にレイから勉強を教えてもらったことによって少し改善したようだ。
一度実習中にモンスターに襲われ、怪我をしてからトラウマを負ってしまい、戦うことができなくなってしまっていたが、土壇場でトラウマを克服した。
・エマ=ブラウン
冒険者を目指す女の子。
どこにでもいる普通の女の子で、外見も普通としか言いようのない見た目をしているが、手先が器用で色んな事をこなせる。
凄まじい地味さで、よく存在を忘れられるというありがちな設定もある。
その器用さを生かして斥候と、弓による遠距離支援が得意で、広い視野とフォローの上手さからパーティーの連携の要となっている。
その分火力は乏しく、一人で活躍するのは難しいと自覚している。
ぶっちゃけ、冒険者よりも暗殺者の方が向いているような気もしなくはないが、マレットを含めたこのメンツで活動するのは楽しいし、自分には冒険者の方が向いているとも分かっている。3バカのツッコミ役兼ブレーキ役を担っており、苦労人枠。
・リム=フローレス
母のような魔法使いを目指す女の子。
無口で無表情と思われがちだが、内面は大分感情豊か。
本をずっと読んでいるが実はあまり分かっておらず、母がずっと本を読んでいてそれがかっこよくてただ真似しているだけだったりする。
だが魔法の才能は一級品で、殆どの魔法を感覚だけで使える。
以外にも雷魔法が得意で、氷魔法や風魔法は適正がない。
その分一点特化でとんでもない火力を叩き出す、アタッカーとして活躍している。
殆どのことを才能でゴリ押す天才ではあるが、実は全然勉強できないクソ馬鹿。
実技の成績だけで特例的に絶望的な筆記の成績を免除してもらって、入学した経歴を持つ3バカの一角。
・ハフト=ターナー
姉のような偉大な騎士になることを夢見る青年。
マレットや二人のクラスメイトを侍らせているため、ハーレムクソ野郎的な目を向かられることがあるが、実は1つ下の幼馴染とずっと恋人関係であり、それをみんな知っていて応援している。
かなりいいとこの生まれであり、「学園での身分差は関係ない」という、建前のようになっている事を守っている唯一とも言っていい貴族。
正義感もかなり強く、他の貴族には疎まれているものの、一般生徒からはかなり信頼されている。
彼に向けられる好意は恋愛感情ではなく大体が仲間意識。
騎士を目指していることもあり、剣が得意で前衛でパーティーのヘイト管理なども行いながら指示を出す司令塔として活躍している。
キザっぽい言動をするが、実はかなり初心で手を繋いだだけでも相当頑張ったと言ってしまうぐらい。
ちょっと空気の読めない人で、良くも悪くもそれに救われることが多々ある。
よくいる「良い人」で困っている人などを見かけると自分のことをほっぽりだして人助けをしてしまうため、結構遅刻や欠席が多く、座学の成績はかなりヤバい。
3バカの一角。
・アン=コレール
非常に短気で自分勝手な冒険者。
その性格の悪さから、いくつものパーティーをクビにされており、その度にアイツは見る目がないなどと自分には非がないように言いふらす。
ただし、実力は確かなものであり、その分たちが悪い。
彼女はシオンに一目惚れしており、それから結構なアプローチを仕掛けているが、シオンは持ち前の鈍感さで気付いていない。
そのせいもあり、シオンを育てようと時に厳しい言葉を投げかけるレイドのことを過度に嫌っていた。
彼女は良くも悪くも一途であり、思い込んだことはそれが真実だと疑わないため、パーティーメンバー全員がレイドのことを嫌っているなど、妄想を爆発させて罵声を投げかけることも厭わない。
非常に自己中心的だが、見た目だけはラノベヒロインのような見た目をしているため、彼女に騙された・心無い言葉を投げられた男は数知らず。
金遣いが非常に荒く、自分の欲しい物のためならば躊躇なく借金する。
冒険者らしいといえばそうだが、彼女の場合その度にパーティーの男に擦り寄って貢がせ、借金の保証人にしてヤバそうになったら逃げると言った詐欺まがいなことをしていたが、本人は何一つ悪びれる事なく、のうのうと生きていた。
だが、その目に余る行動は冒険者ギルドにマークされており、最近ではそういった行動は減っていたものの(シオンに惚れていたのもあるが、何よりレイドが彼女の動きを制限していた)遂に指名手配犯となり、自身も奴隷に身を窶すことになった。
戦闘スタイルは、弓や魔法で後方からの支援と火力役を担っていた。
レイドは彼女のこともどうにかしようとしていたが、彼女にとってそんな事はどうでもいいことであり、それを知った所で彼女の性格は治ることは無いだろう。
彼女の性悪は、天性のものなのだから。
・・・実はこのキャラだけ「僕のイメージするメンヘラ虚言癖地雷女」という明確なモデルがある。
・マーリエ=テネス
唯一、レイドを支えていた幸薄な僧侶。
昔、二度に渡ってレイドに救われており、その時からずっと慕っている。
修道士として優秀な成績を収めながらも、レイドを追いかけるべく冒険者となった。
普段は物静かでおとなしいが、経歴からも分かる通り、自分の信じたことに対しては迷わず実行出来る胆力と勇気を持っている。
パーティーに入った当時、もう仲は悪く、どうしたものかと頭を悩ませていたレイドに寄り添っていたのが彼女である。
彼女の優しさと気遣いでなんとかパーティーの平穏は保たれていたが、アンの思い込みのせいで彼女も知らずのうちに加害者の片棒を担がされている。
だが、レイドは彼女のことは認めており、再出発をすると決めた時彼は一人で行動すると決めていたが、彼女のことだけは知り合いのパーティーに預かってもらえないかと土下座している。
それが、彼が入れ替わってしまう前日の話。
パーティーメンバーすべてを切り捨てる決断をした彼は、いつも以上に酒に溺れ、シオンに全てを打ち明け、別の世界の自分と入れ替わることとなった。
彼女がレイドのことを慕って居たように、彼も彼女のことを少なからず想っていた。その恋は、二人の巻き添えとなる形で、終わることになってしまった。
一章終了時点で、彼女はSランクパーティー「光輝の翼」に引き取られる形で、冒険者業を続けている。
いつか、レイドに頑張っていたんだと胸を張れるように。
・シオン=クエス
ハズレスキルを持っており、それにずっと劣等感を感じて生きてきた。
彼が冒険者として活動し始めたのは、15歳を迎えた頃。
本格的に冒険者という職業に改革が起こる前―――当時はまだ冒険者の規約はゆるゆるで、申請しただけでライセンスを貰うことが出来た。
シオンは子供の時に記念として取得したままのライセンスを使って、冒険者として活動していた。
だが、ただ憧れだけで冒険者になった彼は周りとの差に馴染めず、万年Fランク冒険者として有名な存在だった。
それもその筈だ。
彼は、自分が馴染めていないのは自身の持つ「ハズレスキル」が原因だと思っていたが、実際は彼のどっち着かずの煮え切らない性格と、中途半端に重ねた努力に満足して、自分は何故認められないのかと見当違いな事を考えていたからだった。
彼らとシオンの違いは熱量の差だった。
真面目に冒険者業を営む彼らにとって、具体性のない憧れを抱くだけで、自分から積極的に動こうとしないシオンのような存在はただ邪魔なだけだった。
そんなシオンは、ある時レイドと出会う。
レイドは誰よりも真面目に冒険者に向き合い、活動していたがその分キツくハードな活動に誰も着いていくことが出来ず、浮いてしまっていたレイドによく付いていっていたのがシオンだった。
実際は協会側がレイドとのパーティーを斡旋し、一緒に仕事をしていただけだったが、なし崩し的に彼らはそのまま正式にパーティーとして活動することとなる。
それからアンやマーリエが加わり2年ほど活動してパーティーのランクがAになった頃、彼は増長しレイドは何故自分を認めないのかという被害妄想を抱くようになる。
その頃のレイドはさらなる上を目指し、一層冒険者業に打ち込んでいて、唯一パーティーにそぐわない実力の彼を見捨てること無く、自分たちについて来られるようアドバイスや指導をしていただけだったのだが、それもシオンには伝わること無く、パーティー解散という最悪の形で終わることとなった。
彼がレイドを憑依させるに至ったのは、レイドなんて居なくなってしまえばいいという思いが、制御しきれていない能力が湾曲してそうさせた。
結果的に彼が起こしたその事象は、自分の首を絞めることになるとは思いもしなかっただろうが間違いなく言えるのは、レイをこの世界に呼んだ彼は、世界を救ったということだけだ。
因みに、戦闘スタイルは剣で戦うこと。魔法は適正がなく使えない。
ただし、本人の力量が大したこと無いことや、碌に訓練を積んでおらず力なども人並であることから、戦闘では殆ど何もせず逃げ回ることが多かった。
所持スキルは《置換》。
元々は、触れたモノと同価値の視界内にあるモノを入れ替えるスキルだった。
ただ、人間にすら奴隷として価値がつくこの世界ではこのスキルを使うことは殆ど出来なかったが、覚醒後は触れたモノと任意のモノを入れ替えるスキルとなっていた。
その範囲は別の世界にまで及び、凄まじいチート性能を誇っていただろうことは想像に難くないが、意図的に覚醒されたこのスキルは、たった一度使用されたのみで、もう使われることはなかった。
・レオン=ナイトハルト
Sランクパーティー「光輝の翼」のパーティーリーダー。
レイドのパーティーの内情をある程度は把握していたが、その時はちょうどSランクに昇格したばかりで、多忙な毎日を送っていたレオンはレイドに手を差し伸べてやることが出来なかったことを後悔していたが、追い詰められたレイドが最後に頼ったのはレオンだった。
レイドと同時期に冒険者となった彼は、レイドが心を許せる数少ない友人だった。
・ミンス=ブリーレ
冒険者協会、シピオ支部のギルドマスター。
見た目はメガネを掛けた痩せぎすの如何にも貴族然とした文官。
見た目通り戦闘能力は皆無な貴族だが、その高い事務処理能力を買われ「改革」を気に冒険者協会へスカウトされた。
そして、何を隠そうレイドのスカウトを行ったのも彼である。
当時はギルドの一職員でしか無く、貴族ということで冒険者たちにはあまり良い目で見られていなかったミンスだったが、レイドだけは彼に深く感謝しており、彼に冒険者・・・というか無頼者たちとの渡り合い方を教えたりと、かなり深い校友関係を築いていた。
そのお陰で、今では一端のギルドマスターとしての風格を身に着けており、冒険者たちからの信頼も厚い。
ミンスもレイドのパーティーの内情は知っていたが、レイドの性格をよく知るミンス故に、レイドの助けになってやることは出来なかった。
だが、彼も最後の最後にレイドと、とある約束をした。
それが、レイドとの最後の邂逅になるとは、思いもしなかっただろうが・・・。
現在のレイの現状を知る数少ない人間の一人だが、彼はレイの幸せな日常を見守ることを選択した。
それは「ギルドマスター」としてではなく、レイドの「親友」として彼が選んだ、最後の選択だった。
・フェルニール(お嬢)
聖剣【緋翼煉燐】に宿る聖霊。
素直になれないツンデレお嬢様。
基本的に主人公のことが好きで、ちょっとしたことでも嫉妬してしまい時折、突拍子もない事をしたりするポンコツ。
基本的に剣の中に宿っているが、精霊達から話を聞くなどして外の様子を結構事細かに把握している。
実体化することも出来るが、人にジロジロ見られるのが好きではないため滅多に実体化はしない。
~世界観など~
・精霊
この世界の根幹とも言える「生きている」概念。
精霊たちは小さな個では意思を持たず、大した力を持たないが、集えばとんでもない力を発揮する。
それらの未熟で意志が確立されていない精霊たちを「幼精」と呼んだりもする。
その代表が魔法。
魔力とは、帯域中の妖精を引きつけるフェロモンなようなものであり、そのフェロモンによって精霊へある程度、指向性を持って支持を出すことが出来る。
それによって無から火がでたり、水が出辺りするわけだが、実はそれに人間はほとんど関与していない。
妖精を集め、指示を出しているだけでぶっちゃけ人間はお飾りである。
因みに、魔法適正とは人それぞれに惹きつけられる妖精の種類が異なる為、起こる現象である。
精霊は生きるために、魔素が必要不可欠であり、彼らが人などに寄り添って生きるのは、この魔素を多く生み出す存在が人間などの生き物だからである。
ただ、エーテルは植物などからも放出されているため、森などのほうが多く精霊が生息していることもある。
そして精霊は意思を持つ程に成長すると、個性が出始める。
人に興味を示すもの、本能のままに生きるもの。
それぞれ存在しているが、人に興味を持った精霊はしばしば人の姿を模倣し、迷える人々を導く存在として活躍していたりする一方、魔物と共生した精霊は待機中の魔素から体を成形し、一つの生物として生きるものをモンスターと呼称される。
魔物とモンスターの大きな違いは知性の有無であり、人語を解することだ出来るモンスターもそれほど珍しくはない。
因みに、モノに宿る精霊は割と珍しくない。
芸術品のようなキレイなものや、カッコイイものに惹かれるのは妖精たちも同じ。
精霊が人と契約を交わす時、代価は存在しない。
精霊たちの言う契約とは、「一緒に居てくれる?」という確認に過ぎないが、彼らにとってそれは「一生を共に過ごす」という結構重いものだったりする。
女性の姿を取るお嬢と、レイが契約するということはつまり結婚・・・おや、誰か来たようだ。
・契約
キス。
契約者と聖霊を直接繋ぐパスを構築する儀式。
それによって代償があるということはないが、聖霊の強大な力にただの人が耐えるのは相当な負担が掛かることだろう。
聖霊と一体化をする際は別にキスしなくても、直接手と手が触れ合うぐらいであれば普通に一体化できる。
因みに、聖剣とは契約者の負担を軽減し、使用者のイメージを投影する中継機である。
・【真銘開放】
聖剣によって抑制されている聖霊の力のリミッターを外す行為。
キーワードは聖剣の銘と聖霊の名。
そのため、お嬢の【真銘開放】は《緋翼煉燐 フェルニール》となる。
この【真銘開放】は手軽に強くなれる二段階目の変身というわけではなく、人体に聖霊の力をダイレクトにリンクさせるため、契約での一体化など比ではないほどに多大な負担が掛かることになる。
レイが1週間近くも寝たきりになったのは、この【真銘開放】の反動のせいである。