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ときにデアイは訪れる
ある日、いつものように町で獲った毛皮を売っていると、路地裏の奥に人影が見えた。
あの辺りは薄暗く狭いので人がいることはほとんどないはず…
普段なら見過ごしていただろうが、何故だか気になってしまい、俺は近づいてみることにした。
奥へ進んでみると、男と少女が何やら揉めているような感じだった。
「いいからこっちへこい!!」
「いやっ、はなしてっ…!」
「商売道具の分際で抵抗するな!お客様を待たせているんだぞ!!」
「うっ……」
商売道具という言葉に疑問を残しつつ、俺はその少女に釘付けになってしまった。
「なんで?」「どうして?」頭の中で考えても、答えは出ない、俺はどうしていいか分からず、その場から動くことができなかった。
背中までかかる黒髪、端正な顔立ち、そして時々チラッと見える八重歯……
その少女の容姿は彼女によく似ていた…