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L’autre Monde〈オートルモンド 〉  作者: 天時(あまつしぐ)
Ⅰ 世界を騙る世界
3/3

2,仮面の道化

主人公の性格、ギフつきよりは人間味が増した気がする。

……その時、視界の端に映り込んだものに碧瞳の少年は息を呑んだ。


「っ、あれは……!」


にほんじん。

日本人が着る服装だった。


(……というより、知り合いが通ってる私立学校の制服だけど。)


その場にいるのは3人である。

少年の友人と同じ制服を着る、男が2人と女が1人の3人組。

不安げに会話する様子から、その3人は知り合い同士であることが見て取れる。


「はぁ……。」


少年は嘆息を溢した。

それは同郷である者を見つけたことによる安堵と、人混みのせいですぐにその3人を見失い、そちらの方へ向かうことのできないもどかしさからだった。


(いったいここ、何処なんだよ……!)


またもや、この疑問。

もう何度目になるかも分からない問い。

それが彼を蝕んでやまなかった。


「ほんっと、羨ましいよ……。」


これは、先ほどの3人組に向けて発せられた言葉だ。

そこが知らない場所だろうと、たとえどんな環境に居ようとも、『仲間』と呼ぶことのできる存在が居ることは、初めの方はかなりの心の支えになる。


(……僕にはそれが、居ないから。)


その場所にひとりである彼には、それがたまらなく羨ましかったのだ。

不安や動揺を分かち合い、共に勇気付け合わんとする存在が。

……羨ましくて、仕方がなかった。




その時、バチンと大きな音を立てて、突然照明が落ちた。


「っ……!」


驚いたのはもちろん、碧瞳のイクスだけではない。

場に満ちていた喧騒は、さらに大きなものへと変わった。

だが……。


……“うるさい”。

同じように驚いていたはずの少年の思考は、即座にそういったものに変化していた。

無駄に騒いでも、余計な体力を失うだけなのだから、と。

それは彼が元来持つ冷静さがそうさせたのだった。

突然暗くなるということは、原因が何であれ少年が誘拐犯と仮定した人物から何かしらの接触があるかもしれない。

あるいは、物自体を進展させる何かが。

そう考えた少年は、周りの人間のほとんどがざわめく中、冷静に待った。

ただ待った。辺りを眺めながら、何かが起こるのを待っていた。

もしこれで何も起こらず取り越し苦労に終わったのだとしたら、イクスも周りの人間と同じように混乱の窮地に引きずり込まれていたかもしれない。

だが、そうはならなかった。




場の中央に、勢いよくスポットライトがさしたのだ。

……そう、あの放射状の模様の連なる床の、その中央に。

真っ暗になっていたところに強く射したものだから、一斉に全員の注意を引きつけた。

ざわざわとしたざわめきは止まらなくとも、全員がそちらへ注意をむけたことは容易に分かってしまうぐらいには、空気が変わっていた。


そしてポンッ……と音が立って、黒い煙と共に、空中に男が現れた。

白いシルクハット、白い外套、白いタキシードに白いスーツのズボン、白地に黒の線で装飾を施された質素なマスカレードマスク。

奇術師マジシャンかたどった衣服。

その全てが白くて、何故だか恐ろしい雰囲気を放つ。

仮面の隙間から見える黒い目だけが、それに命が宿っていることを証明している。

それほどまでにその白は、生気の写さない色のように思えた。


(なぜ……?白は、神聖な色のはずなのに……。)


イクスは、静かに戸惑った。

神聖であるはずの()()に、たまらない恐ろしさを感じていたのだ。

しかしながら、それは感情の奥深くで生まれていたものだったため、イクスはそれが恐れだということ自体、自覚していなかった。


(ふわふわする……。心臓が押し潰されてるみたいだ……!)


恐れている理由も、そもそもそれが何だかも分かっていなかったのだから、静かに混乱していたのだった。


その仮面の男が口を開こうと息を吸ったところで、碧瞳の少年は我に返った。

静かに混乱していたのだから、同じように、静かに我に返ったのである。


「ご機嫌麗しゅう、皆様方。」


ねっとりとした青銅ブロンドの声で、白い仮面の男は言った。

するとどうしたことか、途端に場は静まり返ったのである。

それは凄まじく異様な光景であったに違いない。

広い広間を埋め尽くすほどに大勢の人間がいると言うのに、男のただの一声で、誰しもがみな口をつぐんでしまったのだから。


(こんな状況で、“機嫌が麗しい”奴なんて居るのかなぁ……。)


身動みじろぎの布擦れの音しか聞こえないほどの静寂に包まれてしまったその場の中で、碧瞳の少年は呑気に考えていた。

“突然の誘拐”に次ぎ現れたのは“可笑しな格好をした男”という意味のわからない状況で、機嫌を良い状態に保っていられる者などいない、と考えたのだ。


……彼自身、いくら冷静につとめていようとも、決して機嫌が良いわけではない。

冷静になることを忘れてしまったら、すぐにでも、喚き騒ぎ立てていた連中の仲間入りをしていたことだろう。



「まぁいきなりこのような所に連れてこられて、麗しいはずもございませんか。」


ちょうどイクスが考えていたことを、その男は言う。

仮面の下で、僅かに口角が上がったように見えた。

そしてふふふ、と不気味な笑い声を洩らしながら、なおも言葉を続けた。


「皆様無理矢理にでは御座いますが、この場所にお越しくださり、誠に有り難う御座います。

この暑さの中わざわざの御労足、我々一同、感謝の限りで御座います。」


(“一同”って……。複数人いるのか……!)


わたくしは白の奇術師、ハンスヴルストと申します。

以後、お見知り置きくださいませ。


さて、此度こたび皆様方を此方こちらにお呼びしたのは他でもありません。

あなた様がたには、わたくしどもの主催するゲームに参加していただきたいのです。」


白い仮面の男……ハンスヴルストの言葉に、イクスは思わず固まった。


(は……?意味がわからない……。

いきなり何を言い出すんだよこいつ……!

自分が誘拐犯だって言うことをあっさり暴露した挙句、ゲームに参加しろ……?

なんなんだこいつ!意味不明すぎる……!)


動きを止めた体の代わりであるかのように、思考の混乱はむしろ大きくなる。

周りの人間も似たようなもので、一瞬布擦れの音も聞こえなくなるほど静かになったかと思えば、一度ハンスヴルストの言葉で鎮まっていた喧騒が、野次を孕んで、より一層大きくなった状態で場を包んだ。

様々な国の人間がその場に集まっているせいで、多種多様の言語が入り混じって混沌とした状態になっている。

全く聞き取ることができず、もはや何が何だかわからない状態。


(……まぁ外国語なんてかじった程度だったし、どのみち何言ってるかなんて殆ど分かんないけどさ。)


そこまで考えた時、少年は何か一つ違和感を感じた。


「あれ……?」


それに影響されてポツリと呟いたのだが、その違和感が何だかは分からない。

まるで身体の中に流れている血が空っぽであったかのような違和感。

傷を負わなければそれが『おかしい』と気付くことができないのと同じように、その違和感が何であるかまでは、イクスは感知していなかった。



「静粛に。」


パンパン、と手を二回叩く音と同時に、ハンスヴルストの声が聞こえた。

決して声を張り上げているわけではない。

ましてや、叫んでいるわけでもない。

ただ言葉を発しただけなのに、その声は場の全員に届いた。

辺りが再び、一瞬にして静まり返ったのだ。

仮面の男の口角が上がったように見えるのは、その結果に満足をしたからだろうか。

顔の上半分がその不気味な仮面で覆い隠されてしまっているため、表情を読むことができない。

大衆が固唾を飲んで、ハンスヴルストの言葉を待った。


「まずわたくしに、ゲームの内容をお話しさせて下さい。

先ず皆様方には、〈オートルモンド 〉へ行って頂きたいのです。」


オートルモンド ……それは、フランス語で別の世界……つまり、『別世界』という意味だ。

「オートルモンド へ行く」ということは、直訳すれば、俗に言う異世界転移をする、ということになってしまう。

つまりは、こことは違う世界に連れて行かれるということ。


(嘘くさ……。)


イクスは、半信半疑どころか、僅かなりとも信じていなかった。

……いや、ほんの僅かにならば、“正しいのかも”と()()()()()部分もあっただろう。

なんせこのような法外な集団拉致を行える者たちなのだ。

それなりの大きな集団であり、なおかつかなりの権力を持っているといことが窺える。

それならば、例え本当の異なる世界ではなくとも、異世界と呼べてしまう所……例えば太陽系上の別の惑星だとか、地下に作ったもう一つの世界だとか。

そんなものを作り出していたっておかしいことはないだろう。

だから異世界と呼ばれるような所に連れて行かれる、と言うことぐらいならば、普通にあり得てしまうのかもしれない。


ハンスヴルストはふふふと笑った。


「ゲームと言えども、そのルール自体は、して難しいものではございません。

そのオートルモンドで、所謂いわゆるRPGのような課題を達成して、わたくしどもが提示する目的地に到着していただければいいのです。


……皆様の命の保証は、致すことができませんが。」


“難しいものではい”と言う最初の台詞で、その場にいた者の殆どが安堵していた。

がしかし、ハンスヴルストの最後のたった一言で、その場は騒然さを取り戻すことになるのである。

当のイクスも、その中の一人だった。


(RPGってドラ〇エみたいなやつだろ?

『おお〇〇よ、死んでしまうとは何事じゃ!』の台詞が存在しないド〇クエなんか、死にに逝けっつってるよーなもんじゃん!)


そもそもあらゆる冒険系のゲーム自体が、何度も死んでやり直すことを規定として設計された世界だ。

一度死んで終わりなのなら、それはもうすでにゲームとは呼べないのではないだろうか。

イクスはまたも思考だけ大騒ぎしながら、身体の行動をフリーズさせた。


もちろん周りにいる人間も同じような心境だったようで、「ふざけるなよ!」だとか「そんな事より早く解放して!」だとか、色々な文句が聞こえる。

そんな中、ひとつ異色の声が上がった。


「ハッ!RPG系統のゲームなら得意分野だ!そんなもの楽勝でクリアしてやるぜ!」


叫んだのは、イクスの隣にいる少年。

その台詞からも言い方からも、かなり短絡的な性格であることが見て取れる。

“一度でも死ねば命は無い”ゲームで『楽勝(容易な勝利)』を豪語する()()は、もはや尊敬に値するだろう。


(あれ……?)


先ほど感じていた()()違和感を、イクスはもう一度感じ取った。

正体もわからず、ただ、『何かがおかしい』と。


(っとに、なんなんだよこれ……!)


意味が分からないものは嫌いだった。

一体全体、何に違和感を感じていると言うのだろう。

彼の真横の少年はただ、英語で自分の得意分野を曝け出していただけなのだ。


「っ、そうか……!」


一拍置いて、碧瞳の少年は思い至った。

そう、真横の彼は、()()()、自分の強みを晒したのだ。

つまりは、英語圏の人間だという事。

イクスがこの言葉を理解することができたのは、外国語をかじっていたからである。

ハンスヴルストは日本語で話していたのに──少なくともイクスにはそう聞こえている──、彼はそれを理解していたのだ。

無論、彼が日本語も使えたと言うのならなんら問題はない。

しかしハンスヴルストの言葉は、この場にいる全員が理解しているように思えた。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()、だ。

普通に考えるならば、こんなにも大勢の年端もいかぬ子供たち全員が全員とも、日本語を理解しているなんてあり得る事ではない。

()()()()()()()ではない。

イクスが英語を理解することができたのは、単にその並外れた記憶力のおかげなのだから。


ということは、だ。

つまるところ、ハンスヴルストの言葉は『自国の言語』に変換されて聞こえてきている、と考えるのがしっくりくる。

これも普通ならばあり得た話でない……が、少なくとも今の状況に説明をつけることはできるだろう。

それに、たくさんの子供が異常な知識を身につけているという仮説に比べれば、──くどいようだが──法外な集団拉致を行える連中が異常な力を持っていた、という方がまだ信憑性があるというものだ。


(あぁくそっ、どいつもこいつもイレギュラーばっかで頭がパンクしそうだよもう……。)


イクスが静かに混乱することを辞めるのは、もはや無理な相談だっただろう。

その過度な混乱と、詰め込みすぎたいレギュラーの所為であるのかは定かではないが、猛烈な頭痛と睡魔がイクスを襲う。

……いや、襲うなんて生易しいものではない。

他の全ての意識と思考を押し除け、彼に押し寄せた。


(今ここで倒れるとか、絶対ダメだろうがッ……!)


抗わなくてはいけない。

そう理解していても、その考えすら意識の隅へ、意識ごと追いやられる。

意に反してどんどん強くなる睡魔は、もはやその『意』にすらも打ち勝とうとしていた。



「あぁ、それと──────」


白い仮面の男は何かを言おうとしていた。

だがしかし、その言葉はすでに、イクスには届いていなかった。

もはや何を言っているのかもわからない程に、意識が混濁していたのだ。


どう足掻こうにも抗えないほどに強い頭痛と睡魔に……。


(……あぁ。頭が痛い……。)


彼は、抵抗することを諦めていた。

その意識を、手放さざるを得なかったのだった。

10197/100000

本気で書くと三話で一万文字超えるんやね……。




原文

↓↓↓

……その時、視界の端に映り込んだものに息を呑んだ。


「っ、あれは……!」


日本人の、服装。

と言うより、日本に居た知り合いが通ってる学校の制服。

全部で三人で、知り合い同士みたいだ。

同郷の者を見つけたことへの安堵と、人混みでそっちに行けないことへのもどかしさからため息がひとつ零れる。


「はぁ……。」


 一体此処は何処なんだろう。

先程向こうに居た三人組が羨ましい。

例えどんな環境に居ようとも、『仲間』と思える存在が居れば初めの方はかなりの心の支えになる。

……僕にはそれが居ないから。



その時、バチッと音を立てて突然照明が消えた。

喧騒がいっそう大きくなる。

うるさいなぁ。

僕はそう思った。

騒いでも余計な体力を使うだけなのに。

突然暗くなると言うことは、これからこの事態を進展させる何かが起こる可能性が高い。

僕は静かに辺りを眺める。

パッ…と、そんな効果音でも聞こえてきそうな雰囲気で、場の中央辺りをスポットライトが照らした。

その中心に、ポンッと音を立てて、黒いシルクハットと外套を身にまとった男が煙とともに現れる。

恐らくだが、奇術師(マジシャン)をイメージしたのだろう。


「ご機嫌麗しゅう、皆様方」


奇術師の男が言った。

……全然麗しくないんだけど。


「まあ、こんな所にいきなり連れてこられて、麗しいわけもございませんか。」


ふふふ、と不気味な笑い声を洩らしながら奇術師は続ける。


「無理矢理にでは御座いますが、皆様よくお越しくださいました。

私はハンスヴルスト。

以後、お見知り置きを。

 さて、此度皆様方を此処にお呼びしたのは他でもありません。

皆様方には、私の主催するゲームに参加して頂きたいのです。」


…………は。

思わず固まった。

いきなり何を言っているんだろう。

勿論ほかの人たちも同じことを思ったようで、一度収まった喧騒が野次を含んで、より一層大きくなる。

多種多様の言語が入り交じって最早何がなんなのか分からない状態だ。

まぁ、外国語なんてかじった程度だからどのみち何言ってるかなんてほとんど分かんないだろうけど。


「……あれ?」


ぽつりと呟く。

何か違和感のようなものを感じたのだが、それが何なのかは分からない。


「静粛に。」


奇術師は二回手を叩くと言った。

決して叫んでいる訳では無いのに彼の言葉は全員の耳に聞こえたらしく、辺りは静まり返った。

奇術師は満足したように口角をあげるが、顔の上半分が不気味な仮面で隠されているせいで、表情が全く読めない。


「これからゲームの内容をお話します。

まず皆様方には、オートルモンドへ行って頂きます。」


フランス語で〝別世界〟という意味の、オートルモンド。

つまり此処とは違う世界に連れていかれるって訳か。


(どう考えても嘘でしょ)


 ……と、言いたいところだけども。

こんな法外な集団拉致を行っている時点で、ハンスヴルストはかなりの権力者だという事になる。

って事は、地球以外の星に連れていかれる、なんて事ぐらいは有り得るのかもしれないな。

そう思いつつハンスヴルストの次の言葉を待った。


「ゲームと言えど、ルール自体はそう難しいものではありません。

これから皆様に行って頂く場所で、いわゆるRPGのような課題(クエスト)を達成して、目的に着いて頂ければいいのです。」


簡単。その言葉に、場にいる人間のほとんどが安堵しただろう。

しかし、ハンスヴルストが次に発した言葉に、会場は騒然さを取り戻した。


「しかし、命の保証は致すことができません。

皆さんには、生身でゲームをプレイしてもらいます。」


………………は。何を言っているんだこいつは。

思わずまたフリーズしてしまった。


(命の保証をしないRPGなんてただの死にゲーだろう!)


もちろん周りの奴らも同じ反応だったようで、『ふざけんなよ!』だったり、『そんな事はいいから早く帰して!』だったり、色んな文句が聞こえる。

そんな中、ひとつ異色の声が上がった。


「ハッ!RPGなら得意分野だ!らくしょーでクリアしてやるぜ!」


叫んだのは僕の隣にいる男。

かなり短絡的みたいだ。


 (…………あれ?)


またもやあの違和感。

本当になんなんだろう。


一体何に違和感を感じたと言うのだ。

ただただ彼は、自分の得意分野を英語で晒していただけ……


「……!そうか!」


一拍置いて違和感の正体にたどり着いた。

彼は今、〝()()()()()()()()〟のだ。

つまり、英語圏の人間だということ。

なのに、ハンスヴルストは日本語で話していた。

……少なくとも、僕には日本語に聴こえていた。


 別に、叫んだ彼が日本語も使えたと考えるのなら話は簡単だろう。

しかし、ハンスヴルストの言葉は、この場所の全員が理解しているように見えた。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()、だ。

普通、五百人を超える数の年端もいかぬ子供が全員外国語を理解しているなんて、ありえない。


 つまるところ、ハンスヴルストの言葉は『自国の言語』に変換されて聴こえている、と考えるのがしっくりくる。

これも普通はありえない話だけど、少なくとも今の状況に説明はつく。


 ……あぁ、どれもこれもイレギュラーで、頭がパンクしそうだ。

そのせいだろうか、猛烈な頭痛と睡魔が押し寄せてくる。

 抗わなくては。

そう分かっているのに、意に反して睡魔はどんどん強くなる。


「あぁ、それと────────」


ハンスヴルストが何かを言っていたが、もはや何を言っているのか分からない程に意識が混濁してくる。

どう足掻こうとも抗えないほどに強い頭痛と睡魔に……


僕は意識を手放した。

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