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第六話 恥ずかしいんだもん

「お姉ちゃんも、はやくはやくー」

「「手伝ってあげる!せーのぉ」」

「ひゃぅ…」


 マリとリアからワンピースを剥ぎ取られたサキは小さな悲鳴をあげて、しゃがみ込む。


(はぅ…は、恥ずかしいよぉ…)


「「あー、胸当て付けいるー!」」


 アバターはCカップで作成したため、下着を着けないと戦闘時にじゃまになる。

 ゲームだと現実にそっくりなため、戦闘で不利になる巨乳ユーザは少なかった。 


「もぅ!はやくはやく!」


 胸当てに興味があるマリとリアに対して、カミアはピョンピョン跳ねながら催促している。

 服を脱ぎおえたゲルトとレオンがタタタッと、入浴場へ駆けていったことを見送ってから下着を脱いだ。


「わたし…男の子と一緒にお風呂を入るのが恥ずかしくて…」

「ふーん?」

「むね、でるとはずかしい?」「むね、でたらはずかしい?」


 サキが恥ずかしがる理由を理解できない。まだ、孤児院の子供たちは、貞操の観念がないのだ。


「男の子にね、裸を見られると、恥ずかしいの…」


 わたしはそう言って、ストレージからタオルと一緒に入浴セットを取りだして、タオルで前を隠しながら入浴場に入る。


 入浴場に入れば、ゲルトとレオンは洗いおえて湯船に浸かっていた。


 洗い場に着くなり無防備な裸体を隠すため、ボディソープで全身を洗いアワアワを装備する。

 女の子たちがアワアワに興味をもったので、わたしがカミアの体を洗ってあげて、双子は仲良くお互いを洗いっこしていたら、後ろから見られている気配が…


 ギギギ…と、後ろを振り向けばアワアワになった、わたしたちに興味をもった、ゲルトとレオンに見られていた。


「なんだ、これー!泡がすごぉー」

「この泡、いい匂いがするぞ?」


 ゲルトは泡を興味深く見つめているし、レオンは近くによって匂いを嗅いでる。


(み…見られてる…男の人に見られてるよぉ…)


 緊張してプルプルしていると、カミアから無慈悲な攻撃を受ける。

 カミアの攻撃「流して、あげるねー」と、お湯をザバー。サキのアワアワの鎧は強制解除された。


 サキは裸体を隠すために湯船にバシャーンと音を立てて飛び込む。

 カミアはキョトンとして、双子は「「髪の洗いっこが、まだだよー」」と、言っているが…


「だ、だって…恥ずかしいんだもん…」


 サキは、湯船から赤くなった顔だけ出して述べる。

 周囲を見渡せば興味対象の泡がなくなった、ゲルトとレオンは、すでに浴場から出ていた。


 男の子が居なければ恥ずかしくないので、洗い場に向かい、サキのリンスインシャンプーで頭を洗いっこしてから、湯船に浸かるが…


「むー、ぬるいよー…」

「わたしが、服脱ぐのに時間が掛かったからだよね…『ヒート』」


 カミアのご不満顔を見たわたしは、生活魔法で湯温を40度になるよう意識して発すれば、『ヒート』は、発現されて湯温を40度まで上げる。


 『Another world online』には、生活魔法が用意されていた。

 【生活魔法】名前通り、生活に役立つ魔法である。思い描くのではなく意識して、特定の『ワード』を発することで発現する。別途、【職人魔法】も存在する。

 生活魔法は、店売りのスクロールを読むことで使えるようになり、職人魔法は昇格試験に受かった時にスクロールが得られた。


「「「えっ!?」」」

「え?」


 生活魔法に目をキョトンとさせる女の子たち。

 わたしは、普通に思い描くだけで魔法が使えたから生活魔法も普通に使えると思ったし、使えたから驚く理由がわからない。


「「「サキお姉さんって、魔法使い!?」」」

「えっ?魔法も使えるけど、わたしはメイン魔剣士だよ?」


 魔法は便利だが、レベルの高いユーザや魔物には、魔法抵抗値によってダメージ減少する。そのため、高レベルユーザは武器へ、振動、衝撃、などの物理ダメージを上げる魔法を付与していた。


「魔剣士?」

「魔法使える人は、少ないよ?」「サキお姉さんは、魔剣を、持ってる?」

「えっ、魔法使いって少ないの?」

「「「すくないよ!!」」」


 話を聞けば、この国では、魔法が使える人は少なくて、魔法使いは、貴族や国に高待遇で召抱えられるらしい。わたしの(ゲーム)では、皆が魔法を使えたことを教えて、魔剣士についても説明しておいた。話を聞きながらコクコクとする様子は可愛らしかった。


 魔法について話していたらカミアが、のぼせたので湯船から上がり生活魔法の『ドライ』で、体と髪を乾かしてあげたら、先ほど説明したのに驚かれた。


「もう、乾いちゃった!?」

「「わたし達も使えるようになる!?」」

「カミアもカミアも使える?」


 マリとリアは、サキの両腕を掴み互いに引っ張りながら熱心に質問し、カミアはおねだりするような仕草で、首を傾げながら上目遣いで見てくる。


「んー。生活魔法はね、専用の巻物を読むことで使えるようになるから、この国でも売っていれば使えるようになるかも?」

「「「……」」」


 ゲーム内だと生活魔法はどの街でも売ってたけど、黙り込むってことは売ってないのかな。


「えーと…売ってない?」

「「「……うん…」」」


 どうやら、生活魔法のスクロールは売ってないみたいね。

 ギルド長である、ダングルフなら魔法について知ってそうだし、暇になったら聞きに行ってみよう。


 少なくても魔法を使える人はいるらしいし、生活魔法じゃなくても魔法は使えるかも?と、しょんぼりしてる女の子たちを慰めながら、食堂に戻ると食事の用意がされていて、着席すると食事前に捧げる祈りの言葉が流れてきた。


「天上におられる神のいつくしみに、御心に感謝と祈りを捧げ、この食事を頂きます」


 祈り終えると食事が始まる。


 夕飯は、麦粥、ライ麦パン、ジャガイモ入りの塩スープと噛みごたえや食べごたえがあり、腹持ちがいい内容だった。

 麦粥は普通だったが、ライ麦パンは、酵母やサワードウも使われてないほど硬く、スープに浸さないと食べられないほどで、ジャガイモだけのスープは味が薄く、お世辞にも美味しいとは言えなかった。


(んー。酵母はどうにかなるとして…、スープに旨みを出すために野菜が必要よね…)


 食事を終えて部屋に戻ったサキは布団の中で、ゴロゴロしながら考えていた。

 食事は大事だと。

 人は、美味しいものを食べるだけで幸せな気分になる。


 わたしの、ストレージには食材は沢山あるけど、提供するだけではダメよね。

 仮に提供して、美味しい物を食べて幸せになれたとしても…、わたしが街から出て行ったらどうするの?急に今までの食事に戻れる?不満が出ちゃうよね…子供は素直で言葉に出さなくても顔に出ちゃうかかもしれない。



 うーん、考えていてもしょうがないよね。畑を見てから種や苗を提供して、その範囲内を提供しようそうしよう。調味料は作るか作物を売ったお金で買えば良いよね。

読んでいただきありがとうございます。

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