第三十九話 教会騎士団が到着したけど
その後数日間、サキは自分の代わりにダンジョン攻略できるように、二クラス、スヴェン、クラウスの戦闘訓練に付き合った。
サキが作製した武器を装備したことで攻撃力には問題は無かったが、防御力はダメダメだった。このままだとダンジョン攻略半ばで倒されるのではないかと思い、サキは魔糸製の肌着に刺繍で『自動回復』の魔法付与した物を渡したのだ。見た目は、長袖のTシャツにステテコだけどね。
戦闘訓練を終える頃、セラト街に、ベリエ王国から派遣された教会騎士団30名が到着した。教会騎士団は翌日からダンジョン攻略を開始する。それに対して、冒険者たちはダンジョン攻略しなかった。霊体への攻撃手段がないからだ。
一方、霊体への攻撃手段を持っている、二クラス、スヴェン、クラウスもダンジョン攻略せずに、サキの農地で手伝いしていた。
「俺たちも教会騎士団と協力して、ダンジョン攻略した方が良くないですか」
二クラスが雑草を抜きながら、わたしに質問してきた。
「指名依頼を受けるまでは不要ですよ。だって、派遣された教会騎士団は冒険者ギルドから多額の依頼金を受け取っているのですから。それに、先鋒を任され、何かと理由を付けて武器を接収されるかもしれません」
「……。指名依頼が来ても断るようにします」
わたしは「その方が良いですね」と返事して、雑草取りを再開する。
昼近くになってマリ、リアが、わたしを呼びに来た。
「サキお姉さん。そろそろお昼だよー」
「はやく食べないと、お店に遅れちゃうよ」
「はーい。支度するから、皆を呼んできて」
わたしは井戸水で手洗いして、ストレージからテーブル、椅子、携帯ピザ窯、ピザを取り出す。ここ最近、昼食は短時間で調理できるピザ食べている。
携帯ピザ窯は魔道具製で、ピザ焼きに最適な炉温を実現するから、2分くらいで美味しいピザが焼き上がる。
焼き上がったピザをテーブルの上で人数分に切り分けたら、ストレージからフレンチフライやサラダを取り出していく。
フレンチフライは調理時に大量に作り。そして、サラダも朝食時に多めに調理して昼食で食べられるようにしているのである。
昼食の準備が終わる頃、全員集まって着席している。その中には、二クラス、スヴェン、クラウスもいる。手伝い初日の昼食で「俺たちにも食べさせてくれ」と懇願されてから、毎日食べるようになったのだ。
「天上におられる神のいつくしみに、御心に感謝と祈りを捧げ、この食事を頂きます」
二クラス、スヴェン、クラウスも食事の祈りを捧げる。サキが昼食を食べさせる条件にしたからだ。
「うめーなぁー」
「あぁ。もうさ、農家になるかな」
「何言ってんだ。サキさんが装備を整えたくれたのに」
二クラスに賛同したスヴェンが農家になりたいと言い出せば、クラウスは止めにかかる。
「美味しいものが食べられるし、お勧めですよ」
「何を言ってるんですか!」
クラウスから睨まれたけど、そう思うのだからしょうがない。実際に色々な事が出来るゲームでたどり着いたわたしの終着点なのだから。
「このサラダも旨いぜ!」
二クラスは、わたしがクラウスに睨まれてる中、シーザーサラダを食べていた。それは、燻製を覚えたゲルトとレオンが作ったベーコンを使って、マリとリアが作ったサラダだ。子供たちの料理の腕も上がり、わたしも満足できる味なのだ。
わたしはクラウスの視線から逃げるように二クラスへ話しかける。
「そのサラダは、孤児院の子供たちで作ったのですよ」
「そりゃ凄いな! 街にある食事処でもこんなに旨い飯は出てこないぜ」
クラウスが褒めれば、子供たちは照れたような笑顔を見せる。また、料理を食べていたクラウスの顔も至福な笑顔になっていた。美味しい料理の力は凄い。
昼食を食べ終えた後、子供たちはアルテミスの食事処へ向かい、わたしとニクラス、スヴェン、クラウスで引き続き農地の雑草取りをする。
所有する農地全てを使って作物を育てているため、雑草取りだけでも重労働なのだ。
黙々と雑草をぬきぬきしていれば、あっという間に時間が過ぎて日は傾いて来ていた。
本日の作業終了を告げて、孤児院へ帰宅しようとしたタイミングで、わたしを呼ぶような声が聞こえた。
声がした方向を見れば、ダングルフが走りながらこちらへ向かってきている。その様子を見て、わたしもダングルフの方へ向かって歩き出した。
「ここまで来るなんて、どうしたのですか? まさか!?」
脳裏に教会騎士団が出店か孤児院に、ちょっかいを出してきたのではないかと浮かんだ。しかし、ダングルフの言葉で違うと知る。
「教会騎士団が全滅したのじゃ!!」
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