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Blood Tale  作者: 黒兎pon!!
第1幕 紅の勇者と美しい世界編
33/41

竜騎士 Ⅱ

皆さま、今回もこの場所を訪れて頂きありがとうございます。


さて、今回は前回の続きという事でフランゼルド戦を書いて行きました。

この話で決着は付きますが、その後の事もあり1話にすると長くなるので後半を途中で分けてあります、なので少しいつもよりも短めになっていますが直ぐに次を投稿できるようにしますのでよろしくお願いします。


それでは、今回もよろしくお願いします。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです!

フランゼルド隊長の竜炎を纏った大槍から砲撃によって真紅の炎を放つ奥義〈ドラッケンルージュ〉が大地の生を奪いながら私に襲いかかります。

既の所で炎の餌食にならずに駆け抜けると魔剣を素早く振り抜いて2連撃〈ツイストレヴ〉を繰り出して大槍を構える前にフランゼルド隊長の鎧に傷を残し、更に次の攻撃へと繋げました、連携して出したのは素早い連続突きで四肢の自由を奪い、体重を乗せた踏み込みと同時に止めの突きで敵を穿つ剣技〈サウザンドスティンガー〉です。


「俺の手を此処まで早く理解して利用するとはな…」


先程のフランゼルド隊長の使った手を私が使うと予想はしていたようですが、対応はできないようです。

四肢のあちこちに傷跡を残してついには血を散らしたフランゼルド隊長は一瞬だけ全身から力が抜けて行きました、私はその瞬間を狙って止めの突きを繰り出します。


「……っ!」


掛け声を上げるよりも早く鋭く全身の力を貫く一撃に懸けて突きを繰り出した私はフランゼルド隊長の脇腹を抉った魔剣から飛び散るまだほのかに温かい血を頰に受けて初めて攻撃が届いた事を理解しました。


「……これで……っ!?」


これだけの大きな傷を負って立っているはずなんてないと思った私は突きと同時にすれ違ったフランゼルド隊長の方を振り向いて最後の追撃を加えようとその姿を見て驚きました。


「どうした…まさか勝ったとでも思ったか?」


平然と立つフランゼルド隊長の姿に不死という言葉が浮かびましたが、私のつけたはずの傷を見て彼が何をしたか理解するのは簡単でした。


「……傷口を自分の魔法で焼いたのですか…こんな一瞬でそこまでの判断をして…」


フランゼルド隊長は止血のために自らの身を焼いて傷を塞いでいたのです、それを簡単に成し遂げる精神力は並大抵のものではありません。

フランゼルド隊長が最強と呼ばれるのは判断力、行動力、戦闘能力の全てにおいて完璧だからなのだと嫌でも理解させられます。


「この程度の事なら下級兵士でもできる…もっとも兵器には必要ないか」


私に対する嫌がらせを口にすると再び大槍を構える不死身の男に私も負けじと魔剣を向けて次なる攻撃にでます。

空気を切るような速さで突撃した私の目の前に迫った大槍の先端を避けてフランゼルド隊長の懐に入り込んで魔剣を振る…しかし今度はフランゼルド隊長は後ろに飛び退くと同時に大槍をふるって私を空中に跳ねあげました。


「…ぐうっ」


魔剣を持つ右腕に直撃した大槍は回避できなかったためへし折れたと思うくらいの痛みが私を襲っていました。

そして吹き飛ばされた私を穿とうと突き出された大槍が私の戦闘ドレスの腰布を貫くと私を引っ張るようにして地面へと叩きつけました。

身体強化を最大限に発揮して両腕で跳ねて大槍から逃れて着地すると痺れる両腕が癒えるのを待つこともなく魔剣を握りしめて私の持つ魔力を魔剣へと集中させました。


「……とあっ!」


掛け声と共に炎を散らして跳ねるように駆け出した私は防御を捨てた得意の構えで突撃してフランゼルド隊長の大槍の動きを見極めます。

砲塔から炎が漏れている、これは砲撃を放つ合図です。


「……砕けよ」


違う、これはただの砲撃なんかではないと気がつくのが少しだけ遅かったようです。

砲塔の目の前に魔法陣が並び、発射された弾丸は紅蓮の熱線となって大地を、空間を焼き払いながら私を飲み込みました。


「…がっ…あぁぁっ!!」


喉が焼けるような空気の中を突き進む私の全身がジリジリと焼かれて行く…ソウルガーメントで作り出した魔力の服でなければ今頃私は灰になっていたでしょう。

なんとか全身の軽い火傷で済みましたが、もう立つ事は出来ませんでした。


「終わりかアリス?」


フランゼルド隊長の赤熱した大槍が倒れ込んだ私に向けられていますが、逃げる力ももうありません。


「……ま…だ……私は…」


焼けた草を握りしめて砂を噛んで動くはずのない身体を無理矢理に動かしても立つまでには至りません。


「お前は強い、だがもう終わりだ…眠れアリス」




赤熱した大槍は真紅に染まった。


天に捧げるように翳された大槍には真っ赤な服と長い金髪の少女が貫かれていた。


壊れた籠手に落ちる真紅の血液を竜騎士は拭うこともなく大槍から少女を抜いて黒い大地に横たえる。


「……メリア…悪いが迎えに来てやってくれ」


兜を外して長い髪を風になびかせるフランゼルドは静かに祈るようにそう唱えて鎧の中に隠していた写真を取り出した。

その写真は彼が最も信頼している仲間たちと撮った思い出の一枚だ。



「……たぁぁぁっ!」



瞳を閉じて祈りを捧げていた彼はその耳に届いた声に驚くことしか出来なかった。


アリスの声だった。


即座に大槍を握りしめて振り返ったが、その姿は見当たらない、フランゼルドは大槍を構えるがもう遅すぎた。


グシャァ…


突如襲った激痛で状況は理解できた。

自分は切られたのだ、しかも致命的な一撃を受けたのだと…



† † †


奇跡があるとするならば、絶望的な状況を覆すだけの力が欲しい…そんな願いはもうありません。


この奇跡を逃すわけにはいかない。


火傷を覚悟で私に魔法が届くところまで来てくれた明さんの想いを乗せて私は再び立ち上がった。

不意打ちでも何でも私が生き残るにはこれしかないのです。


「……たぁぁぁっ!」


たった一度巡ってきたチャンスに全身全霊をかけました。

全ての魔力を使って全身を極限まで強化して飛びあがって魔剣を両手で握って振り上げました。


フランゼルド隊長は私の声に気がついてすぐに戦闘体勢を整えましたが、私の一撃を防ぐ事は出来ませんでした。

左肩から胴体に向けて全身を縦回転させると同時に振り抜かれた魔剣は見事にフランゼルド隊長の左肩の付け根から胸近くまでを引き裂いた。


鮮血の飛沫を上げて崩れ落ちたフランゼルド隊長を見て、私は初めて成功したと知りました。


「…まさか、お前にこれだけの力が」


膝をついて兜を落として仰向けに転がったフランゼルド隊長は大槍を手放すと嬉しそうにそう言って天に右腕を伸ばしました。


「アリス……よくやった」


その言葉はとても慈愛に満ちたものでした。


「……隊長?」


私は驚いてフランゼルド隊長の元へと近づくと彼の顔を覗き込むように見つめました。


「……お前は立派だ…自分の意思で、自分の力で己が恐怖を乗り越えたのだ…」


私は取り返しのつかない事をしてしまったと感じました。

ずっと悪魔だと思っていたフランゼルド隊長がもし私を強くするために態と厳しく当たっていたのなら…そう思うと私は居ても立っても居られなくなりました。


「……隊長…まさか私のために…」


正直な言葉を正直に並べてフランゼルド隊長の言葉を引き出してみることにしました。


「…無駄な所で察しがいいのも…メリアとよく似ているな」


フランゼルド隊長の言葉でようやく私は推測が正しかったと理解しました。

だから私は彼に尋ねました。


「……私を追い出したのも私を守るためですか?」


騎士団を追い出して私を旅に導いたのも、もしかすると私を必要としなくなった帝国から私を守るためなのかもしれないと思ったのです。

するとフランゼルド隊長は迷う事なく答えてくれました。


「……お前を廃棄するとの話があってな…そうさせないためにも帝都から逃がさなければならなかったが、お前に素直に言うわけにはいかなかったからな…」


私を追い出したのではなく、私を逃がしてくれたのだったと知った時、私は自然と叫んでいました。


「……どうして! どうしてあんなやり方しかなかったのですか!?」


心の叫びだった。

彼のせいで兵器と成り果て、多くの人間を手にかけてしまった。

闇を背負わされて、咎を背負わされてそれでもなお生きなければならなくなった。

私は彼が憎かった…それなのに今更、優しさを覗かされても困ってしまうと言うのが今の本音でした。



「……時間がなかったからだ…今から全てを話す……しっかりと聞け…」



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