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第4話 歓迎会。俺だけ知らなかった。

連載を開始したばかりですが、ロケットスタートで4話まで来ました。

5話以降は1、2週に1話くらいのペースで更新していきたいと考えています。

プロットができていない作品なので、どこまで書けるかわからないのですが、

高校生の純情をなんとか描いていきたいと思います。


追記。

次のお話は11月14日の土曜日か15日の日曜日にアップする予定です。



見知らぬ少女を囲んで、夕食が始まろうとした。


俊樹と「トモちゃん」と呼ばれた美少女以外は、今年20歳になった姉を含めて成人だったので、

スパークリングワインをグラスに注ぎ、

未成年のふたりはジンジャーエールを手に持ち、乾杯が始まった。


俊樹は、

「あ、あの、よくわからないよ。友也はどうなったんだ?

それから、俺、この子のことが記憶にないっ。」と

「トモちゃん」と呼ばれている少女を見ながら、疑問を口にした。


少女は照れた態度で、笑みを返すだけだった


姉のみずほが

「おとうさん、おかあさん、それからトモちゃん、もういいでしょ。種明かしをしましょ。」


「そうね、そろそろね。俊樹も戸惑っているみたいだから。

じゃ、おとうさんから説明して。

トモちゃん、いいでしょ?」


「はいっ、おまかせしますっ。」


「じゃあっ、説明するか。」


張り切る父親だった。


「俊樹。このトモちゃんの顔を見て、何か気がつかないか?」


「えっ。わからないよ。

・・・・・・・・そういえば、友也に似ているような。」


「当たりだ。

実はだな、友也君は高校生になる前に、性転換手術を受けて、女性になったんだ。

だから、女性になって1年になる。

今の名前は智花だ。だから、トモちゃんだ。」


「俊樹、黙ってて、ごめん。女の子になっちゃった♪」


「ええーっ!うそだーっ!」


俊樹はあまりにもショッキングな説明に納得できなかった。

正直いえば、冗談だと思った。

友也とは数日前に電話で話している。その時の声は、こんなに可愛い声ではなく、いつもの男の声だった。

(そうだ、俺はからかわれているんだ、みんなグルで俺をだましているんだ。

となると、真実はどうなんだ?)

俊樹は考え込んでしまった。


その間も食卓の会話は続く。


母親が智花に声をかける。


「それにしても、トモちゃん、女の子っぽくなったわねえ。

昨年会った時は、まだボーイッシュなところが残ってたけど、もう、男の子の痕跡は全くなくなったわね。

本当にかわいい!素敵!

うちにお嫁さんに、来ないかなあ。

うん、来て欲しいっ!」


「えっ!か、からかわないでください。

でも、確かに男性時代の体型じゃなくなったと思います。

ホルモン投与が去年の後半からすごく効果を発揮したみたいで...

急速に体型が変わってきたんです。」


姉のみずほが発言する。

「それでねっ。胸大きくなってるもん。私より大きいんじゃないかなあ。

いいなあっ。

髪の毛も伸びたよね。今の髪型、すごく女の子っぽい。

それにしても、私、妹が欲しかったから、妹ができたみたいでうれしいっ。

そっか、お嫁にくれば、義理の妹ね。」


父親も

「うん、こんな可愛いお嫁さんなら、大賛成だ。

成人になるまで、待てないな。

16歳だから、もうお嫁さんになってもいいんじゃないか?」


「あのおっ、せっかくですが、私、20歳にならないと、性別の変更はできないんです。

日本の法律で定められてるんです。名前は家庭裁判所の手続きで正式にかわりましたけど。

だから、結婚は無理です。」


「そっか、じゃあ3、4年我慢しなきゃな。

楽しみはちょっと先だな。」


俊樹の耳に入ってくる会話は信じられないものだった。


俊樹を除いた家族の両親と姉は、智花(友也?)のことをよく知っているようだ。

しかも、勝手に嫁にしようとしている。

この家で男子といえば、自分しかいないわけだから、俺の嫁にしようとしているのか?

本人である俺の意思を無視して...

もし、本当に目の前にいる女子が友也だったら、親友を嫁にすることになる。

そんなばかなっ。こ、これは、悪い夢だ。

とりあえず、食事に集中しよう。お腹が空いた。

俊樹は以上のことを頭の中で巡らせながら、食事に集中した。

でも、耳には、いろいろな会話が入ってくる。

その内容は、親友の友也が智花であることを示すものばかりだった。


(どうも、この女の子、友也みたいだ!

信じられないけど。

どうして、女になったんだ。

どうして、俺だけ知らなかったんだ。

どうして、友也は教えてくれなかったんだ。

どうして???)


俊樹の疑問は、頭のなかで絡まり、どういうところから解きほぐしていいかわからなくなった。


家族の会話は続いた。

そして、智花は最初はトモちゃんと呼ばれていたのに、

いつのまにか智花ちゃんと呼ばれるようになっていた。

母親の美園が智花ちゃんって呼びたいって言い出したからだ。


酔っ払ったみずほが智花を誘う。

「ねえ、ねえ、智花ちゃん、今日は私の部屋で寝ましょ。

もう女の子同士だから、いいでしょ?

客間で寝るのなんてつまらないよ。」


「そうねっ。智花ちゃんは女の子だから、俊樹の部屋ではだめよね。」と母。


「うん、女の子だから、女の子同士がいいな。」と父。


「おまかせします♡」と答える智花。


みずほの誘いはまだ続いた。

「智花ちゃん、お風呂もいっしょにはいろう!」


「ええっ、恥ずかしいです。」


「いいじゃないっ。女の子同士になったんだから♡

私も恥ずかしいんだよ。

でも、せっかくだからさあ。」


「お、お任せします。」


「みずほ、いいなあっ。お母さんも一緒に入りたいっ。でも3人はうちのお風呂は無理ね。

そうだ、明日、智花ちゃんの引越しが終わった後、みんなで日帰り温泉に行きましょ。

ねっ、お父さん。」


「日帰り温泉か、いいなっ。そうするか。」


俊樹は全く会話に入れなかった。


会話が続いている中、母親が突然俊樹に声をかけた。


「そういえば、俊樹。

智花ちゃんは、夕食とか休日とかは我が家で食事してもらうからね。

ご両親に、食事代毎月送ってもらうことになったから。

いいよって言ったんだけど、どうしても送るっていうの。

だから、我が家としては、精一杯のサポートをするからね。

お父さんと私で智花ちゃんの

保護者代理するから。


ほんとは、うちに下宿するという案もあったんだけど、それはダメって反対された経緯があるの。

甘えてもらって良かったんだけど、そこはゆずれなかったみたい。

せめて、住む家以外は家族同様の扱いにしたいんだ。」


母は嬉しそうだった。


最後に冗談めかした余計な一言があった。

「お嫁さんになったら、同居だけどね♡」


俊樹は、ぶっと食べてるものを吹き出しそうになった。




次回は来週か再来週を予定しています。


今回からTSについての雑談を後書きに書きます。


今回は用語について、少し。

TSというのはTrans Sexual(性転換症)、つまり性転換を望む性同一性障害のことを指すみたいなんですが、一般的には、趣味女装も含めた、ばくぜんと女性になりたがる男性も含める印象があります。ちょっと曖昧な使い方をされています。


まあ、マスメディアでは、性転換を指すことばと言っていいでしょう。


はっきりした表現としては、GID(Gender Identity Disorder,性同一性障害)やMtF(Male-to-FeMale 女性に性転換をする男性)、FtM(Female-to-Male 男性に性転換する女性)という用語があり、実際にはこちらの方がよく使われています。

専門医等にカウンセリングしてもらって、診断書をもらえるレベルの人もいれば、

医者にはかからず、ホルモン剤を投与して、体の構造を変えてしまう人も多く、パターンは幅広いと思います。

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